新妻こよみ
2018年3月20日
ぷちぱら文庫
著:間崎俊介
画:INO
原作:裸足少女
3月20日発売のぷちぱら文庫『新妻こよみ』の特別編です!
作品情報はこちら
原作ページはこちら
ページの都合でやむをえずノベライズでは未使用となったシーンを特別に書き下ろし!!
文庫版では第三章の途中あたりの、まさに本書発売ごろの季節エピソードとなります。
春のうららかな陽気のなかで、いちゃいちゃであまあまな若い夫婦の営みが、恥ずかしくもエロくて……。
文庫版をお持ちでない方も、これを機にぜひともお買い求めください!!
☆あらすじ
陶芸家を目指す青年、宗志郎は弟子入り先の窯元へ向かうバス停で、こよみと出会う。
民俗学者の卵で、民話を調査に来たというこよみの純粋さと美貌に一目惚れした宗志郎。
自称神様の葛葉の協力を受け、こよみと結婚して夫婦となった。
今は何も知らないが子作りのためエッチになると言うこよみに、フェラやパイズリを教え込み、夫婦の営みは日々、濃密になって…。
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ページの都合でやむをえずノベライズでは未使用となったシーンを特別に書き下ろし!!
文庫版では第三章の途中あたりの、まさに本書発売ごろの季節エピソードとなります。
春のうららかな陽気のなかで、いちゃいちゃであまあまな若い夫婦の営みが、恥ずかしくもエロくて……。
文庫版をお持ちでない方も、これを機にぜひともお買い求めください!!
☆あらすじ
陶芸家を目指す青年、宗志郎は弟子入り先の窯元へ向かうバス停で、こよみと出会う。
民俗学者の卵で、民話を調査に来たというこよみの純粋さと美貌に一目惚れした宗志郎。
自称神様の葛葉の協力を受け、こよみと結婚して夫婦となった。
今は何も知らないが子作りのためエッチになると言うこよみに、フェラやパイズリを教え込み、夫婦の営みは日々、濃密になって…。
第三.五章 とある春の一日
春の始まりとは、いつからだろうか。
季節の明確な区切りがない以上、正確に定義することは容易じゃない。ぼくが思うに、それは地域ごとに違うものであり、自然に任せるものだ。ならば、春の始まりは桜の蕾が芽吹いた時である。この里に来て、ぼくはそう思うようになった。
この考えに従うならば、三月下旬。
かつて和海村と呼ばれたこの里の春は、雨後の筍から始まる。山に積もる冬の白雪が溶けると、枯れていた木々が一斉に芽吹き、季節は冬から春へと移り始める。最初は、まぁ、他の里の春と変わらない。枝にこびりつく苔色ばかりが目につくのだが、少しすると、山々の真ん中に、ぽつりぽつりと人間の頭でいうところの白髪が出来始める。ぼくたちにとっては恥や老いの象徴かもしれない、山のそれは、新しい季節と生命の到来であり、白から薄紅色に開き始めるその色こそ、春のシンボルだ。
ここから雨後の筍が始まる。薄紅色がぽつりぽつりと増え始め、里をぐるりと取り囲む山々を、少しずつ春一色に染めていく山桜たち。春の津波が緑の山を呑み込んでいく。その様は圧倒的で、地面にしがみついて生きる、ぼくら人間のちっぽけさを感じずにはいられない。土を採る陶芸家は、山と共に生き、山に活かされる。桜の花がやがて土に帰るなら、ぼくら陶芸家は、桜の花びらをこねていることになる。陶芸家は、桜に活かされているのだ。
住処である離れを出て、大きくあくびをする。
朝日と呼ぶには遅すぎる太陽にご挨拶。次は里にご挨拶、小高い丘に位置するこの屋敷は、桜の海に沈んだ里を眺める絶好のスポットだ。取り囲む山々も、すっかり桜模様。もう一ヶ月もしないうちに散ってしまうのは寂しいけれど、また来年会えると思えば、今の美しさを楽しもうという余裕も出てくる。
この里で過ごす三年目の春。まだまだ、桜は続きそうだ。
「さて」
腰を回して背伸びもして、軽い柔軟で体の目を覚ます。
今朝も春を満喫できて、心はすっきりだが、まだ物足りない。愛しい奥さんの声を聞かなければ、ぼくの目は百パーセント開眼したことにはならないのである。
桜の花びらが彩る庭を横切り、本館の御屋敷に向かう。
山奥の里なので、人は少なく、土地は余っている。最初来た時は、その大きさに内心驚いていた玄関をくぐり、居間を目指す。縁側の窓も開け広げているんだろう。廊下を吹き抜ける温かい春風を全身に浴びて、もう一度猫のように、うんと伸びをしたくなった。
「こよみー」
愛しい奥さんの名前を呼ぶ。
返事はなかったけれど、気配があった。夫婦だからこそ感じられる伴侶の呼吸。ゆっくりとそちらに足を向ける。
すぐに見つけることが出来た。朝日をたくさん浴びて、美しい艶を放っている栗毛色の髪。里を歩いているその様を遠くから見れば、毛並みのいい仔馬が散歩しているのではないかと見間違えてしまいそうだ。
幸せそうな鼻歌に合わせて軽やかに踊っていた毛先がくるりと回って、こちらを振り返る。
「おはよう、こよみ」
「おはよう、あなた。今日はお寝坊さんね」
くすくすと楽しげに微笑まれる。その愛らしさに、目覚めかけていた頭が、また夢の中に逆戻りしそうになってしまう。
「なにを作ってるの?」
「んー、ナイショ」
今度は、イジワルされる。そんな姿も可愛らしい。
桜に似た薄紅色のエプロン。春をまとった奥さんだ。あまりの可愛らしさが外にまで漏れ出て、キッチンの空気までピンク色に染めているようにさえ見える。
可愛い奥さんのエプロン姿。寝起きのぼくには刺激が強すぎる。ご馳走様です。
「?」
眼福と、ありがたく手を合わせたぼくに、首を傾げる。その様さえ可愛らしくて、色っぽくて、誘っているようで、草食系を自認しているぼくだって、ついつい朝から彼女に構ってもらいたくなってしまう。
