対魔忍アサギ.ZERO
2019年9月19日
ぷちぱら文庫
著:蝦沼ミナミ
画:カガミ
原作:Black Lilith
9月27日発売のぷちぱら文庫『対魔忍アサギ.ZERO』のお試し版です!



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対魔忍の世界は新たな次元へ。
アサギ、さくら、紫……若く無垢な美少女対魔忍の戦いが始まる!










 周到に張り巡らされた罠を破るには、まずその陰謀の編み目を乱すことである。
 だからアサギは、五車学園に転入したのだ。
 さくらをさらった何者かの目的が五車学園の勢力争いにあるのなら、井河家当主であるアサギの転入は、パワーゲームの盤をひっくり返すに等しい、あまりにも大きな不確定要素だ。計画が精巧であればあるほど、相手は「井河アサギ」という新たな駒に対応するための弥縫策を迫られる。
 だがその荒療治は、未知の敵に想像以上の効果をもたらしたらしい。
 まさか転入初日の夜に、さっそく襲撃を受けるとは。あっさりと引き下がったのは、つまり昨日の接触は、本格的にことを構える前の威力偵察だったということだろうか。
 慌ただしい一日を終え、五車学園生としての二日目が始まった。
 クラスメイトたちは、未だアサギに対して隔意を抱いている。
 アサギのほうも、彼らと深く関わるつもりはないのだからお互い様だ。とはいえ遠まわしな好奇の視線を浴びていると、まるで檻の中のパンダのような気分になってくる。
 ことがあったのは、四限目の国語の授業中だった。
 五車学園は勤勉な生徒が多い。
 卒業後は対魔忍として様々な任務に当てられる彼らだけに、学識、教養も忍としての技能のうちと心得ているのだろう。サボりを決め込むような不心得者は見当たらず、名門進学校レベルの授業内容に熱心に聞き入っている。

「…………?」

 ふと、奇妙な気配を感じた。
 転校初日の教室で感じたのと同じものだ。そして、今なら分かる。ねっとりと肌を舐める陰性の悪意。これは、昨日の襲撃者が放っていたのと同じものだ。

「…………ッ!?」

 ぬらぬらと這い舐めるような悪意が実体化した──一瞬、そんなふうに錯覚する。
 アサギの両脚に、無数の触手が絡みついていた。赤みがかった臓物色で、ねっとりした粘液にぬめ光る肉肢の群れ。教室の床から生えるそれらが、アサギの脚に絡みつき、ぬらぬらと這い上ってくる。

「くっ……うぁ……」

 背すじに怖気が走り、思わず吐息が震える。
 だが教師も、生徒たちも、アサギの異常に反応する様子はない。まるでこの異常事態に、気付いていないかのように。

『くく……お察しの通りだ。周囲の誰も俺の仕掛けには気付いていない──』

 その声は、不意にアサギの心の中に響いてきた。

『お前の声も、俺のかわいい触手たちもな。お前がどんなに泣きわめいても、連中の意識は気付くことができない、というわけさ』

 忍法──!?
 息を呑むアサギに、嘲笑の気配が返ってくる。
 こんなこと、常識的に考えてありえない。
 だが、そのあり得ないことを可能にする業が忍法だ。
 影を自在に操るさくらの影遁の術。桁外れの怪力と、異常な再生能力をもたらす紫の不死覚醒。アサギが得意とする隼の術もそうだ。体術、剣技、格闘、諜報技術──それらは忍にとっては基礎も基礎。いかなる訓練によっても身につけることができない異能の業、忍法の素質を持つ者だけが、対魔忍になれるのだ。

「呪術系忍法ね?」

 その声にも、周囲の生徒たちは反応していない。どうやら本当に、クラスメイトの誰も、この異常事態に気付いていないようだった。
 徴をつけた──。
 昨夜、男が告げたその言葉が頭をよぎる。
 昨日の襲撃者と、アサギとの力量差は歴然だ。そんなことは、当人もわかっていただろう。返り討ちを覚悟で仕掛けてきた意図が読めなかったが──。

