スケベエルフさん、現代へようこそ!
~「ようこそ! スケベエルフの森へ」スピンオフ 巨乳で一途なエルフたちといちゃらぶする短編集~
2018年10月5日
ぷちぱら文庫
著:和知まどか
画:葵渚
原作:ルネ
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フィリス・後編


「か、鏡っ……鏡、鏡はどこですの!?」

 住み慣れたハガルヘルム城に戻るため、この緊急事態を回避するため……。
お姫様育ちのフィリスが、俺の住んでいた狭いワンルームアパートの中をウロウロと歩き回り、壁という壁に触れては混乱している様を……俺自身もまた、頭の上にハテナマークを浮かべて見ていることしかできなかった。

 エルフの暮らす森、天上世界アルフヘルム。
 神樹と呼ばれる1本の大きな木によって支えられ、守られてきた幻想世界から……突如、男くさい現代の俺の部屋に放り込まれてしまったフィリスは、目を回しながらしゃがみこむ。

「あ、ああああああ……!」

 頭を抱えて言葉にならない呻きを発しているフィリスに、こちらもなんと声をかけていいかわからない。

「……あ、甘いものでも食べるか?」
「それどころではありませんわよっ! 一体どうしてこんなところにぃぃ、ひぃいいん! 確かにわたくしは言いましたわ、救世主さまの世界に行きたいと口にしましたわ、でも!お供のメイドも化粧道具も、美容のためのマジックアイテムも置いて飛ぶなんて……!」
「俺の世界のお菓子はたぶん……フィリスが今まで食べていたやつより甘いと思う」
「…………。であれば、一度なら……」

 涙目のまま、くるっと顔だけで振り返る。
 予想以上の食いつきに、やっぱりフィリスも年頃の女の子なんだなと感心してしまった。

「わかった。じゃあ買いに行ってくるからここで待っていてくれないか?」
「……わたくしも行きます。わたくしは貴方さまを夫にすると決めました。ですから、妻として……異なる世界でも離れるわけにはまいりません!」
「ほんとに近くに出かけるだけだから。ハイエルフの姫をコンビニに連れてくわけにはいかないよ」
「『こんびに』……。なんだかわかりませんが、心惹かれる響きですわ。行きます行きますっ!」

 大きく両手を上げてジタバタするフィリスの、壮絶なだだこねに負けて、俺はクローゼットを開け自分の服をあさった。
 フィリスの長い耳、とてもじゃないけど人間社会にはそぐわない露出度の高すぎるレオタードを隠せるもの……。
 結局、大したものは見つからなくて、ズボンにTシャツ、くしゃくしゃのワイシャツ……いつかぶったかも覚えていない古いニット帽を手渡し、着替えさせる。

「……んっ。ぶかぶかですわね。でも……フフ。救世主さまの匂いがして……素敵」

 安い男物の服を着せられたフィリスを見て、俺は改めてぎょっとしてしまった。

(……やっぱり人間の女の子とは違う。本当にフィリスはハイエルフのお姫さまなんだ)

 圧倒的なまでの美貌は、人間界の淀みもくすみも浄化するほどで、……そう。
 フィリスが部屋にいるだけで、俺の部屋ですら花園のような香りに満たされ、空気が美味しくなる気がするから恐ろしかった。
 そして、ゴミ溜めの中の一粒の真珠のようなフィリスの存在に、他の人間たちが気づかないわけもなく……。

「……なんだ、あの美少女? お忍びのアイドルか?」
「ひぇええ……脚なっげぇ……。天使? 天使かよ?」

 コンビニに入った途端、店員を含めその場にいた全員が凍りつき……時間が止まる。

「甘いものはどこに? あなた、すぐに持ってきて」

 夜の街を切り裂いて現れた美少女に指図され、「はい!」と答えてしまったのはパジャマ姿のヤンママだった。

「ここはすごく眩しいのね。でも珍しいものがいっぱい……。この袋は何?」
「そ、それはポテトチップスです」
「『ぽてとちっぷす』……? 興味があるわ。開けて。皿に並べなさい」
「えっ! こ、これは買わないと開けちゃだめなんですよ!」
「じゃあ買って」
「ふ、ふぇあぁい!? わ、わかりました……? はい……っ」

 入店直後数十秒で召使いを作ってしまったフィリスの、二の腕を掴んで引き寄せる。

「こらっ! 迷惑をかけるのはやめなさい!」
「迷惑……? わたくしに甘いものを献上するためにこの者たちは待っていたのではないの?」
「そんなシステムないから! ったく……。すみません、うちのエルフがわがままを……」
「い、いえ……こちらこそ……」
「フィリス! お前も謝れっ!」