「今ね、おまんじゅうを作っているの。山崎のおばあさんから、よもぎまんじゅうの作り方を教わってね」
もうすぐ出来るのだろう、おまんじゅうと、それを食べたぼくの喜ぶ顔を想像して、嬉しそうに肩を弾ませるぼくの奥さん。その背後に、そーっと歩み寄る。
「出来たら一番に食べさせてあげるね。……ひゃっ!?」
後ろから、ちょっと勢いをつけて、びっくりさせるようにハグ。鼻先で栗毛色の髪の毛が跳ねて、お日様の匂いがする。
「……あなた?」
「なに?」
「……お料理、出来ないよ?」
「そう?」
腕の中にすっぽり収まったこよみが、また可愛らしい上目遣いで抗議してくる。もちろん、素直に言うことを聞いてはあげない。……春風を浴びて、目も覚めたはずでは? 今のぼくはこよみという病に掛かっているのです。
はぁー、こよみの体、あったかいなぁ。ぽかぽかする。
大好きな奥さんの体温が、じんわりとぼくの方に染み込んできて、心までぽかぽかしてくる、幸せ。
「あ、んんんっ」
自然とわき上がった欲求に従い、甘えるように、かぶりつくように、その首筋に鼻先を埋める。春の陽気でぽかぽかとなった白い肌は、甘い花の香りがして、思い切り鼻から吸い上げてしまう。それに気づいたこよみが、恥ずかしげに身をよじるけれど、止めはしない。悪いけれど。
「も、もう」
またまた可愛らしい上目遣いで抗議。でも、やっぱり逃げようとはしない。
いつもなら、この辺りで引いて、ごめんねと仲直りするのだけど、春の陽気のせいだろう。もしかしたら、寝起きの精かもしれない。うん、それだ。寝起きのせい、そうしよう。
「ひゃっ!?」
調子に乗った右手が、エプロンと衣服の窮屈な隙間に潜り込む。起きたばかりのモグラのようにもぞもぞ進んで、小さな苦労の末、目的地の丘に辿り着く。
柔らかい。今日もこよみのおっぱいは、ぬくぬくのふかふかだ。衣服越しなのが惜しい。こよみのおっぱいの柔らかさは、こんなものではないのに。
「あ、あ、あなた……?」
短い時間に百回ほど自問自答して、エプロンを脱がせることは諦める。せっかくのエプロン姿がなくなってしまうのは実に勿体ない。
そのエプロンの内側、こよみの体温がこもってあったまった内側。ぬくぬくで、手のひらがあったかい。居心地がいい。冬でもここにいれば、ちっとも寒くないに違いない。
一年中、ずっとここにいたいかも。ううん、いたい。家賃はおいくらでしょうか。
「も、もう、あなたっ」
「うん?」
「明るいうちから、エッチなことしちゃ、ダメなのよ?」
「エッチなことって、例えば?」
「お、おっぱい、とか」
わざとらしく首を傾げて、聞こえていないアピール。聞こえないなー。
「……わざと言わせてない?」
「うん」
うううぅぅぅっと、こよみが涙目で抗議してみせる。
「起きたばかりのあなたは、イジワルだから嫌いっ」
真面目に言われたら、軽く三日三晩は寝込んでしまうだろう『嫌い』も、耳まで真っ赤にした可愛らしさでは、更なるイジワルをおねだりしているようなものだ。
とっても近くで、視線が絡まる。まつ毛も触れ合ってしまいそう。
キスが出来る距離。これが今のぼくたちにとってのポイントだ。
それでいで、ぼくたちは仲良し夫婦。
「今は誰もいないよ?」
「……お料理中だもの」
「理由になってるかな」
「……包丁、危ないよ?」
包丁を握っている手の甲に、ぼくの手を重ねてあげる。夫婦の雰囲気には似合わない、無粋な包丁が脇にどけられて、キスをしない理由はなくなった。
こよみが瞼を閉じて、そっと可愛らしく、唇を差し出してくれる。
ぼくもいっぱいの愛しさを込めて、それに応え──ようとした。実際、これまでのぼくなら、イジワルしてしまった分をごめんねと、いっぱいいっぱい優しくキスして、愛し合っただろう。
……起き掛けではなく、今日のこよみが可愛すぎるせいだろう。この期に及んでも、イタズラ心が働いてしまった。
──ちゅっ、と。
「……え?」
唇ではなく、赤ん坊のようにもちもち、ふわふわの頬っぺたに、ちゅっと。
待ち受けていたこよみが途端に目を開いて、ぱちくり。次いで、ニコニコとイジワル顔をするぼくを見て、かぁーっと今まで以上の真っ赤に、林檎顔になってしまう。
「も、もう、もうっ!」
「あはは、ごめんごめん。やりすぎちゃったね」
「知らないっ」
ぷいっと、もう知らないと、大人げない夫に怒りを露わにする。
「ごめんね、ホントにごめん。エプロン姿のこよみが可愛すぎて、ついついやってみたくなっちゃったんだ」
「知らないもん」
「ごめん。いや、ごめんなさい。反省してます」
ぼくたちにとっては、こういうやりとりすら、夫婦の惚気、イチャつきの一環に過ぎない。その証拠に、こよみだって、少しも逃げようとはしない。代わりに、ちらちらとぼくの方を上目遣いで見て、期待する眼差しを送って来てくれる。
次は、ホントに怒るからね、と。
他の誰かがいる時に見せる、聡明で凛々しい姿も、夫婦二人きりの時は隠れてしまう。甘えん坊で、子供っぽく膨れた頬っぺたに、約束のキスを落とす。ぼくを信じて、もう一度唇を待ってくれる従順な姿に……もう一回だけ、イジワルしたい気持ちが働いたが、それは、ぽいっ、しておいた。さすがにこよみが怒っちゃうだろうし、可哀想だし、ぼくだって、本当はしたくてたまらないんだ。
「んっ、ちゅ……む、ちゅぱ……」
胸の奥から溢れ出る愛しい衝動に、素直に従う。唇を重ねる、そっと、優しく。イジワルしてしまったことを、ごめんねと謝る気持ちを伝える。
「ん……ふあぁ……」
瑞々しい唇が離れて、熱い吐息を吹きかける。たったの一度で、ぼくたちの息は、こんなにも熱くなってしまう。
「…………」
まつ毛を重ね合わせながらの、上目遣い。一回しかしてくれないの。と。
「はぁむ、むちゅ、ちゅ……ちゅ、ぴ……ちゅ、んちゅっ」
