このままだと弟がテクノブレイクで死んじゃうから子作り!
2018年3月14日
ぷちぱら文庫
著:蝦沼ミナミ
画:yoppy
原作:アトリエかぐや Honky Tonk Pumpkin
3月20日発売のぷちぱら文庫『このままだと弟がテクノブレイクで死んじゃうから子作り!』のお試し版です!


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受験を乗り越えオナニー解禁! ……しようとした弟のもとへ、美人で巨乳な三姉妹が帰ってきた!! 弟の貞操はどうなる!?









 どうにも落ち着かない気分で、そわそわと時計を見上げる。
 午前十時。大丈夫、まだ慌てる時間じゃない。もうすぐジャングルみたいな名前の大手ネットショップから、宅配屋さんがあれを届けてくれる。それを落ち着いて待っていればいいのだ。
 なにしろ今日は三ヶ月ぶりのオナニー解禁日。この春から大学への進学も決まり、昨年末から溜めに溜めに溜めまくった青春と欲望のドロドロを迸らせる日がやってきたのだ。
 いよいよ追い込みに入った受験勉強のため、日課のオナニーをがまんすることにしたのが、昨年十二月のこと。
 さらに入試が終わってからも、合格祈願の願掛けも込めてオナ禁を継続してきた。そのかいあって────かどうかは知らないが、つい昨日、大学からの通知が届いて志望校合格。春からの大学進学が確定したのだった。
 なにしろ三ヶ月だ。
 箸が転がっても勃起するお年頃すぎるペニスに、延々とむりながまんを強いてきたのだ。
 だがそれもいよいよ解禁。長い努力がついに実ったのだから、自分へのご褒美とお祝いもかねて、三ヶ月分の忍耐に見合う最高の射精体験があってしかるべきだ。
 そのために、「あねパイ」を用意したのだ。
 巨乳すぎるお姉さんの、やわらかすぎるふわトロおっぱいを再現したオナホール。通販サイトでは★5評価が無数に並び、気難しいオナホソムリエたちの評価も良好。人肌シリコンをたっぷり二キログラムも使用しており、サラサラ美肌層、トロトロ柔肉層、プルプル脂肪層、ピチピチ弾力層……とシリコン六層構造で本物のおっぱいさながらの揉み心地を再現し、さらには本物以上の挟み心地をも実現しているという。これこそが、溜めに溜めた三ヶ月分の報酬に相応しい。さあ来たれあねパイよ、この俺のメモリアル射精を華々しく彩るために!
 そんなことを思いながら、再び時計を見上げる。
 午前十時十分──おかしい、さっきから三時間ぐらいすぎた気がしていたのに、まだ十分しか経っていないじゃないか。
 志望校からの合格通知が届いたのが、昨日の午前中のこと。
 それを見たとたん、海外在住の父親に電話連絡を入れるより速くPCを立ち上げ、お急ぎ便であねパイを注文。それから約二十五時間──昨日からずっとそわそわしていたけれど、待てば待つほど体感時間が遅くなっているような気がする。

「落ち着け俺。これは焦らしプレイ。最高のオナニーのためのセルフ焦らしプレイだ」

 そう声に出し、焦る気持ちを押さえつけたところで玄関のチャイムが鳴った。

「来たっ!」

 漲りすぎていた性欲が、声になって喉から迸る。
 半ば転げるように自分の部屋を飛び出し、急ぎ足で玄関へ。すぐさまドアノブに手を伸ばしたところで、独りでにドアが開いた。

「あれっ……ふわ、むぐっ!?」

 勢い余ってつんのめった身体をやわらかな感触が受け止めた。
 とっさに身体を支えようと目の前の「壁」を掴むと、聞こえてきたのは「あんっ」とくすぐったそうな声。そして手のひらに覚える、天国感あふれる触り心地。さらさらで、もちもちで、ふわふわで、ぷるるんしていて……?