 唖然としているヤンママの前で、仁王立ちになっていたフィリスの頭を押さえると……姫君は渋々といった様子で、唇を尖らせながら謝罪した。

「す、すみませんでした」
「よしよし。ほらっ、俺から離れるなよ。どれでも……は無理だけど、いくつか好きなのを買ってやるからさ」
「……ッ! 嬉しいっ! やっぱり、やっぱりわたくしは救世主さまがだぁいすき♪」

 俺の身体にしがみつき、ぴったり寄り添って離れずに……目からハートマークを出している。
 俺の匂いをさせたフィリスに甘えられ、移動するごとに彼女のツインテ?ルの先端がぴょこん、ぴょこん、と犬の尻尾のように喜びで跳ねるのを見ていると『しょうがないやつだな』と保護欲が湧くのを止められなかった。

(か、可愛すぎる……。俺だけを頼りにしていて、俺しか見えてないハイエルフ……!)

 店内をぐるぐる回りながら、フィリスの質問にいちいち答えてやるのは面白かった。
 それは雑誌だ、この世界の色んなことが載っているんだ、だの、それはワイン、フィリスの世界にもあっただろう、だとか。
 ATMの画面を押したがるフィリスに根負けして、夜中なのにカードを使わされたり店頭のコーヒーメーカーの説明をしたり。
 ……気づけば30分ほど、コンビニデートを楽しんで……あとはフィリスの好きなものを買おうとなったとき、彼女は意外なものに好奇心をそそられていた。

「救世主さま? あのっ、わたくし……これが気になりますわ?」
「ケーキか? アイスか? ……んんっ? こ、これか?」
「はい。ええと……んんん……こちらの文字は読めませんけど。これです、これ!」

 大切そうに、透明なプラスチックの小箱に入った大福を持ち上げてフィリスはワクワクした表情だった。

「大福か……」
「だいふく……。いいですわね、どことなく高貴な語感がいたしますわ!」

 にこっ……と微笑むフィリスのせいでコンビニの温度が数度上がった気がした。

「フィリスがそれでいいのなら。じゃ、後は適当にメシを買って……」
「はいっ! 早く戻りましょうっ、救世主さまのおうちへ!」

 すっかりご機嫌になったフィリスは、会計待ちの列の途中で自分から俺の手を握ってきた。

「荷物が持ちにくいから……」
「でしたらわたくしも半分お持ちいたします! それなら良いでしょう?」

 ぴょんぴょんと小さくジャンプして、子どものようにはしゃぐフィリスを目で追うだけの人々、その崇拝にも似た恍惚とした表情が気になってはいた。
 でも俺は考えたこともなかったのだ、ハイエルフのお姫様がどこまで人間の心を容易く魅了してしまうのかなんて……。

 ……それから数週間。
 アルフヘルムに戻る手立てはまったく見つからなかったが、フィリスはこちらの世界でも楽しそうだった。
 俺と手をつないで行く色んな場所、それがどんなにくだらないところでもいつだってフィリスは瞳をきらめかせ、全力で駆け回ってくれた。

「わたくし、今が一番幸せです! 姫の重圧もなく、救世主さまを狙う他のエルフもなく……ただのフィリスとして、貴方さまとふたりっきり……!」

 出会う人間出会う人間が全て自分にひれ伏し、日に日に増えるモデルのスカウト、アイドル事務所からの連絡、女優になって欲しいという懇願すらも一蹴してまで彼女は俺に尽くしてくれていた。
 もちろん、勝手に家を改造されてやたらレースだらけの部屋になってしまったり、人間の女の子に嫉妬して道端でわんわん泣き出したり、ポンコツなところは変わらなかったけど……。

「わたくし、初めて知りました。広く美しい城にいるより、救世主さまのおうちにいる今のほうが幸福なことを。……わたくしにとっての『城』とは、貴方さまがいる場所で、救世主さまがいないのなら……どんな贅も意味がないこと……。ハガルヘルムに戻れなかったとしても、わたくしはずっと、きっと、幸せです。……貴方さまを愛しているから……」

 やがて、フィリスは妊娠し、俺たちは子育てのための新居に移った。
 もちろんそこも狭い場所で、ボロ家であることには変わりなく……元いた城には遠く及ばない。
 けど、大きくなったお腹を抱えながらもフィリスは、少しだけ強くなった母親の顔で言ってのけるのだった。