いつもよりイジワルしてしまった分、心を込めて期待に応えてあげる。愛してと寄せられた、ふっくらとした唇に自分ものを重ねて、それだけではなくて、ご希望通り甘く食む。愛でる。ちゅぱっと、愛している証拠の口付け音で、甘えたがりの奥さんの耳を満足させる。
「んちゅ、ちゅ、ふあ……キス、好きぃ。イジワルされた後のキス……むちゅ、とっても優しく、してくれるもの……」
ぼくも、こよみとのキスが好きだよと、キスの合間に微笑んでみせる。喜びと愛しさで瞳を輝かせて、ずっと受け身だった奥さんが、甘い唇を押し付けてくる。優しいキスも、こよみの手にかかれば、あっという間に情熱的なものに早変わりだ。
「むちゅ、ちゅ、ちゅ……ちゅ、むちゅ……れお、ちゅ、ぴ」
こよみの可愛らしい舌が、ぺろりとこちらの口元をくすぐる。イタズラっ子を捕まえようと、ぼくも同じことを返してやる。
「ちゅ、れちゅ……んんんっ♪」
口の中に逃げ込もうとした、ちっちゃなそれを甘く食んでオシオキしてあげる。嬉しそうな声が鳴る。捕まっちゃったと、本当は、自分から捕まりに来たくせに。
「……あんこの味?」
「……おまんじゅうを作ってから」
「つまみ食い?」
「味見だもん」
軽く膨れた頬っぺたに、ごめんねとまた口付けして、ご機嫌取り。それくらいじゃ、誤魔化されないもんと、唇を尖らせてキスのお代わりをおねだりされる。もうすっかり甘えん坊のこよみの方から、もっともっととせがまれるまま、それに応えて続ける。応えるだけ。これだけでも、ここがどこか忘れてしまうくらいにのめり込んでいく。
「ちゅ、むちゅぅ……ふぁ?」
真っ昼間から夫婦のキスに蕩けすぎて、二人とも口元がべっとりと濡れている。
「あ、あなた? えっと」
あんこの味もなくなった頃に、気付かれてしまう。まぁ、気付いちゃうよね。
「……明るいうちから、エッチなことはいけないのよ?」
「これだけエッチなキスをすれば、こうなっちゃうよ」
紛れもない真実であり事実なので、ここだけはちょっと強く言い訳させてもらった。こよみのむっちりお尻を、スカートの上からぐいぐいと押しているもの。完全に勃起して、吐き出し先を求めてしまっている下半身のそれ。
「んっ、あ、んっ」
イタズラではなく、鎮めてほしいなと、ぐいぐいお尻に押し付けてアピール。こよみに直接してもらわないと、夜までこの硬さに苦しむことになりそうだ。
「……エッチなことは、いけないのよ?」
そうして目を細めながらも、すりりとお尻が上下に一往復。我侭な股間のおねだりに、応えてくれる。不承不承でも、夫のお願いを聞いてくれる、奥さんの鑑ともいえる姿。けれど、彼女の唯一の夫である、ぼくだけは気づいている。
「んんっあ……! はあ、んんっ、はあぁぁ」
スカートを両手でたくし上げて、その奥に隠れていた、おいしそうなお尻を撫で回す。綺麗な桃の形。桃と例える以外にない、美しいというより、おいしそうなラインのヒップは、本来スカートに隠しておくべきものだ。街中ではスカート越しでも見せられない。
「はぁ、はあぁ……んんっ!」
ぼくの思った通り。渋々とこちらのお願いを聞いてくれた風だったけど、ショーツの中央が、ぐっしょりと濡れていた。こよみも、とっくにシたくて堪らなかったんだ。
バレてしまった頬が、庭にも咲いている桜の色を帯びる。貞淑な妻として振る舞おうとしている手前、昼間からこんなに濡れていることは、はしたない以外の何物でもないんだろう。あえて言葉は掛けず、それよりも安心させてあげられる抱擁を、ぎゅっと。そうして、するすると白いショーツを脱がしてしまってから、耳元で優しくおねだり。
「……こよみ、いい?」
恥じらいで一瞬の間を挟んで、こくりと。
愛する奥さんの許可をいただいて、朝から元気すぎるイチモツが、彼女のあったかいなかへと潜り込んでいった。
「ああっ、んんっ、あっ、はあ──ンンンンンぅぅああぁっっ」
ずっぽり、ぴったりと、夫婦が奥の奥まで繋がり終えた幸福感が、下半身だけではなく、足先から髪の毛の一本一本に至るまで、満ちている。夫婦生活三年目、すっかり慣れた挿入の快感、感触。普通の夫婦にありがちな倦怠感も慣れもなく、新婚の頃のように、ぼくは気持ちよく、彼女も気持ちよく悶え、繋がれた幸せと安心感に身を浸す。
「台所でエッチ、しちゃってるね……」
「はぁ、はああっ……うん、しちゃってる、はあっ、はいっちゃってるのぉ」
紡がれる声が色っぽい。こよみはいつもそうだ。聡明で貞淑なお嫁さんという風なのに、夫婦の営みとなるこんなにも夫であるぼくを誘惑し、いとも簡単に発情させる。
「んっ、ああぁ、はあっ……あなた、待って、まだ、んっ、あっああぁあ!」
エプロンを大きく押し上げている、清楚な妻には似つかわしくない巨乳を、上から大胆に揉みしだく。手が動けば、足が動く。行為の最中は足の代わりに腰が動く。
こよみのおっぱいが悪い。お屋敷だというのに、腰の振りに熱が入っていく。
「あっ、あぁあっ、んんぁ、はげしいっ、最初から、はげしいのぉ」
「エプロン姿のこよみ、とってもおいしいよ」
「ああぁぁぁうう、エッチな言い方、だめぇ、もっと、感じちゃうからぁっ」
白くむっちりとしたお尻と太ももが丸見えの状態で、こよみが恥ずかしげに、とても艶めかしい仕草で身をよじる。仔馬の髪が揺れて、お日様の匂いに甘いいやらしい匂いがブレンドされていく。ぼくの一番好きな匂いだ。
「ここ、お台所なのに、それなのに、セックス……あぁ、セックス、なんてぇっ」
「夫婦の営みは、ベッドの上だけじゃないって、知ってるでしょ?」
「そうだけど、そう、だけど……とっても、ドキドキしちゃって、先生も、環ちゃんもいないってわかってるのに、ドキドキがとまらないで」
「……ドキドキして、いつもより興奮しちゃう?」