「えっ、あの、これっ……!?」

 とっさに顔を上げると。そこにはスラリと長身なモデル体型のお姉さん。
 くりっとした気の強そうな瞳に艶やかなロングヘア。いや、それ以上に目を奪われるのは、その見事すぎるおっぱいだ。大胆に胸もとの開いたタンクトップに詰め込まれた乳房はバレーボール級のボリューム感。どうやら、つんのめった拍子にその谷間に顔面を突っ込み、あろうことか両手で鷲掴みにしていたらしい。
 違う。この人はたぶん、あねパイを届けにきてくれた配達員さんじゃない。
 てゆっか大問題だ、見知らぬ訪問客に、盛大にセクハラをかましてしまった。慌てて身体を引こうとしたところで、だが当のお姉さんがムギュッと抱きしめてきた。

「ふふっ、大胆なお出迎えね」
「…………っ!?」

 そしてますます強く、強く顔面に押しつけられる天国感。顔が熱くなり、心臓がバクバクと脈打ち、呼吸の仕方も忘れて半ば気が遠くなりかけたところで──。

「ねえ、息してないよ? 龍哉が死んじゃう」

 と、聞こえてくるもう一人の声。
 その言葉で、ようやく熱烈すぎる抱擁が弛んだ。そろそろと顔を上げると、目の前には大胆にさらけ出された上乳が作る深い谷間。目の前にはにこにこ顔のお姉さん──さらにその左右に、べつのお姉さんが一人ずつ。

「ごめんごめん。あっちだと、ハグぐらい普通なんだけどね」
「距離感近すぎ。日本の男の子はシャイなんだから」

 口を挟んできたのは、明るい色の髪をツインテールにまとめたお姉さん。立派なお胸をパーカーに押し込み、弛めにファスナーを下げた胸もとから、プルプルと張りのありそうな深い谷間を覗かせている。その肌色に視線を奪われていると、横合いからもう一人が手を伸ばしてきた。

「びっくりしちゃったわ。すっかり男っぽくなってるんだもん」

 こちらは、腰まで届きそうなロングヘアのお姉さん。
 おっとり穏やかそうな笑顔のすぐ下では、これまた巨乳すぎる巨乳が薄い春物ニットの胸もとを張り詰めさせており、思わず視線を奪われてしまう。

「うふふっ、でも甘えん坊なところは変わってないのね。いっつも、私たちに甘えてばっかりだったものね?」

 その吸い寄せられた頭を、たおやかな手が捕まえた。
 優しく絡め取るように抱き寄せられて、再び巨乳に顔を埋める。薄いニット地の向こうにお姉さんの体温を感じながら、すりすり、すりすり。思わず顔が熱くなり、心臓がバクバクと脈打ち、息をするのも忘れて軽く気が遠退き──。

「だから、死んじゃうってば」

 すっかり夢心地だったところをグイッと引き離される。
 背中には、これまたやわらか巨乳の感触。危うく乳圧死しかけたところを、ツインテールのお姉さんが救助してくれたらしい。いま言うべきは「ありがとう」なのか、それとも「ごめんなさい」だろうか。いや、そんなことより、このお姉さんたちは何者なんだろう。

「えっと、あの、すみませんが──」
「なによ、まじめぶっちゃって。久しぶりだからって緊張してるの? 前はいっつも、べたべた甘えてばっかりだったくせに」

 どちらさまですか、と言い終えるより早く、最初のお姉さんの溌剌すぎる笑顔が見返してきた。そのからかい口調に、たまらない既視感を覚える。

「もしかして、岬姉ちゃん!?」
「うん。今日からお世話になるわね?」

 まだ戸惑いが抜けきらない龍哉に彼女がほほえむ。
 姉たちと離ればなれになって数年。三人とも見違えるくらいきれいになったけど、その笑顔だけは、いっしょに暮らしていた子供のころのままだった。



 磯島龍哉には三人の姉がいる。
 彼女たちと離れて暮らすようになったのは、両親の離婚がきっかけだった。知的好奇心の赴くままに世界中を飛び回っている海洋学者の父と、独立の気概が強い母。マイペースすぎる二人の結婚生活は最初のうちこそうまくいっていたが、互いが互いの仕事に没頭するうち、次第にすれ違いが多くなっていった。そして子供たちが手のかからない年齢になったのをきっかけに、離婚して別々の人生を歩むことになったのだ。
 べつにドロドロした愛憎劇の果ての別離ってわけじゃない。
 父の話だと「互いの人生をよりよくするための発展的解消」ってことらしい。だが大人たちはそれでよくても、大人の決定に振り回される子供の立場としては大問題だ。仲が悪いわけでもない二人がどうして離婚しないといけないのかさっぱりわからなくて、当時は神様に、理不尽な運命に対する苦情を毎晩のように申し立てていたものだった。
 以来、龍哉は母や姉たちの事情なんて知らずに暮らしてきた。離ればなれになって十年近く。一度も会いに来てくれない母親たちへの恨み言を口にしたときもあったけれど──。