「むしろ返り討ちにされることこそが目的だった……そういうわけね。昨日の襲撃は、私に"徴"とやらをつけるためだった……」
『ご明察。よく勉強しているじゃないか』

 自らに課した制約と引き替えに、さまざまな効果を発揮するのが呪術系忍法だ。
 その制約が強ければ強いほど、凶力な呪術効果が発現する。奴の忍法の発動条件は、おそらく「返り血を浴びせること」なのだろうが──。

「…………」
『なにがおかしい?』

 挑発の含み笑いに、男が反応した。

「戦闘の最中に、敵の返り血を浴びるなんて珍しくもないわ。その程度の制約で発動する忍法なんてたかが知れている」
『……ずいぶんと強気じゃないか』
「お前は、私を傷つけることはできない。捕らえた獲物を殺傷しないことも、この忍法に課せられた制約のひとつ。違う?」

 それを代償として得たのが、この触手の拘束力なのだろう。
 徴をつけた敵を触手によって拘束する。
 そして獲物を、第三者の目も耳も届かない不可知の結界に閉じ込める。
 両脚に絡む触手は力強く、まるで筋骨隆々の男にしがみつかれているかのようだった。だが、それだけだ。奴は制約と引き替えに得た呪力のほとんどを、不可知結界の構築に費やしている。強力だが決め手には欠ける、中忍レベルの異能力だ。

「さくらも、こうやって捕らえたの?」
『…………』
「わざわざ自分から仕掛けてきた理由は、脅迫か警告……そんなところかしら?」
『かわいげのない小娘だな』

 さらに新たな触手が、アサギの脚を這い上ってきた。小指よりも細い肉肢が数本。足首からすねへ、膝へ、太ももへ。

『そうとも。俺はお前を殺すことはできない。だが脅迫でも、警告でもない。する必要がないのさ。俺の一族が得意とするのは房術』

 やがて、触手の先端はスカートの中にまで潜り込んできた。違う。この触手の働きは、ただ相手を拘束するだけじゃない──!

『お前のような生意気な小娘を、飼い慣らすための術だ!』
「う、ああっ!?」

 触手に力がこもり、両脚を大きく広げられた。
 さらに這い上ってきた細肢が、下着の股布に絡んでグイッと脇に寄せる。

『くく……生娘の匂いだ。凶暴なわりに、かわいいまんこじゃねえか』

 今まで誰の目にもさらしたことのない秘部があらわになる。
 ふっくらした恥丘に走る肉襞から、淡桜色の肉花弁をわずかに覗かせた少女らしい肉器官。その周囲に細触手が這い寄り、ピタピタと吸いついてくる。

『昨日の傷がまだ痛むぜぇ……? てめえみたいな凶暴な女は、身体の中にけだものを飼ってるんだ。本能のかたまりみたいな、獰猛なやつをな。そういう女ほど、一度セックスの味を覚えたら、すぐにドはまりしちまう。本能が強すぎるのさ』
「だ、だまれっ……!」

 漏れ出た声がうわずっている。
 今までアサギは、体術でも、剣技でも、忍の業でも余人に後れを取ったことはない。
 だがこの種の恥辱は生まれて初めてだ。
 チラリと横目をやれば、教師の抗議に聞き入っているクラスメイトたちの姿。 
 本当に誰も、アサギの身に起こっている異常事態には気付いていないらしい。生徒たちがまじめに授業を受けている教室の真ん中で秘裂を晒しているという、異常事態がアサギの胸をざわつかせる。

「覚えておきなさい。好き勝手できるのは今だけよ。私が自由の身になったら、お前は調子に乗りすぎた報いを、その身で受けることになるわ」
『おお、怖い怖い』

 その胸中を正確に見抜いたかのような、おどけ声が返ってきた。

『そうならないように、今のうちにしっかり躾けてやらねぇとな。手を抜いたら、凶暴なメス犬に噛みつかれちまう』

 相手は小物だ。自分よりはるかに格上の相手を、うまく罠に嵌められたことに浮かれきっている。だがその小物にすら、手も足も出ないのがアサギの現状だった。
 細い触手が幾本か、淫唇に喰い込んでくる。
 閉じ合わされた秘裂を割り、内部の粘膜が晒される。アサギの牝器官は、内心の焦りを映したかのようにヒクヒクと蠢いていた。その敏感な粘膜の上を触手が這い進む。肉色を晒け出した割れ目の下端から、膣口をくすぐり、尿道口を舐め上がり──。