図星を突かれたこよみが、林檎の顔から湯気を立てながら、細い身を縮こませる。同時に膣内まで縮こまって、過敏な肉棒を吸いたてる動きに、身震いしてしまう。
挿入前から、あんまり長くはもたないと確信はしていた。予想よりも、ずっとずっと早くきそうで、射精の大波に今からもう備え始める。
「あっ、ああぁああぁぁ! あぁう、あっ、あっ、んんっ、あ、ああぁあ!」
腰の前後運動を強めて、お尻のお肉が波打つくらいに、打ちつける。
二回、いや、三回かな。今日は誰もいないし、たまにはお屋敷でセックス、してもいいよね? ……ぼく、まだ半分寝ぼけてるなぁ。
「あなた、キス、キス、してぇ」
「もう少し、くう、もう少し、待ってね」
キスは、お互いに気持ちよく果ててから。口付けは魅力的だけど、今そちらもしてしまったら、ピストンが中途半端なものになってしまう。
「はあぁ、ああぁっ……あなた、はあっ、あなたぁ」
夫を立ててくれる彼女は、一度お願いされれば、我慢しようと努めてくれる。けれど、目で訴えてくる、今ほしいのと。
「はあ、むちゅ、ちゅるむ……っ、んむ、ちゅ、ちゅぱ、ちゅ、ちゅるぱっ」
一度だけ応えてあげる。一度というのは少し長すぎたけれど。
「終わったら、またしてあげるからね」
「んんっ、むちゅ……はあ、はああぁ、うん、うんっ」
キスを切っ掛けに、明らかに愛液の量が増えた。穴にひしめく膣襞がざわめき、ヌルついた蜜汁を吸って、甘く蕩けた襞ヒダたちが嬉しそうに吸い付いてくる。肉棒の芯までしゃぶる勢いで可愛がられて、尿道内の汁という汁を搾り上げられる。
もう、辛い……やっぱりもう、限界だ……!
「あなた、あなたぁっ、オチンチンの子種汁、出して、今日もいっぱい、わたしのお腹に出してぇ。お屋敷のお台所で、先生たちに秘密の、秘密の子作り……! バレたら環ちゃんに怒られちゃう、いけない子作り……!」
先生のお家にご厄介になっている身でありながら、先生と環ちゃん、二人の生活している空間で、愛する妻に種付けをする。キッチンはやっぱり何かを作る場所なんだろう。下腹部が異常に熱くなり、熱々の奔流が肉棒の内側で渦巻いて出番を待っている。
破裂寸前のこの猛りの全てを、愛しい奥さんの子宮に、注ぐ……!!
「あぁっ、あっあ、イく、わたし、イッちゃう、環ちゃんとお料理している場所で、お台所で、イく、イッちゃう、あぁ、ああっ、ぁああああぁぁぁぁぁ……!!」
──ビュッ、ビュルルッ!! ビュルルルルルルルッッ!!
「ンンンンンンンンぅあああぁ!! あっ、ああぁ、せーし、せーえき、あなたのお汁が、わたしを孕ませようって、お腹のなかにきてる、きてるのぉ!」
何千何万ではなく、一度の射精に含まれる何億という精子が、一斉にこよみの赤ちゃんの部屋、子宮に向かい始める。群がり、群れて、お母さんであるこよみを孕ませようと、ぼくの放った子種たちが、そのお腹の奥を目指して進んでいく。明確にその様を見たわけでも感じたわけでもない。けれど、自分の放ったものだからか。美人で聡明な奥さんが、ぼくの子供を孕んでいる姿を想像して……妄想が膨らみ、放った子種たちの様子さえ思い描いてしまう。
「はぁ、はああぁぁ……はぁ、はあぁぁーっ……」
喜びと満足感。色っぽい吐息に、二つの感情が乗る。
まな板の上に重たいおっぱいごと預けるその背中に、少しだけぼくの方もお邪魔させてもらう。繋がったままの肉棒に、ひくひくと、膣内がイッた喜びを伝えて来てくれている。
疲労感、爽快感。全ての子種を出し終えるまで、このままで。……尿道にはまだ残り汁がたっぷりで、出し終えるまでには、もうちょっと掛かりそう。だから、もう少しこのまま。仕方ない。
「……あなた……ん、ちゅ、むちゅ、ちゅむ」
終わった後は、約束の口付け。今日もたくさん愛し合えた幸せを、唇に乗せて伝え合う。
あんこの味がしなくても、こよみの唇はどんなお菓子よりも甘く、おいしかった。
……思っていた通り、励んだ回数は三回。二回では物足りなかった。
エッチしている最中に目も覚めた。寝坊助から普段のぼくに戻れば、奥さんからの軽いお説教が待っていた。それもそのはず、こよみの下半身は、内腿までぼくの精液でべったりで、ティッシュでは到底処理できないくらいになっていたのだ。
「……ごめんなさい」
「もう」
お風呂場に行く彼女を、黙って見送る。汚れをキレイにしたり、汗をかいた服を着替えたり、しなきゃいけないことがたくさんあるんだろう。ぼくもご同伴したかったが、さすがに自重しておいた。四回戦を始めてしまっても、こよみは受け入れてくれるだろうけど、そろそろ昼間は控えたい。
縁側から軽く空を見上げれば、お天道様が高々と昇っている。道理で汗もかくわけだ。
ぼくも今のうちに離れに戻って、着替えてしまおう。
「……ただいま」
「おっ!? お帰、り」
玄関のところまで行って、ちょうどタイミングよく環ちゃんと遭遇する。
「学校、早く終わったんだね。び、びっくりしたよ」
愛想笑いの陰で冷や汗をかく。あっぶない、お風呂にご同伴しなくて良かった。環ちゃんの帰りが後少し早かったら、お風呂どころか最中を目撃されてしまっていたことだろう。
それじゃあ、と平静を装って、脇を通り抜けようとする。すると、行く手を塞がれた。
「……?」
首を傾げるぼくを、環ちゃんは手招き。そして、木目の床を指差す。
それの意味するところは──『正座』。
疑問を呈する前に、大人しく膝を折った。環ちゃんの背後に、怒気のオーラと般若が浮かんで見えたから。
お叱りを受ける前に、考える、自分で。その方がお説教も短く澄む。
環ちゃんの怒っている理由──幸いにも、すぐに気づくことが出来た。
「……環ちゃん、その格好って」
学校の制服、ではない。ラフな私服。
つまり、ええっと?