「私たちも会いたかったけど、アメリカと日本じゃ気軽に会いに行くわけにもいかなかったもんね。お母さんも、龍哉のことは気にしてたのよ?」

 ダイニングキッチンの椅子に深く腰掛けながら、ミニ丈のスカートから伸びる脚を組み直しているのは長女の岬。いっしょに住んでいたころから美少女だったけど、それに加えてオトナの色香まで過剰積載して、とびっきりの美女に成長している。

「姉ちゃんたち、アメリカに住んでたの?」
「昨日まではね。でもお母さんたちが落ち着くまで、大学を休学して、しばらくこっちで暮らすことにしたのよ」
「へえ……?」

 春の陽だまりみたいな口調で言うのは次女の唯那。勝手知ったるといった様子で食器棚を探し、四人分のお茶の準備をしている。

「龍哉のコップが見当たらないわね。水色ぞうさんの」
「そ、そんなの、もう使ってないよ!」
「ああ、ごめんなさい。そうよね。龍哉も、もう大人になったんだもんね」

 クスクス笑う唯那。そういえば彼女は、昔から面倒見がよかった。留守がちな両親に代わって家事を引き受ける彼女に、ずいぶんとかわいがってもらったのを覚えている。

「それで、久々に会いに来てくれたんだ。住む場所はここから近いの?」
「そうね。あのころの私たちの部屋を使わせてもらうつもりだけど……今、なにかに使ってるのかしら」

 穏やかな口調で返しながら、唯那がケトルのお湯を急須に注いでゆく。もしかして、今日はここに泊まるつもりなのだろうか。いや、もともとは姉ちゃんたちの家でもあるんだから、「泊まる」なんて言い方も他人行儀な気がする。なにしろこの家には、まだ彼女たちが住んでいたころの机やベッドも残っているのだから。

「話つながってないよ。もしかして、お父さんから聞いてない?」

 と、冷静に口を挟んだのは三女の希実華。もともとクールで落ち着いた性格だったけど、当時の印象そのままのおすまし顔が、じっとこちらを見つめている。

「お父さんとお母さん、再婚することになったんだけど」
「えっ、それ本当!?」
「私たちも、もうすぐ磯島の名字に戻るよ。お父さんから聞いてるでしょ?」
「いや、初耳」
「じゃあ、連絡忘れてるのかな。お父さんらしいね。頭はいいくせに、私生活のことは、なにをやらせてもずぼらな人だったもんね」

 希実華の口角がかすかに上がり、いかにも冷静そうだったおすまし顔が崩れた。
 あきれているというより、懐かしんでいるような口ぶりだった。彼女にも、いっしょに住んでいたころはずいぶんかわいがってもらった。一番年齢が近いこともあって、半分友達みたいな感覚で遊んでいたのを覚えている。

「そういうわけで、今日からまた家族よ? よろしくね、弟くん?」

 淹れたてのお茶を啜りながら、ウィンクしてみせる岬姉ちゃん。
 その気さくな口調に、じんわりと胸の中が熱くなる。
 マイペースな岬。台所仕事をしている唯那。自分がいない間に入れ替わったキッチン家電をチェックしている希実華。文字通り自分の家のようにくつろいでいる姉たちの姿を見ると、十年の間隙なんてなかったかのように、四人の距離が埋まってゆくのを感じる。

「私たちの部屋って、今、どうなってるの?」
「うん。家具なんかは、ぜんぶそのままになってるよ」

 もともと、六人家族で住んでいた家だ。だけど両親の離婚で父一人子一人の生活になり、その父親もこの数ヶ月は、フィールドワークとやらで南太平洋のほうに出ずっぱりだ。龍哉としては、この一人暮らしには広すぎる家を少々持て余していた。そのおかげで、気楽で自堕落な生活を楽しめてもいたのだけれど──。

