冥刻學園
~受胎する淫魔の前兆~
2019年4月15日
ぷちぱら文庫
著:雑賀匡
画:ブッチャーU
原作:ルネ
4月26日発売のぷちぱら文庫『冥刻學園 ~受胎する淫魔の前兆~』のお試し版です!


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女性の性欲が異常に高まってしまう怪現象『冥刻』。
幼馴染の少女を救うため、浅田真は決意を固める――。



「……んっ……ふぅ……あっ」

 室内から微かに声が聞こえてくる。
 まるで餌をねだるネコのような甘ったるい響き。少なくとも、正気だったら絶対に発しないであろう声色だ。
 ──真矢か? それとも他の生徒か……?
 少し迷ったけれど、聞き覚えがあるような気がしたため、そっとドアを開ける。
 声が途切れないところを聞くと、中にいる者には気付かれてはいないようだ。
 念のために鍵を掛け、不測の事態に対処できるよう準備をする。

「んっ……ふぅ……んんっ! あっ、あぁ……」

 入室すると、その声が明らかに嬌声であることが分かった。
 荒い吐息とともに吐き出される甘ったるい声。その声に耳をくすぐられ、浅田の胸は無意識のうちに鼓動を速めていった。
 足音がしないように気をつけながら進み、棚の陰にいるであろう人物を確認するため、そっと覗き込んでみると──。

「あっ! んっ……ああっ! だ、だめっ……止まらないよぉ」

 嬌声を漏らし続けていたのは真矢だった。
 彼女の姿を見た浅田は、思わず息を呑んでしまう。
 室内にあるパイプ椅子に座った真矢は、テニスウェアを大きく捲り上げ、片手で露出した乳房を弄っている。そして、もう片方の手は艶めかしい太股の間に挟み込まれており、いやらしい水音を立てながら変則的に動いていた。
 どう見ても、自分を慰めている真っ最中だ。
 かなり没頭している様子で、浅田が入室してきたことにも気付いていないらしい。

「はぁ……んっ、こんなの……だめ、だめだよぉ……」

 真矢は小さく首を横に振って、自分の淫らな行為を否定する。だが、どうしても中断することができないらしく、言葉に反して手の動きは加速していった。
 彼女も冥刻によって毒され始めているのだろう。
 頬を染め、自らを慰めている真矢の姿に、浅田の股間は一気に膨張した。











 明らかに牝の貌をした彼女は、思い出した幼少時の姿とはまるで違う。白くて滑らかな肌、丸みを帯びた身体。なにより大きく成長した胸は圧巻だった。
 その柔らかそうな乳房は、真矢が手を動かすたびに瑞々しく形を歪め──その頂点では桜色をした乳首が汗に濡れ光っている。

「こ、こんなところで……部室でオナニーするなんて、んんっ! イケナイことだって、分かってるのに……なんで、こんなエッチなこと……」

 本人は声を押し殺しているつもりなのだろう。
 だが、唇から漏れ出す声は止まることなく、艶めかしさを増していく。

「ああ……気持ちいい! でも……自分の指なんかじゃなくて、ここに……お兄ちゃんのが挿入ったら……もっともっと、気持ちよく……なれる……のに」

 息を呑んで見つめていた浅田は、彼女が口にした「お兄ちゃん」という言葉を聞いて、思わずドキリとしてしまった。
 ──ぼ、僕のこと……だよな?
 真矢が自分をイメージしながら自慰をしている。
 それを知った浅田は、無意識のうちに自らの股間へと手を伸ばしていた。すでにペニスはガチガチに勃起しており、痛いほどになっている。

「んぅ、はぁ……お兄ちゃんの精子が欲しい……したい! セックスしたい!」

 禁忌の言葉を紡ぐ自分に浸り始めたのか、真矢の手の動きは過激さを増していった。
 自らの乳首をつまみ上げ、股間を弄る指を奥へと進める。細い身体がガクガクと揺れて、彼女は官能の頂点へと上り詰めようとしていた。

「ああっ、だめ……イッちゃう……も、もう……っ」

 室内に響く水音が増し、真矢の背中が大きく反り返っていく。
 股間から熱い飛沫が上がったのは次の瞬間だ。小刻みに震わせていた手の動きを止め、膝をガクガクと痙攣させながら──彼女は絶頂の快感に酔いしれる。

「はぁああ……はぁ……あ……い、イッちゃったぁ……」

 口元をだらしなく緩ませ、蕩けた目つきで虚空を眺める様は、完全にオーガズムの余韻に浸っているという感じだった。その色っぽい姿から目が離せなくなった浅田は、ズボンの上から隆起した肉棒を握りつつ、ふらふらと彼女に近付いていった。
 ──い、いや……待て!
 自分の精神状態が正常でないことに気付き、慌てて自制しようとしたときのことだ。
 隠れていた棚に身体をぶつけてしまい、室内に大きな音が響き渡る。