「今は三月。昨日から春休みよ」
「…………」
学校に行っていると思っていたのは、ぼくの勘違い。ちょっとお出掛けしていただけ?
要するに、とっくに帰ってきていたと。
そうしたら、お屋敷のキッチンで夫婦が励んでいて、出るに出られなかったと。
「言い訳は?」
「……こよみが可愛かったので、つい」
こよみと揃って、夫婦仲良く、お説教されたぼくたちだった。
──やっぱり、こよみが可愛すぎるのがいけない。
「奥さんのせいにしない!」
はい、すみません。
この里で過ごす三年目の春。
春も満開。桜の季節は、まだまだ続きそうである。
この続きは、好評発売中のぷちぱら文庫『新妻こよみ』でお楽しみください!!
(C)SHUNSUKE HAMASAKI/Hadashishoujo
春の始まりとは、いつからだろうか。
季節の明確な区切りがない以上、正確に定義することは容易じゃない。ぼくが思うに、それは地域ごとに違うものであり、自然に任せるものだ。ならば、春の始まりは桜の蕾が芽吹いた時である。この里に来て、ぼくはそう思うようになった。
この考えに従うならば、三月下旬。
かつて和海村と呼ばれたこの里の春は、雨後の筍から始まる。山に積もる冬の白雪が溶けると、枯れていた木々が一斉に芽吹き、季節は冬から春へと移り始める。最初は、まぁ、他の里の春と変わらない。枝にこびりつく苔色ばかりが目につくのだが、少しすると、山々の真ん中に、ぽつりぽつりと人間の頭でいうところの白髪が出来始める。ぼくたちにとっては恥や老いの象徴かもしれない、山のそれは、新しい季節と生命の到来であり、白から薄紅色に開き始めるその色こそ、春のシンボルだ。
ここから雨後の筍が始まる。薄紅色がぽつりぽつりと増え始め、里をぐるりと取り囲む山々を、少しずつ春一色に染めていく山桜たち。春の津波が緑の山を呑み込んでいく。その様は圧倒的で、地面にしがみついて生きる、ぼくら人間のちっぽけさを感じずにはいられない。土を採る陶芸家は、山と共に生き、山に活かされる。桜の花がやがて土に帰るなら、ぼくら陶芸家は、桜の花びらをこねていることになる。陶芸家は、桜に活かされているのだ。
住処である離れを出て、大きくあくびをする。
朝日と呼ぶには遅すぎる太陽にご挨拶。次は里にご挨拶、小高い丘に位置するこの屋敷は、桜の海に沈んだ里を眺める絶好のスポットだ。取り囲む山々も、すっかり桜模様。もう一ヶ月もしないうちに散ってしまうのは寂しいけれど、また来年会えると思えば、今の美しさを楽しもうという余裕も出てくる。
この里で過ごす三年目の春。まだまだ、桜は続きそうだ。
「さて」
腰を回して背伸びもして、軽い柔軟で体の目を覚ます。
今朝も春を満喫できて、心はすっきりだが、まだ物足りない。愛しい奥さんの声を聞かなければ、ぼくの目は百パーセント開眼したことにはならないのである。
桜の花びらが彩る庭を横切り、本館の御屋敷に向かう。
山奥の里なので、人は少なく、土地は余っている。最初来た時は、その大きさに内心驚いていた玄関をくぐり、居間を目指す。縁側の窓も開け広げているんだろう。廊下を吹き抜ける温かい春風を全身に浴びて、もう一度猫のように、うんと伸びをしたくなった。
「こよみー」
愛しい奥さんの名前を呼ぶ。
返事はなかったけれど、気配があった。夫婦だからこそ感じられる伴侶の呼吸。ゆっくりとそちらに足を向ける。
すぐに見つけることが出来た。朝日をたくさん浴びて、美しい艶を放っている栗毛色の髪。里を歩いているその様を遠くから見れば、毛並みのいい仔馬が散歩しているのではないかと見間違えてしまいそうだ。
幸せそうな鼻歌に合わせて軽やかに踊っていた毛先がくるりと回って、こちらを振り返る。
「おはよう、こよみ」
「おはよう、あなた。今日はお寝坊さんね」
くすくすと楽しげに微笑まれる。その愛らしさに、目覚めかけていた頭が、また夢の中に逆戻りしそうになってしまう。
「なにを作ってるの?」
「んー、ナイショ」
今度は、イジワルされる。そんな姿も可愛らしい。
桜に似た薄紅色のエプロン。春をまとった奥さんだ。あまりの可愛らしさが外にまで漏れ出て、キッチンの空気までピンク色に染めているようにさえ見える。
可愛い奥さんのエプロン姿。寝起きのぼくには刺激が強すぎる。ご馳走様です。
「?」
眼福と、ありがたく手を合わせたぼくに、首を傾げる。その様さえ可愛らしくて、色っぽくて、誘っているようで、草食系を自認しているぼくだって、ついつい朝から彼女に構ってもらいたくなってしまう。
「今ね、おまんじゅうを作っているの。山崎のおばあさんから、よもぎまんじゅうの作り方を教わってね」
もうすぐ出来るのだろう、おまんじゅうと、それを食べたぼくの喜ぶ顔を想像して、嬉しそうに肩を弾ませるぼくの奥さん。その背後に、そーっと歩み寄る。
「出来たら一番に食べさせてあげるね。……ひゃっ!?」
後ろから、ちょっと勢いをつけて、びっくりさせるようにハグ。鼻先で栗毛色の髪の毛が跳ねて、お日様の匂いがする。
「……あなた?」
「なに?」
「……お料理、出来ないよ?」
「そう?」
腕の中にすっぽり収まったこよみが、また可愛らしい上目遣いで抗議してくる。もちろん、素直に言うことを聞いてはあげない。……春風を浴びて、目も覚めたはずでは? 今のぼくはこよみという病に掛かっているのです。
はぁー、こよみの体、あったかいなぁ。ぽかぽかする。
大好きな奥さんの体温が、じんわりとぼくの方に染み込んできて、心までぽかぽかしてくる、幸せ。
「あ、んんんっ」
自然とわき上がった欲求に従い、甘えるように、かぶりつくように、その首筋に鼻先を埋める。春の陽気でぽかぽかとなった白い肌は、甘い花の香りがして、思い切り鼻から吸い上げてしまう。それに気づいたこよみが、恥ずかしげに身をよじるけれど、止めはしない。悪いけれど。
「も、もう」
またまた可愛らしい上目遣いで抗議。でも、やっぱり逃げようとはしない。