「あっ」

 思わず漏らした龍哉を、三人分の瞳が見返してきた。

「どうかしたの?」
「えっと……ちょっと待ってて。姉ちゃんたちの部屋、片付けてくるから!」
「それぐらい自分でやるわよ」

 と、答えたのは岬姉ちゃん。彼女は一口お茶を啜ったあとで、ふとなにかに気付いたように、にんまりとイジワル顔でこちらを見つめてきた。

「ああ、さてはエロ本でも隠しにいくつもりなんでしょ?」
「そういうのよくないよ、岬。男の子はデリケートなんだから」
「そうそう。龍哉くらいのお年頃なら、セックスに興味があるのが当然」

 とびきり魅力的になってしまった彼女たちの口から、「エロ本」だの「セックス」だの。今の三人は家族で、でも見知らぬ女の人のようでもあって……なんだか混乱して、ひどく胸がドギマギしてしまう。
 だが今は、そんなことより目の前の問題を解決しなくてはならない。

「とにかく、姉ちゃんたちはゆっくり休んでて!」

 そう言い残して、再会の感慨もそこそこに自分の部屋に駆け込む。
 まずは岬姉ちゃんのご想像通り、一人暮らしの気安さで出しっぱなしにしていたエロ本をベッドの下に放り込む。エロ画像ビューワーと化していたタブレット端末にはパスワードを設定して、本棚に並べていたアダルトDVDは箱詰めして押し入れの奥へ。次にパソコンを立ち上げて、通販サイトを確認する。
 さすがにまずいと思うのだ。
 同居生活が始まるその日に、シリコン六層構造で巨乳お姉さんのふわトロおっぱいを緻密に再現した★5オナホールが自宅に配送されてくるだなんて。見つかったら軽蔑必至だし、ついさっき玄関先で、リアルあねパイに顔を突っ込んでしまったことまで遡って追及されかねない。姉弟の新生活初日を大過なくすませるためには、とにかく、この『あねパイ』をどうにかしなくてはならない。今からでもキャンセルするか、あるいはコンビニ受け取りにでも変更できないだろうか──?

「遅かった……」

 だが、ブラウザに表示された配送状況のステータスは、「ご自宅に配達中」。
 こうなったら、もう品物を待つしかない。玄関のチャイムが鳴ったら真っ先に玄関に飛んでゆき、あのヤバすぎるブツをだれにも見つからないよう部屋まで運び込むのだ……。



 もともと父子二人には広すぎる上に、ただでさえ留守な父親は外に出ずっぱり。ふだんはがらんとした磯島家だが、今日は珍しくにぎにぎしい。
 三人の姉たちは、子供のころ使っていたそれぞれの部屋で、掃除や模様替えやらに取りかかっている。
 彼女たちにしてみれば十年ぶりの我が家だ。押し入れの奥から懐かしい品々が出てくるたびに、手を止めて見入ったり、ほかの姉妹に見せにいったり。そのせいで、いまいち作業は捗っていないように見える。だが、そんな姦しさも楽しいものだ。姉たちがいるだけで、家の中が華やいでいるように感じる。
 だが、そんな雰囲気を楽しむのもそこそこに、龍哉は自分の部屋と玄関とを往復していた。配達中の荷物を、姉ちゃんたちに見つかったら一大事だ。チャイムが鳴ったらだれよりも先に受け取りに出て、荷物を回収しなくてはならない。
 と、そんな往復運動を四回ばかり繰り返したときのこと。
 ──んぁ……む、んぅ……。
 廊下を通り過ぎぎわ、かすかな声が聞こえた。見れば、唯那の部屋のドアがほんの少し開いている。

「なに? 手伝い要るの?」

 呼ばれたような気がして室内を覗くと、唯那がベッドのふちに腰掛けて眠りこけていた。太平洋を跨ぐ長旅のあとだ。きっと片付けの最中にうとうとしてしまったのだろう。こんなにも無防備な姿を見せられると、彼女が再び磯島家の一員になったのだということを改めて実感させられる。