「いいのです! でも、台所だけはわたくしの趣味全開でまいりましてよ!」
「ほ、ほどほどにしてほしいけど……まあ無理なんだろうな」
「ええ、ええ! このフィリス・ハガルヘルム、2DKでも気高くまいります! ……いずれ貴方をお招きしますわ、わたくしの『女の城』に……!」
「ははは……楽しみにしてるよ……」

 ホームセンターと家とを往復しながら作ったフィリスの新しいお城。
 そこに招待を受けたのは、明るい夏の真昼のことだった。

「いらっしゃいませ……♪ だ・ん・な・サマ……♪」

 しなを作って、お玉を片手にまばゆいばかりの笑顔を見せる。
 ボテ腹になってもいつまでも美少女のフィリスが、淫らなそのボディに纏っていたのはたった1枚のシルクの布……純白のフリルエプロンだけだった。

「うふふっ、こういう趣向もお好きでしょう? 近頃、ずっとエッチなことはご無沙汰でしたから……今日は、勇気を出して旦那さまをお誘いしようと思っていました♪」











 ぷりんと突き出されたお尻、そしてエプロンの隙間からチラチラ見えるロケット型のおっぱいは妊婦になってたわわにボリュームアップしている。

「な、なんてうまそうな身体なんだ……!」
「でしょう? この子が宿ってから……どんどん乳房もお腹も、お尻も淫らに育ちました……」

 今までみずみずしく弾力の強かった肌が、しっとりと柔らかくちょっとだらしなく垂れているのが生々しい。
 ごくりと唾を飲み、後ろから襲いかかるとフィリスは恥ずかしそうに喘いだ。

「あんっ……! もぉ……せっかちですのね。でも、待ちきれない気持ち……わかりますわ」

 片胸を揉みながら、ズボンのベルトをカチャカチャ外していると……フィリスがお尻を自然にこちらに向けてくる。

「はぁ、はぁ……ご覧ください。旦那様が欲しくて、わたくしずっと……濡らしておりましたの。激しく愛していただきたくて……」
「……ほんとだ。ぐちゃぐちゃになってる」

 シロップまみれになって愛液の雫を垂らしている花弁、期待と劣情とで充血したそこは熟れてぷっくりと膨れ上がっている。

「んッ……早く……早くください……!」

 細い腰を抱き寄せながら勃起したペニスを割れ目にあてがうと、それだけでじゅわ……と熱い蜜がしたたってくる。

「あはぁっ……すごく硬い……、欲しいです、ここに……一番奥にくださいぃ……♪」

 自ら脚を開いて腰を落とすと、フィリスはそのまま避妊具をつけていない生の肉棒を欲望のるつぼへと深く咥えこんでいく。

「あふッ……ああ、ああああ……! 入ってきた、旦那さまのおちんちんが入ってきましたわ……ッ! あッ♪ あッ♪ これですっ、これっ……ふとぉいぃい……っ♪」

 目を細め、うっとりとした表情で俺を見つめたフィリスは、我慢の限界を超えたのだろう。
 こちらの唇にむしゃぶりつき、舌でペロペロと俺の口を、舌を、貪欲に舐めしゃぶりながら早速腰を動かし始める。

「ちゅるっ……ちゅっ、チュッくっちゅっちゅるっ……ふぁ……ああ、旦那ひゃま……旦那ひゃまぁ……♪」

 ぐぷぷぷ、と腰を下ろしたかと思えばすぐに大きくお尻を持ち上げて肉笠ギリギリの部分まで引き上げる。

「んんっあっはッ、はぁっ、はぁっ、はっ……ああ気持ちいいっ……気持ちいいですわ!……っあっ、ぁッあぁっ……あぁん……♪ あンっ、あぁあんん……ッ♪」

 本能を曝け出し、快楽のためにひたすらペニスを使って膣内を掻き回す姿は、こちらを煽るようで肉茎がドキドキ脈打ってしまう。

「あッうぅんんッ……♪ 旦那ひゃまぁ……今は安定期ですからっ、だから突いてくださいっ……! フィリスはひとりでは上手にイけないのですぅ……あんっ! あんッあん!」

 誘うように腰を左右に振りながら、自慰めいた抽送を繰り返すフィリスにこちらも本気のピストンをお見舞いする。
 グチュッ……! ぐちゅっずぶちゅっ! グチュッ、ぐっちょっぬちゅっ!