「んくぅっ!?」

 チクリ、と鋭痛を感じた。
 群がる触手の一本が、アサギの陰核を突き刺している。
 針のように細長い口吻を備えた触手だ。その根元は瘤状にふくらみ、半透明の内部に人工のカプセルを咥え込んでいるのが見える。

「ん……く、なにを……!?」

 その瘤が、どくん、どくん、どくん……と脈打っている。
 そしてそのたびに、秘部に熱感を覚える。
 これは注射器だ。肉瘤が脈動するたびカプセル内の液体が絞り出されて、針状の口吻を通してクリトリスに注ぎ込まれているのだ。

「これはっ……薬……媚薬!?」

 薬液を注入されたあたりに、カッと熱感を覚える。
 その熱さが周辺の粘膜に、ふっくらと盛り上がる恥丘や陰唇に、さらには下半身全体の骨肉にまで、じんわりと伝播してゆく。

「ん、くく……はぁ、あぁっ……」

 吐き出した吐息までもが、あまりにも熱い。
 その熱をもてあまして、荒い呼吸を繰り返す。鼓動が速まり、身体中の血管がピクピクと脈打っていた。 

『お前、生娘だな?』
「く……はぁ……な、なにをっ……」
『男の味を知ってる女なら、これだけ注入してやったら、もう今頃は狂ったようにチンポをほしがってる。井河一門の頭領は、新品まんこのかわいいお嬢ちゃんってわけだ』

 カプセル状の薬液タンクが空になると、ふたつめ、三つめ……新しいカプセルを装填した触手が迫り、アサギの体内に媚薬を注入してゆく。薬液が浸透するたびにアサギの身体は熱を増し、注入針を突き立てられたクリトリスは、痛々しいほどに張り詰めていた。

『ひひ……効果は上々だ。ちっこい南天の実みたいだったクリトリスが、ぷっくり膨れあがってやがる』

 男の言葉通り、アサギのそこは痛々しく充血し、何倍もの大きさに膨張していた。
 急激な膨張に耐えかねて、薄く伸びきった皮膚がピリピリと痛んでいる。薄皮の下で媚薬漬けになった肉がぶよついている様子は、さながら熟れすぎた葡萄の粒だ。その中で、なにかがプチプチとちぎれてゆく感覚がある。

『薬の効果が切れるのを待ってもむだだぜ。そいつは改造媚薬。女の肉体を変質させ、セックス狂いの身体に作り替えちまうって代物だ』
「か、改造っ……!?」
『くく……自分の身体が変質しているのがわかるだろう? お前は今、クリトリスに軽く触れただけで即イキしちまう、変態デカクリ女に改造されている真っ最中なんだよ!』

 その言葉と同時に三つ目のカプセルが空になり、四つ目の注入が始まった。
 注ぎ込まれる魔薬はアサギの血肉を侵しながら、下半身全体に浸透してゆく。
 ふっくらと盛り上がる恥丘が、ぷくぷくと張りのある大陰唇が、しっとりと薄湿る薄花弁が、媚薬漬けになり柔らかくほぐれてゆく。
 そしてクリトリスを起点として、新たな性神経が根を張ってゆく。
 一時的に女を狂わせるのではない。女の肉体を不可逆的に浸食し、セックス専用の道具へと造り変えてしまう。だから改造媚薬なのだ。
 たっぷりと薬液を吸収した血肉は、熟し切った果肉のようにぐずぐずに煮崩れている。
 その弛みきった肉をかき分けながら、新たに増設された性感神経がアサギの体内に根を張ってゆく。
 クリトリスを起点として、骨盤に絡み、腰椎をさかのぼり、脊柱内部の中枢神経と結びついてゆく。アサギの肉体に新たに植え付けられたそれは、クリトリスへの刺激を何倍にも増幅して大脳へと叩きこむ直結回路だ。
 改造されたクリトリスは、早くもその効果を発揮して、アサギの肉体に呪わしい昂揚をもたらしていた。
 急激な肉体変化に危機感を覚えた心臓がばくばくと暴れる。
 その血流のリズムが、改造陰核を疼かせている。鼓動のリズムにあわせて血管が脈動するたびに、鋭痛にも似た甘美感が突き刺さるのだ。
 ふと、オークたちのアジトで救出した少女の姿が頭をよぎる。
 彼女だってもともとは、幸せに暮らす、ごく普通の女の子だったのだろう。
 だが無数の性改造手術と、媚薬調教が彼女を変えてしまった。羞恥心も尊厳も忘れ、男に平伏してセックスを乞うだけの肉道具に造り変えられてしまったのだ。この快感を延々と味わわされたら、あるいは自分も──!?