「唯那姉ちゃん、風邪ひいちゃうよ?」

 とはいえ、早春の室内はうたた寝には少し寒すぎる。毛布の一枚もなしに眠りこけている彼女に一声かけ──。

「…………っ」

 軽く肩を揺すったところで、思わず呼吸が止まった。
 薄い春物ニットの向こうに感じる彼女の身体は薄くやわらかで、とても壊れやすいものに触れているような感じがする。男子同士の荒っぽいボディコンタクトとはまったく違う、ひどく華奢で繊細な感触だった。
 ──ねえ、見て見て希実華。押し入れからこんなの出てきたんだけど……。
 不意に、廊下から岬の声が聞こえてきた。
 ばつの悪さを覚えて、慌てて唯那の肩から手を離す。そのまま部屋から出て行こうとドアノブに手をかけたところで、背後からのんびりした寝ぼけ声が聞こえてきた。

「ごめん。私、うとうとしちゃってた……」

 思わず身体が固まった。振り向くと、唯那は相変わらずベッドに腰掛けてうつらうつらしている。

「ああ、ブラもつけたままだし……だめよね、こんなふうじゃ」

 唯那は軽く頭を振り、背中をくねらせ──寝ぼけ半分の仕草がへんに色っぽくて、つい見入ってしまう。その釘付けになっている視線の先で、彼女はやおら服を脱ぎ始めた。

「だ、だめだよ、唯那姉ちゃんっ」
「ブラつけたまま寝るほうが、女の子としてダメじゃない。あふ、んんっ……」

 晒された白いお腹。彼女がニットをたくし上げるにつれ、形のいい縦長のへそ、くびれたウェスト、うっすらと浮かぶ肋骨、下乳の丸み……魅惑的すぎるプロポーションがあらわになってゆく。

「唯那姉ちゃん!? 寝ぼけてるの、起きてよ……」

 見ちゃいけない──そう思っているのに、制止の声が次第にトーンダウンしてゆく。
 衣服越しでも魅力的すぎる唯那の巨乳が、ブラ一枚に包まれて、目の前にさらけ出されているのだ。ちっぽけなハーフカップブラは、小玉スイカほどもありそうな巨乳を支えるにはいかにも頼りなく、花模様のレース刺繍のふちから、やわらかな乳肉が今にもトロリとこぼれ落ちそうになっている。

「もうちょっと寝かせてよ。時差ぼけで……まだ、ぼんやりしてるからぁ……」

 鎖骨のあたりまで衣服をたくし上げたまま、唯那は背中に両手をまわした。
 自然と胸を張る格好になり、胸郭が開いて乳房も大きく広がる。そんなふうに胸を突き出しながら、背中にやった手をもぞもぞ、もぞもぞ……。

「んん……なんか、取れない……脱がせてくれない?」
「ええっ、俺がっ!?」

 寝ぼけている。間違いなく寝ぼけている。だけど、一体だれと勘違いしているんだ? 唯那姉ちゃんが「ブラ脱がせて?」なんて気軽に頼める相手だなんて。やっぱり、彼氏ってやつだろうか……?

「お願い、キャシー。息苦しいの。楽にしてよ……」
「きゃしー?」

 きっと、向こうの女友達……ルームメイトかなにかと話しているつもりなのだ。ぼんやり顔で、緩く開いた唇から静かな呼吸を繰り返す彼女。女同士の気安さでさらけ出した無防備な仕草が、どうにも色っぽくて──。

「う、うん……じゃあ、ホック外すね?」

 たっぷり十五秒ほどの逡巡ののち、欲望が理性を上回った。
 白く滑らかな背中を締め付ける幅広のサイドベルト。女の人を脱がせるなんて初めての経験だけど、きっとこれを外してやればいいのだろう。そう見当をつけて、ホックを引っ張ってみる。

「んんっ……」

 指先にずっしりと感じるのは乳房の重みだろうか。三段式になっているホックを外すと、ブラの肩紐が弛み、窮屈なカップに押し込まれていた乳肉がたぷりとこぼれた。

「あふぅ……んん……ありがと、楽になったわ」

 気が抜けた様子で、倒れそうになる唯那。
 とっさに手を伸ばし、その身体を支える。ちょうど背中に腕をまわして抱きかかえるような格好だ。腕に伝わってくる感触が、女性の身体の温かさとやわらかさをつぶさに伝えてくる。龍哉の目の前には裸の姉乳。真っ白で、滑らかで、ピンク色の乳輪がぷっくりと盛り上がり、その頂には愛らしい乳頭がツンとふくらんで……。