「っあぁあああーッ♪ そうです、力強く貫いて……くぅうんっ♪ はぁああっ……旦那さまのおちんちんは魔法のよう……! あッ、わたくしよりもわたくしの感じる場所を知っていて……ああああんっ! 最高ッです……さいこぉおお……っ」

 ガクガクと膝を震わせながら、なんとかシンクに掴まって体勢を維持する。
 フィリスはブルンブルンと乳房を左右バラバラに弾ませながら、産まれてくる赤ん坊にはとても聞かせられない卑猥な声で乱れる。

「ズッチュズッチュって……太いものが、出たり入ったり……っ。わたくし、わたくしこの瞬間がとても好きぃ……! おちんちんがわたくしの中で乱暴に動く瞬間が好きぃ!」

 その言葉に嘘がないことは、強く締めつけてくる肉襞の吸引力が証明していた。
 舌を出し、口を半開きにしてピストンに夢中になっているフィリスがビクンと反応するたび、遅れて濡れた蜜壺がうねり出す。

「ま、待ってくれフィリス……! 搾りすぎ……っ!」
「も、申し訳ありません……っ、でも、でもでもぉおお……やめたくありませんの、おまんこズポズポされるの気持ちいいんですのぉお……っ! あッあっあっ!」
「まったく……。これはもうブレーキきかないか……!」

 観念した俺は暴走するフィリスの揺れるおっぱいを、ハンドルがわりに両手で鷲掴みにした。
 そして思いっきりまろやかな乳肉に10本の指をうずめ、モニモニぐにぐにと容赦なく堪能する。

「あひィイイ……っ! それっ、感じます、感じます、いやぁああ……っ♪」

 嬉しそうな悲鳴が聞こえても、力を緩めずまんべんなく丸い膨らみをマッサージしていくと……びゅるっ! ぴゅるるっ! とすぐに母乳が噴出する。

「あっあぁあんん、出ちゃいましたわぁ……ママのミルク溢れちゃいましたわぁ……! いやらしいお母さんでごめんなさぁいい……っ!」
「とか言いながらますますグイグイチンポに迫ってくるし……!」
「だって止められないんですものぉ……あっあっ、ママがイくところ……ママがはしたなく絶頂するところ、見てて……あっ! ぁっ、あっ、あっおっおっおぉおおン……♪」

 甘い母乳の香りを撒きつつも、腰を止めるそぶりもない。
 フィリスはわざと子宮口を俺の亀頭にこすりつけながら、がに股になってカクカクと腰を振り、興奮して愛液の雫を分泌する。

「あ……! イキます、イキまひゅ……あーっ! お料理する場所で交尾してるっ、わたくしの新しいお城に……っ、エッチな匂いがしみついて……ああ! 『まーきんぐ』……『まーきんぐ』していただいてイキます、フィリスはもう……もう……ふにゃあああ♪」「……!」

 あまりに激しい膣の収縮に、俺は射精の予兆を感じて身構えた。
 が、そこで堪えることが許されるわけもなく……さらなる蠕動によってなかば強制的に股間から子種を引き出され、輸精管をすり抜ける熱い塊の存在を認識した。

「く……あ、出る、出る!」
「あ……あ、あ……出て……出てます、赤ちゃんのお部屋にびちゃびちゃかかってる、旦那様の精子が注がれて……あたたかい……」
「はぁ……はぁ、はぁ……!」











 ずるんと肉茎を抜いても、まだフィリスの女陰はヒクヒクと痙攣し、さあもう一度いたしましょうとばかりに疼いている。

「ふふ……まだまだできそうではありませんか……」

 ぽっかりと開いた膣口から、だらだらと精液を垂れ流しながらも……汗にまみれたフィリスの笑顔はやはり綺麗だった。

「ふふ、この世界に残ると決めたとき……不思議と迷いは感じませんでした。だって、鏡は認めてくれていたんですもの。わたくしの真実の愛を……。ですからどうか、傍にいてくださいね。そして、今度は3人で……いいえ、たくさんの子どもたちと一緒に、みんなで『お大福』を食しましょう♪」

 そのためにも……、とフィリスが俺の股間にお尻を寄せてくる。
 その逞しさに……すっかり人間社会に溶けこんだしたたかな彼女に、これからも翻弄されていくんだろうな、と思いながら俺は再びペニスを奮い立たせた。





  ◆◆◆フィリス編・おわり◆◆◆

次回は『ミズリィ・前編』更新は10月12日(金)の予定です。お楽しみに!!


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