『耐えたってむだだぜ。お前が対魔忍である以前に、まず女なんだ。である以上、この俺の房術に耐えられるはずがない』
「……私は、井河アサギだ」

 だがそれでも、意志が砕ける寸前で踏みこたえる。

「女である以前に、私は対魔忍だ。それが、井河の家に生を受けるということだ。魔を滅ぼすために備わった異能の力を、忍軍同士の足の引っ張りあいに使う外道などに、井河の頭領を殺れると思うな!」

 姿の見えない敵が、わずかにたじろく気配がした。

『……ますますお前を堕としてやりたくなったぜ!』
「くはっ!?」

 びぢっ、と細触手が鞭のようにクリトリスを打ち据えた。改造直後のまだ固まりきっていない薄皮が波打つ。激感が背骨を駆け上がり──。

「ひっ……う、うあっ、あぁああああぁっ!?」

 まるで巨大なハンマーで、頭蓋骨を内側から殴られたかのようだった。
 衝撃で頭が真っ白になりながら、二度、三度、息を喘がせる。そうして脳に酸素を送り込んだところで、ようやくその衝撃の正体が「快感」なのだと気付かされる。

『ヒヒ……改造クリトリスをぶっ叩かれた気分はどうだ?』
「ふざけるなっ! こ、この程度で……んくっ!?」

 続いて狙われたのは膣口だった。赤ん坊の指のような細触手が数本、秘裂に喰い込んで処女口を大きく割り拡げる。

「口ではなんと言っても、お前の肉体はとっくに俺に降参してるんだよ。穴の奥のほうまで真っ赤に充血して、まんこ汁でトロトロになってやがる」

 その濡れ穴の内部に、触手の群れが入り込んでくる。膣口近くにせり出した肉弁を傷つけないようくぐり抜け、濡れそぼつ肉穴の奥へ、奥へと。そして蜜液まみれの膣壁をぬらぬらと舐めまわす。

「くっ、ひあ、あうっ……や、やめろっ……こんなっ……」

 キスの味すら知らないうぶな女体には、刺激的すぎるディープキス。濡れた粘膜同士がこすれあう無上の快楽が、アサギを無力な少女のように甘鳴きさせる。

「このまま、中イキの感覚を教えてやるよ。触手なんかで膜はやぶらねえ。お前は処女のまま、チンポの味を恋しがって身体を疼かせる変態女になるんだよ』

 細触手が二本、三本、四本……狭い処女膣をくぐり抜け、穴奥を愛撫してくる。

「ひっ……うぁ、ゆ、許さない……ぜったいにっ……」

 膣壁に貼り付きベロリと舐め上げるように。

「このクズっ……ぜったいに……こ、殺す……うぁっ」

 肉襞に寄り添い、ぬちぬちと弾くように。

「ひっ……あっ、そこはっ……やめろ、だめっ……!?」

 ドーナツ状の子宮頸部に巻き付き、根元から絞るように。

「あっ!? あぁ!? あっ、あぐっ!? ひっ……あーっ!? あっ!? あぁ!? あぁーっ!?」

 そして括り出された子宮口にまで頭を突っ込み、きゅちきゅちと狭管をこじ開けながら、抽挿を繰り返す。処女を失うより先に覚えさせられた子宮口ピストンの衝撃に、アサギは我を忘れて悶絶した。

『はははっ、どうした。井河の頭領様よぉ!?』

 さらに追い打ちをかけるように、新たな触手が這い上がってくる。
 狙われたのは膣口のすぐ上。ミミズ状触手が尿道口に潜り込み、すりこぎのように頭を振って、グリグリと狭口を押し拡げる。

「ああ、おっ……くお、おぁおおぉっ……」

 そのおぞましさに、アサギが背中をよじる。
 ほどなく、触手が尿道を遡上しはじめた。柔らかな触手が細い尿道にみっちりと詰まり、ぞず、ぞず、ぞずず、ぞずずずずっ……と膀胱めがけて這い上がってゆく。