「え……っ!?」

 真矢が驚きの声を上げて振り返った。
 熱い吐息を漏らしながら肩を上下させていた彼女は──そこにいた浅田を見て、全身をビクッと強張らせた。
 だが、固まってしまったのは浅田も同じだ。
 教師でありながら、生徒の自慰行為を見て膨らんでしまった股間を握りしめ、本人の前に現れてしまったのである。

「お、お兄ちゃん……?」
「あ……え、えっと……」

 答えに窮して泳がせた視線が、露出したままだった真矢の乳房に向いてしまう。その視線に気付いたのか、ぽかんとしていた彼女の顔がみるみるうちに紅潮していった。

「ひゃっ! こ、これは……違うんですっ!」

 真矢は慌ててウェアを下ろしながら立ち上がる。
 椅子に足をぶつけていたが、痛がるどころではないのだろう。周囲を見まわしながら、狼狽したように問いかけてきた。

「ど、どうしてっ!? なんで、お兄……先生がここに……っ!?」
「いや、それは、えっと……」

 冥刻のことを説明し、彼女とセックスをして精子を与えなければならない。
 ちゃんと分かっているのに、その言葉が出てこなかった。

「あ、あの……み、見ました?」

 真矢が絞り出すような小さな声で訊いてくる。恐る恐るという感じで囁かれた質問の意味は、間違いなく自慰行為のことだろう。
 否定することも、誤魔化すこともできず、浅田は小さく頷いてみせた。

「さ、最初から……?」

 部室にきたときにはすでに始めていたが、達するまで見続けていたことは事実だ。
 とりあえず再び首を縦に振ると、赤かった彼女の顔がさらに紅潮していった。

「~~~……っ!」

 声にならない声を上げて恥じ入る真矢だったが、ある意味では話がしやすい状況かもしれないと思い直す。彼女が冥刻の影響で発情しているのは間違いない。平時では信じられない話でも、自分の状況を見れば納得できるのではないだろうか。

「伊集院。いまから言うことを、真剣に聞いて欲しいんだ」
「……は、はい」
「君はいま……その、妙な気持ちになっていると思うんだけど、それは冥刻という現象が引き起こしていることらしいんだ」
「めい……こく?」

 浅田が自慰行為について言及せず、いきなり違う話をし始めたことに驚いたのか、彼女は怪訝そうな表情を浮かべて首を傾げた。

「これは僕も学園長から聞かされたことなんだけど──」

 そう前置きして、浅田は冥刻に関して知っていることをすべて話していった。
 真矢は黙って聞いていたが、とても納得したようには見えない。初めて冥刻について聞かされたとき、浅田も似たようなものだったので、これは仕方のないことだ。
 ただひとつ違うのは、彼女が実際に発情しているという事実である。
 誰かに見つかってしまうかもしれない状況であるにもかかわらず、情欲を抑えきれずに自慰行為をしてしまった自分を省みると、否定することも難しいのだろう。

「えっと……だから、いまの私はエッチなことしか考えられない?」
「そういうことだ」
「このままでは命の危険があるから……それを抑えるためには、せ、精液を……男の人の出すアレを飲む必要があるってことなんですよね?」
「飲むというか、子宮に出すのが効果的らしい」
「しっ……!?」

 真矢は驚いたように目を見開く。

「そ、そんなことしたら、あ、あ、赤ちゃんができちゃうじゃないですか!」
「……まあ、そういうこともあり得るよな」

 静恵たちは責任をもって処理すると言っていたが、具体的にどうするのか聞いていないため、浅田としても他に言いようがなかった。
 真矢は考え込むように顔を俯かせた後、

「あの……」

 と、少し緊張したように呟いた。

「もしもですけど、私がエッチなことをするとしたら……誰とするんですか?」
「君が嫌でなければ……僕とだ」
「……………………」

 おそらく彼女も分かっていたのだろう。この学園にいる男は浅田しかいない。
 わざわざ質問してきたのは、確認という意味があったようだ。

「わ、私……その……先生とだったら……」

 真矢がそっと顔を上げ、潤んだ瞳で浅田を見つめてくる。

「僕が相手でいいかな?」
「は、はい。せ、セックス……してください」

 恥ずかしそうにしながらも行為の名称を口にする彼女は、やはり冥刻によって発情した状態にあるようだ。耐性があるぶんだけ理性を保っていられるようだが、瘴気に晒されている以上、危険な状態にあることには変わりない。