いつもなら、この辺りで引いて、ごめんねと仲直りするのだけど、春の陽気のせいだろう。もしかしたら、寝起きの精かもしれない。うん、それだ。寝起きのせい、そうしよう。
「ひゃっ!?」
調子に乗った右手が、エプロンと衣服の窮屈な隙間に潜り込む。起きたばかりのモグラのようにもぞもぞ進んで、小さな苦労の末、目的地の丘に辿り着く。
柔らかい。今日もこよみのおっぱいは、ぬくぬくのふかふかだ。衣服越しなのが惜しい。こよみのおっぱいの柔らかさは、こんなものではないのに。
「あ、あ、あなた……?」
短い時間に百回ほど自問自答して、エプロンを脱がせることは諦める。せっかくのエプロン姿がなくなってしまうのは実に勿体ない。
そのエプロンの内側、こよみの体温がこもってあったまった内側。ぬくぬくで、手のひらがあったかい。居心地がいい。冬でもここにいれば、ちっとも寒くないに違いない。
一年中、ずっとここにいたいかも。ううん、いたい。家賃はおいくらでしょうか。
「も、もう、あなたっ」
「うん?」
「明るいうちから、エッチなことしちゃ、ダメなのよ?」
「エッチなことって、例えば?」
「お、おっぱい、とか」
わざとらしく首を傾げて、聞こえていないアピール。聞こえないなー。
「……わざと言わせてない?」
「うん」
うううぅぅぅっと、こよみが涙目で抗議してみせる。
「起きたばかりのあなたは、イジワルだから嫌いっ」
真面目に言われたら、軽く三日三晩は寝込んでしまうだろう『嫌い』も、耳まで真っ赤にした可愛らしさでは、更なるイジワルをおねだりしているようなものだ。
とっても近くで、視線が絡まる。まつ毛も触れ合ってしまいそう。
キスが出来る距離。これが今のぼくたちにとってのポイントだ。
それでいで、ぼくたちは仲良し夫婦。
「今は誰もいないよ?」
「……お料理中だもの」
「理由になってるかな」
「……包丁、危ないよ?」
包丁を握っている手の甲に、ぼくの手を重ねてあげる。夫婦の雰囲気には似合わない、無粋な包丁が脇にどけられて、キスをしない理由はなくなった。
こよみが瞼を閉じて、そっと可愛らしく、唇を差し出してくれる。
ぼくもいっぱいの愛しさを込めて、それに応え──ようとした。実際、これまでのぼくなら、イジワルしてしまった分をごめんねと、いっぱいいっぱい優しくキスして、愛し合っただろう。
……起き掛けではなく、今日のこよみが可愛すぎるせいだろう。この期に及んでも、イタズラ心が働いてしまった。
──ちゅっ、と。
「……え?」
唇ではなく、赤ん坊のようにもちもち、ふわふわの頬っぺたに、ちゅっと。
待ち受けていたこよみが途端に目を開いて、ぱちくり。次いで、ニコニコとイジワル顔をするぼくを見て、かぁーっと今まで以上の真っ赤に、林檎顔になってしまう。
「も、もう、もうっ!」
「あはは、ごめんごめん。やりすぎちゃったね」
「知らないっ」
ぷいっと、もう知らないと、大人げない夫に怒りを露わにする。
「ごめんね、ホントにごめん。エプロン姿のこよみが可愛すぎて、ついついやってみたくなっちゃったんだ」
「知らないもん」
「ごめん。いや、ごめんなさい。反省してます」
ぼくたちにとっては、こういうやりとりすら、夫婦の惚気、イチャつきの一環に過ぎない。その証拠に、こよみだって、少しも逃げようとはしない。代わりに、ちらちらとぼくの方を上目遣いで見て、期待する眼差しを送って来てくれる。
次は、ホントに怒るからね、と。
他の誰かがいる時に見せる、聡明で凛々しい姿も、夫婦二人きりの時は隠れてしまう。甘えん坊で、子供っぽく膨れた頬っぺたに、約束のキスを落とす。ぼくを信じて、もう一度唇を待ってくれる従順な姿に……もう一回だけ、イジワルしたい気持ちが働いたが、それは、ぽいっ、しておいた。さすがにこよみが怒っちゃうだろうし、可哀想だし、ぼくだって、本当はしたくてたまらないんだ。
「んっ、ちゅ……む、ちゅぱ……」
胸の奥から溢れ出る愛しい衝動に、素直に従う。唇を重ねる、そっと、優しく。イジワルしてしまったことを、ごめんねと謝る気持ちを伝える。
「ん……ふあぁ……」
瑞々しい唇が離れて、熱い吐息を吹きかける。たったの一度で、ぼくたちの息は、こんなにも熱くなってしまう。
「…………」
まつ毛を重ね合わせながらの、上目遣い。一回しかしてくれないの。と。
「はぁむ、むちゅ、ちゅ……ちゅ、ぴ……ちゅ、んちゅっ」
いつもよりイジワルしてしまった分、心を込めて期待に応えてあげる。愛してと寄せられた、ふっくらとした唇に自分ものを重ねて、それだけではなくて、ご希望通り甘く食む。愛でる。ちゅぱっと、愛している証拠の口付け音で、甘えたがりの奥さんの耳を満足させる。
「んちゅ、ちゅ、ふあ……キス、好きぃ。イジワルされた後のキス……むちゅ、とっても優しく、してくれるもの……」
ぼくも、こよみとのキスが好きだよと、キスの合間に微笑んでみせる。喜びと愛しさで瞳を輝かせて、ずっと受け身だった奥さんが、甘い唇を押し付けてくる。優しいキスも、こよみの手にかかれば、あっという間に情熱的なものに早変わりだ。
「むちゅ、ちゅ、ちゅ……ちゅ、むちゅ……れお、ちゅ、ぴ」
こよみの可愛らしい舌が、ぺろりとこちらの口元をくすぐる。イタズラっ子を捕まえようと、ぼくも同じことを返してやる。
「ちゅ、れちゅ……んんんっ♪」
口の中に逃げ込もうとした、ちっちゃなそれを甘く食んでオシオキしてあげる。嬉しそうな声が鳴る。捕まっちゃったと、本当は、自分から捕まりに来たくせに。
「……あんこの味?」
「……おまんじゅうを作ってから」
「つまみ食い?」
「味見だもん」
軽く膨れた頬っぺたに、ごめんねとまた口付けして、ご機嫌取り。それくらいじゃ、誤魔化されないもんと、唇を尖らせてキスのお代わりをおねだりされる。もうすっかり甘えん坊のこよみの方から、もっともっととせがまれるまま、それに応えて続ける。応えるだけ。これだけでも、ここがどこか忘れてしまうくらいにのめり込んでいく。