「や、やめろっ……うぁっ……そんなところっ……は、入って、くるなぁっ……!」

 本来なら、液体以外が通るようにはできていない狭穴だ。敏感な内壁がピリピリと痺れ、下腹部が忙しなく痙攣する。

『どうだ? 今のお前にはションベンの穴も感じるだろう?』
「ばかなっ……そんなっ……んくっ……ぐひっいぃっ!?」

 アサギの言葉を遮るように、尿道内部の触手が激しいピストンを始めた。
 狭道を拡張される感覚。敏感な粘膜壁をこすられる感覚。尿道を遡って膀胱内にまで侵入してきた触手が、小便の池を泳ぎまわり、内壁をぬらぬらと舐めまわされる感覚──。

「あおおおおおおっ……こ、これっ……ひっ、あ、あぁあぁっ……!」











 そして尿道ピストンのたびに、薄い肉膜越しにクリトリスの根元をこすられる感覚。改造陰核を真下からゴリゴリと圧される刺激がアサギを狂わせる。

「な、なにこれっ……しゅごいっ、くひっ……び、びりびりって、痺れて、あぁ、すごくぅ、あっ、響くっ……すごくっ……来るっ……!」

 房術使いならずとも、忍たるもの褥の技はひと通り学んでいるものである。
 性拷問に耐える方法、快楽で相手を支配する方法……アサギもまた、忍の修行の中で、それらの技法を学んできたはずだった。
 だがそれらは所詮、畳水練でしかなかったことを思い知らされる。
 生娘のアサギにとって、熟練の房術使いが操る手練手管はあまりにも苛烈すぎた。こみ上げる快感は暴力的なまでに甘く、絶え間なく送り込まれる快感で脳を殴打されているかのようだった。

『気持ちいいんだろう? おら、イけよ。おまんこでイきますって言ってみろ!』
「うぁ……い、イく……?」

 そう口にした瞬間、ゾクゾクと背中が震えた。

「あっ……あぁ、い、イく……? イくっ……あぁ、これっ……!」

 快感が高まりすぎてどうにかなってしまいそうな、今の気持ちにひどく馴染む言葉。

「き、気持ち、いいっ……イくっ……あぁ……お、おまんこ、イくうぅっ……あっ、イくぅ、すごいっ……デカクリっ……すごくっ、痺れてっ……あぁ、い、イくぅっ……!」

 敗北宣言も同然の「イく」という言葉を叫ぶたびに、ほんの少し身体が楽になる。
 次々と送り込まれる快感を、自分の中に溜め込んでいるから辛いのだ。だがのどから牝声を吐き出すと、激烈な性感もいっしょに出て行ってくれる。全身を張り詰めさせていた快感の内圧が弛み、心地よい解放感で下腹部のあたりがぞわぞわと震えるのだ。

「ひっ、イくうぅっ……だめ、あぁ、本当にイくっ……あっ、おまんこのっ、中ぁ……おしっこの穴もっ……しゅごぃっ……触手でっ……身体の中、舐められてイぐうぅっ……」

 だから、止められない。
 尿道。膀胱内壁。膣洞。子宮口。女体の内側を執拗に這い舐める触手クンニは、普通のセックスも知らない生娘が耐えるにはあまりも苛烈すぎるのだ。荒れ狂う快感を淫声に変えて少しでも吐き出さないと、きっと身体が内側から弾けてしまう。
 すぐ隣の席では、クラスメイトがノートにシャープペンシルを走らせている。
 教壇のほうからは、古典文法について講釈する教師の声が聞こえてきていた。
 その普段通りの授業風景から切り取られた直径一メートルほどの淫獄空間。周囲のクラスメイトたちの気配を肌で感じながら、それでも悶え声を止められない。ゾクゾクと背中が震える。プルプルと唇がわななく。群がる触手に足首をがっちりと固定されたまま、せめて自由になる膝をカクカクと踊らせる。
 そんなアサギの様子に、結界の向こうの生徒たちはまるで気付いていない。
 彼らの平然たる横顔を見ていると、激しい羞恥心と、安堵感とが湧き起こってくる。大丈夫、誰も気付いていない。だから、もう少しだけ声を出しても大丈夫──そう思うと、喘ぎ声を止められなくなるのだ。