「わ、私……その、頑張りますから……」

 健気に囁く真矢の姿に、浅田は覚悟を決めた。一時的に教師と生徒という関係を忘れることにして、そっと彼女の細い肩に触れていく。
 背徳行為に及ぼうとしている事実に、胸の鼓動が激しく高鳴った。
 だが、真矢の震えはそれ以上だ。緊張と不安で顔を強張らせている様子を見ると、男の自分がリードしてやらなければ──と気持ちが焦ってしまう。
 浅田は彼女をパイプ椅子に座らせると、

「伊集院……」

 少しでもリラックスさせてやろうと静かに唇を重ねていった。

「……んっ」

 唇が触れた瞬間、真矢はビクリと身体を震わせる。
 伝わってきたのは熱くて弾力のある唇の感触。静恵とは違う瑞々しさで、少女特有の香りが、彼女の汗と入り混じって浅田の鼻腔を刺激した。

「ん……ふぅ……んん……」

 最初は臆していた真矢も、次第に自ら唇を押しつけるようになる。
 軽く啄む程度だった口付けが密着度を増し、どちらからともなく舌を絡め始めると──それまでギリギリの水位を保っていた理性が決壊した。
 強く唇を押しつけ、互いの唾液を啜り合う。
 口淫が激しいものになるにつれて脳内が熱くなり、心地のよい浮遊感を覚える。
 真矢の瞳も潤みを増して、自慰のときに見せていた女の貌に変容していった。

「ぷは……はぁ、はぁ……」

 唇を離して最初の接触を終えた浅田は、高ぶった情欲を抑えることができず、そのまま床に跪くと、彼女の股間へと顔を寄せていった。

「あっ!? ちょっ……先生……ふああっ!?」

 愛液に濡れたショーツを引き下ろし、充血した女性器へと舌を這わせていく。

「あッ……やッ、そんなとこ……」

 真矢は拒絶の言葉を口にしたが、それはあまりにも弱々しいものでしかない。
 自慰によってほぐされた膣口からは、白濁した愛液が止めどもなくあふれ出しており、軽く舌先で触れるだけでビクビクと痙攣するような反応をみせた。

「伊集院のここ……すごくきれいだ」

 思わず声に出すと、彼女は真っ赤になった顔を逸らした。

「そ、そんなところ……恥ずかしい……」
「見られて興奮してる?」

 恥じらう反応がとても可愛くて、少し意地の悪い質問をすると──彼女は視線を泳がせながらもコクリと小さく頷く。

「さっきのオナニーもじっくりと見せてもらったよ」
「ず、ずるいです、先生……んっ、なんで、声をかけてくれなかったんですかぁ?」
「すごく気持ちよさそうで、夢中になってたからね」
「だからって……あッ、そこは……ッ!」
「さっきみたいに、気持ちよくなってもいいんだよ?」

 浅田はそう言って彼女の股間に舌を這わせ続けた。
 弾力のある柔肌は、触れているだけでも心地いい。普通なら決して見ることのできない真矢の秘部を責めているのだと思うと、より高ぶりが増していくようだった。
 静恵たちや西園寺との行為は、ただ一方的に襲われたという印象が大きかったが──。
 今回は自らの意思で、相手を気持ちよくさせている。それが浅田の興奮を煽り、秘裂を愛撫する舌に力強さを与えていった。

「あっ、ああっ! だめ……い、イクなら先生ので……っ」

 浅田の頭を押さえながら悶える真矢の言葉も耳に届かなかった。
 夢中になって秘部を舐め続けているうちに、舌先が包皮の奥にある陰核へと届き、そこを刺激した瞬間──彼女はあっさりと絶頂した。

「んあっ、あっ……ああああっ!」

 ブルブルと大きく痙攣した真矢は、一瞬だけ激しく全身を強張らせる。
 浅田が股間から顔を上げると、脱力した彼女は高揚感と不満の入り混じった目で見つめ、唇の端を震わせながら文句を口にした。

「はぁ、んっ……ふぅ~……ひ、ひどいです、先生……」
「ああ……ごめん。やりすぎた」

 真矢にとっては、これが初めての経験なのだ。もっと順を追った、ソフトなものを求めていたとしても不思議ではない。
 にもかかわらず、暴走気味に秘部を責めてしまったのだ。
 立ち上がりながら慌てて謝罪すると──真矢は無言のまま椅子から降り、それまでとは立ち位置を入れ替えるかのように、浅田の目の前へと跪いた。

「……伊集院?」
「今度は私がお返しです」








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