「ちゅ、むちゅぅ……ふぁ?」
真っ昼間から夫婦のキスに蕩けすぎて、二人とも口元がべっとりと濡れている。
「あ、あなた? えっと」
あんこの味もなくなった頃に、気付かれてしまう。まぁ、気付いちゃうよね。
「……明るいうちから、エッチなことはいけないのよ?」
「これだけエッチなキスをすれば、こうなっちゃうよ」
紛れもない真実であり事実なので、ここだけはちょっと強く言い訳させてもらった。こよみのむっちりお尻を、スカートの上からぐいぐいと押しているもの。完全に勃起して、吐き出し先を求めてしまっている下半身のそれ。
「んっ、あ、んっ」
イタズラではなく、鎮めてほしいなと、ぐいぐいお尻に押し付けてアピール。こよみに直接してもらわないと、夜までこの硬さに苦しむことになりそうだ。
「……エッチなことは、いけないのよ?」
そうして目を細めながらも、すりりとお尻が上下に一往復。我侭な股間のおねだりに、応えてくれる。不承不承でも、夫のお願いを聞いてくれる、奥さんの鑑ともいえる姿。けれど、彼女の唯一の夫である、ぼくだけは気づいている。
「んんっあ……! はあ、んんっ、はあぁぁ」
スカートを両手でたくし上げて、その奥に隠れていた、おいしそうなお尻を撫で回す。綺麗な桃の形。桃と例える以外にない、美しいというより、おいしそうなラインのヒップは、本来スカートに隠しておくべきものだ。街中ではスカート越しでも見せられない。
「はぁ、はあぁ……んんっ!」
ぼくの思った通り。渋々とこちらのお願いを聞いてくれた風だったけど、ショーツの中央が、ぐっしょりと濡れていた。こよみも、とっくにシたくて堪らなかったんだ。
バレてしまった頬が、庭にも咲いている桜の色を帯びる。貞淑な妻として振る舞おうとしている手前、昼間からこんなに濡れていることは、はしたない以外の何物でもないんだろう。あえて言葉は掛けず、それよりも安心させてあげられる抱擁を、ぎゅっと。そうして、するすると白いショーツを脱がしてしまってから、耳元で優しくおねだり。
「……こよみ、いい?」
恥じらいで一瞬の間を挟んで、こくりと。
愛する奥さんの許可をいただいて、朝から元気すぎるイチモツが、彼女のあったかいなかへと潜り込んでいった。
「ああっ、んんっ、あっ、はあ──ンンンンンぅぅああぁっっ」
ずっぽり、ぴったりと、夫婦が奥の奥まで繋がり終えた幸福感が、下半身だけではなく、足先から髪の毛の一本一本に至るまで、満ちている。夫婦生活三年目、すっかり慣れた挿入の快感、感触。普通の夫婦にありがちな倦怠感も慣れもなく、新婚の頃のように、ぼくは気持ちよく、彼女も気持ちよく悶え、繋がれた幸せと安心感に身を浸す。
「台所でエッチ、しちゃってるね……」
「はぁ、はああっ……うん、しちゃってる、はあっ、はいっちゃってるのぉ」
紡がれる声が色っぽい。こよみはいつもそうだ。聡明で貞淑なお嫁さんという風なのに、夫婦の営みとなるこんなにも夫であるぼくを誘惑し、いとも簡単に発情させる。
「んっ、ああぁ、はあっ……あなた、待って、まだ、んっ、あっああぁあ!」
エプロンを大きく押し上げている、清楚な妻には似つかわしくない巨乳を、上から大胆に揉みしだく。手が動けば、足が動く。行為の最中は足の代わりに腰が動く。
こよみのおっぱいが悪い。お屋敷だというのに、腰の振りに熱が入っていく。
「あっ、あぁあっ、んんぁ、はげしいっ、最初から、はげしいのぉ」
「エプロン姿のこよみ、とってもおいしいよ」
「ああぁぁぁうう、エッチな言い方、だめぇ、もっと、感じちゃうからぁっ」
白くむっちりとしたお尻と太ももが丸見えの状態で、こよみが恥ずかしげに、とても艶めかしい仕草で身をよじる。仔馬の髪が揺れて、お日様の匂いに甘いいやらしい匂いがブレンドされていく。ぼくの一番好きな匂いだ。
「ここ、お台所なのに、それなのに、セックス……あぁ、セックス、なんてぇっ」
「夫婦の営みは、ベッドの上だけじゃないって、知ってるでしょ?」
「そうだけど、そう、だけど……とっても、ドキドキしちゃって、先生も、環ちゃんもいないってわかってるのに、ドキドキがとまらないで」
「……ドキドキして、いつもより興奮しちゃう?」
図星を突かれたこよみが、林檎の顔から湯気を立てながら、細い身を縮こませる。同時に膣内まで縮こまって、過敏な肉棒を吸いたてる動きに、身震いしてしまう。
挿入前から、あんまり長くはもたないと確信はしていた。予想よりも、ずっとずっと早くきそうで、射精の大波に今からもう備え始める。
「あっ、ああぁああぁぁ! あぁう、あっ、あっ、んんっ、あ、ああぁあ!」
腰の前後運動を強めて、お尻のお肉が波打つくらいに、打ちつける。
二回、いや、三回かな。今日は誰もいないし、たまにはお屋敷でセックス、してもいいよね? ……ぼく、まだ半分寝ぼけてるなぁ。
「あなた、キス、キス、してぇ」
「もう少し、くう、もう少し、待ってね」
キスは、お互いに気持ちよく果ててから。口付けは魅力的だけど、今そちらもしてしまったら、ピストンが中途半端なものになってしまう。
「はあぁ、ああぁっ……あなた、はあっ、あなたぁ」
夫を立ててくれる彼女は、一度お願いされれば、我慢しようと努めてくれる。けれど、目で訴えてくる、今ほしいのと。
「はあ、むちゅ、ちゅるむ……っ、んむ、ちゅ、ちゅぱ、ちゅ、ちゅるぱっ」
一度だけ応えてあげる。一度というのは少し長すぎたけれど。
「終わったら、またしてあげるからね」
「んんっ、むちゅ……はあ、はああぁ、うん、うんっ」
キスを切っ掛けに、明らかに愛液の量が増えた。穴にひしめく膣襞がざわめき、ヌルついた蜜汁を吸って、甘く蕩けた襞ヒダたちが嬉しそうに吸い付いてくる。肉棒の芯までしゃぶる勢いで可愛がられて、尿道内の汁という汁を搾り上げられる。
もう、辛い……やっぱりもう、限界だ……!