「ひひ……ずいぶんと、できあがってきたようだな?」
「あぎゅうぁああぁっ!?」

 直後、ひときわ激しい刺激がやってきた。
 巨大すぎる快感のかたまりが、ゴギゴギと脊柱を砕きながら脳へと駆け上がる──そんな感覚。強烈なアッパーカットをぶち込まれたときのようにガクンと頭がのけぞり、ガダンッ、と椅子の脚が激しい音を立てる。

「こいつは効くだろう? デカクリの根元を責められた気分はどうだ?」

 暴力的なまでの狂淫の発生源は、改造クリトリスだ。
 尿道内の細触手が、Ω型にくねって狭穴を押し拡げている。
 その突き出しが真下からクリトリスを押し上げ、体内に埋もれた陰核脚をグイグイと刺激しているのだ。

「さあ、イっちまえっ! 井河忍軍の頭領のアクメ姿のお披露目だッ!」
「ま、待ちなさいっ……あぎっ、うぐぃああああああああぁっ!?」

 子宮口をぢゅぽぢゅぽと犯される。
 膣内壁をぬらぬらと撫でまわされる。
 尿道内の細触手は波打ち、五ミリ周期の正弦曲線を形作っていた。ごく細い肉管は上下に押されて、ふだんの倍以上の径に拡張されている。
 その膀胱内にまで潜り込んだ触手が、一気に引き抜かれた。

「ひいいぅあああおおおおおっ! イぐっ! おまんこイぐっ! あっ、あぁ、くりどりずっ! ぎもぢいっ! あ、あぁ、イぐイぐイぐイぐイぐイぐイぐイぐうううぅっ!?」

 波打つ触手が、尿道壁越しに改造クリトリスを押し上げる。
 そのたびに、激烈な快感が弾ける。それが二度、三度、四度……五ミリ周期で繰り返されるサインカーブの頂点が陰核脚の真裏を通過するたびに、快感が連鎖爆発を起こすのだ。そのたびに、ガクン、ガクン、ガクン、とアサギの頭が左右に弾ける。

「あああぁっ!? かんじりゅっ……触手でイぐぅ……イっでるぅっ! おほぉっ……くりとりすに響くっ……! んんっ、んぐっ……ぁまんごぉ……あまんご気持ぢいぃっ!?」

 白目を剥き、舌を突き出し、牝そのものの淫貌を浮かべてアサギは悶絶した。
 拡張された尿道はすぐに閉じることができず、膀胱の中身がだらしなく漏れ出ている。処女膣からは愛液がトロトロと垂れ落ちて、椅子の座面をべったりと濡らしていた。

「はははっ! こいつ、イキションまでしやがった! いいざまだ。おつむの中身までマン汁漬けになったアクメ顔を、クラスの連中に見てもらうんだな!」

 その捨て台詞と同時に、男の気配が急激に遠ざかる。
 いつの間にか、両脚を拘束する触手も消滅していた。

「──……さて、この助動詞『き』ですが、これは過去ではなく受け身の意味で……」

 そして無音だった空間に、国語教師の講義の声が響き始める。
 アサギの痴態をクラスメイトの目から包み隠していた、不可知の結界が消滅しかけているのだ。まだじょぼじょぼと小便を垂れ流している尿道を必死に喰い締めながら、ミネラルウォーターのボトルに手を伸ばす──。

「ん? そこの……井河さん、どうかしましたか?」

 と、床を叩く水音に気付いた国語教師の視線の先には、下半身が水浸しのアサギの姿。

「すみません、ペットボトルを倒してしまいました。拭くものを取ってきます」

 アサギはゆっくりと立ち上がり、後ろのドアに向かった。
 教室中の視線が、自分の背中に集まっているのを感じる。
 膝は震え、腰のあたりはまだ痺れが収まらない。結界が消滅しても、改造されたクリトリスがもとに戻ることはなく、濡れた下着とこすれてジンジンと甘疼きしていた。
 だがそれでも気力を振り絞り、平然を装って教室をあとにする。

「やってくれたわね。このツケは高くつくわよ……」

 噛みしめた唇の隙間から、苦い言葉がこぼれた。






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(C)MINAMI EBINUMA/Black Lilith