「あなた、あなたぁっ、オチンチンの子種汁、出して、今日もいっぱい、わたしのお腹に出してぇ。お屋敷のお台所で、先生たちに秘密の、秘密の子作り……! バレたら環ちゃんに怒られちゃう、いけない子作り……!」
先生のお家にご厄介になっている身でありながら、先生と環ちゃん、二人の生活している空間で、愛する妻に種付けをする。キッチンはやっぱり何かを作る場所なんだろう。下腹部が異常に熱くなり、熱々の奔流が肉棒の内側で渦巻いて出番を待っている。
破裂寸前のこの猛りの全てを、愛しい奥さんの子宮に、注ぐ……!!
「あぁっ、あっあ、イく、わたし、イッちゃう、環ちゃんとお料理している場所で、お台所で、イく、イッちゃう、あぁ、ああっ、ぁああああぁぁぁぁぁ……!!」
──ビュッ、ビュルルッ!! ビュルルルルルルルッッ!!
「ンンンンンンンンぅあああぁ!! あっ、ああぁ、せーし、せーえき、あなたのお汁が、わたしを孕ませようって、お腹のなかにきてる、きてるのぉ!」
何千何万ではなく、一度の射精に含まれる何億という精子が、一斉にこよみの赤ちゃんの部屋、子宮に向かい始める。群がり、群れて、お母さんであるこよみを孕ませようと、ぼくの放った子種たちが、そのお腹の奥を目指して進んでいく。明確にその様を見たわけでも感じたわけでもない。けれど、自分の放ったものだからか。美人で聡明な奥さんが、ぼくの子供を孕んでいる姿を想像して……妄想が膨らみ、放った子種たちの様子さえ思い描いてしまう。
「はぁ、はああぁぁ……はぁ、はあぁぁーっ……」
喜びと満足感。色っぽい吐息に、二つの感情が乗る。
まな板の上に重たいおっぱいごと預けるその背中に、少しだけぼくの方もお邪魔させてもらう。繋がったままの肉棒に、ひくひくと、膣内がイッた喜びを伝えて来てくれている。
疲労感、爽快感。全ての子種を出し終えるまで、このままで。……尿道にはまだ残り汁がたっぷりで、出し終えるまでには、もうちょっと掛かりそう。だから、もう少しこのまま。仕方ない。
「……あなた……ん、ちゅ、むちゅ、ちゅむ」
終わった後は、約束の口付け。今日もたくさん愛し合えた幸せを、唇に乗せて伝え合う。
あんこの味がしなくても、こよみの唇はどんなお菓子よりも甘く、おいしかった。
……思っていた通り、励んだ回数は三回。二回では物足りなかった。
エッチしている最中に目も覚めた。寝坊助から普段のぼくに戻れば、奥さんからの軽いお説教が待っていた。それもそのはず、こよみの下半身は、内腿までぼくの精液でべったりで、ティッシュでは到底処理できないくらいになっていたのだ。
「……ごめんなさい」
「もう」
お風呂場に行く彼女を、黙って見送る。汚れをキレイにしたり、汗をかいた服を着替えたり、しなきゃいけないことがたくさんあるんだろう。ぼくもご同伴したかったが、さすがに自重しておいた。四回戦を始めてしまっても、こよみは受け入れてくれるだろうけど、そろそろ昼間は控えたい。
縁側から軽く空を見上げれば、お天道様が高々と昇っている。道理で汗もかくわけだ。
ぼくも今のうちに離れに戻って、着替えてしまおう。
「……ただいま」
「おっ!? お帰、り」
玄関のところまで行って、ちょうどタイミングよく環ちゃんと遭遇する。
「学校、早く終わったんだね。び、びっくりしたよ」
愛想笑いの陰で冷や汗をかく。あっぶない、お風呂にご同伴しなくて良かった。環ちゃんの帰りが後少し早かったら、お風呂どころか最中を目撃されてしまっていたことだろう。
それじゃあ、と平静を装って、脇を通り抜けようとする。すると、行く手を塞がれた。
「……?」
首を傾げるぼくを、環ちゃんは手招き。そして、木目の床を指差す。
それの意味するところは──『正座』。
疑問を呈する前に、大人しく膝を折った。環ちゃんの背後に、怒気のオーラと般若が浮かんで見えたから。
お叱りを受ける前に、考える、自分で。その方がお説教も短く澄む。
環ちゃんの怒っている理由──幸いにも、すぐに気づくことが出来た。
「……環ちゃん、その格好って」
学校の制服、ではない。ラフな私服。
つまり、ええっと?
「今は三月。昨日から春休みよ」
「…………」
学校に行っていると思っていたのは、ぼくの勘違い。ちょっとお出掛けしていただけ?
要するに、とっくに帰ってきていたと。
そうしたら、お屋敷のキッチンで夫婦が励んでいて、出るに出られなかったと。
「言い訳は?」
「……こよみが可愛かったので、つい」
こよみと揃って、夫婦仲良く、お説教されたぼくたちだった。
──やっぱり、こよみが可愛すぎるのがいけない。
「奥さんのせいにしない!」
はい、すみません。
この里で過ごす三年目の春。
春も満開。桜の季節は、まだまだ続きそうである。
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(C)SHUNSUKE HAMASAKI/Hadashishoujo