「あふ、ん、んんっ……」
「う、うわ……これはっ……!?」

 その乳房に、半ば吸い込まれるように手を伸ばす。
 白い乳肌に指先が触れた瞬間、唯那の身体がピクンと震えた。
 わけもわからず叫び出したい気分になり、漏れかけた声を喉もとで呑み込む。俺……触ってる! おっぱい! 自分の指で! 直に! 生で! 人差し指の腹に、コリコリした乳頭を感じる。硬さはグミキャンディーくらいだろうか。それを軽く転がしてやると、んん、んん……と唯那が切なげな吐息を漏らす。

「もおぉ……そんなふうにしたら、くすぐったいよぉ」

 でも、いやがっている感じじゃない。
 まだ、いけるんじゃないかな──?
 そう思ったら、ますます欲望が止まらなくなる。俺はキャシー。スキンシップ過剰なアメリカンギャルで、唯那姉ちゃんのルームメイト。女同士のスキンシップなんだから、これぐらいおかしくない。親友の唯那に、ちょっとぐらい悪ふざけしたって──そう心の中で唱えながら、今度は下乳に触れ、その重みを確かめるように捧げ持つ。

「お、おぉっ……やわらかいっ」

 おっぱいって、液体なんだ……ふと、そんなことを思う。
 人間の身体に、こんなやわらかい場所があるなんて知らなかった。まるで薄くすべらかな肌の下に、蜂蜜のようにねっとりした液体を詰め込んでいるかのような。手のひらに感じる巨乳はずっしりと重く、開いた指の隙間から、乳肉がトロトロとこぼれ落ちてしまいそうな気すらする。

「あ、んん……そんなに触ったら、くすぐったいよ」
「ごめん。痛かったっ!?」
「そうじゃないけど、どっちかっていうと気持ちいいかな……?」
「き、気持ちいいの……?」
「ん……でも、やっぱりへんかな。女同士なのに」
「へんじゃないよ。女同士だったら恥ずかしくないでしょ?」

 ばくん、ばくん、ばくん……胸郭の中で心臓が暴れている。
 指先が、この心地よい感触と別れるのを惜しがっている。そろそろと姉の顔を覗き込むと、まだ寝ぼけ顔でうつらうつらしていた。軽く目を閉じ、うっすらと口もとを弛めた安心顔。大丈夫、たぶん唯那姉ちゃんはいやがってない──。

「ほら、あの……マッサージしてあげる。ずっと飛行機で窮屈だったんでしょ?」

 にゅむん、と手のひらに力を込める。

「ん……それ、気持ち……いい、かも……」
「でしょう? くつろいで楽にしていて?」

 にゅむん、むにゅん、たぷ、にゅむむっ……繰り返し、繰り返し手のひらに力を込める。
 さらさらした乳肌。トロトロの乳肉。ぷくぷくした乳暈。コリコリの乳頭。乳房がもたらす触感の多重奏を余さず味わってゆく。

「あぁ、ん、んん……マッサージ、上手……くせに、なっちゃうかも……」

 そんな指戯に、唯那は敏感な反応を返してくれる。
 身体の奥からせり上がって漏れ出てしまったかのような、その声音がますます龍哉を大胆にさせる。この声をもっと聞きたい。このやわらかさをもっと味わいたい。彼女の乳首に指の腹で触れ、その硬さを確かめるように──。

「くぅ、ん、あんっ!」
「ごめん。痛かった!?」
「うぅん……痛いって言うか、気持ちいいかも……?」

 それを聞いたとたん、ばくん、ばくん、ばくん、と心臓が激しく暴れた。
 指先に感じる乳頭は、さっきよりも少し硬くなっているような気がする。その感触が嬉しくて、二本指で挟んでころころと転がしてやる。











「あ、んん、ちょっと強いよ……」

 唯那は身体をよじり、竦めた肩をほっぺたに擦りつけた。

「そんなに焦らないで。童貞の男の子みたいだよ」
「そ、そんなつもりじゃなかったんだけど……」
「もっと、そーっと触れて? 敏感な場所だから、優しくいじってもらえると嬉しいな」

 その声に促されてもう一度、今度はそろそろと乳首に指を伸ばす。小学生のころ、捕まえた蝶々の翅に触れてみたときのように。

「ん、そぅ……上手。そこ触ってもらうの、好き……」

 声音がさっきより甘くなったような気がする。
 くりゅん、くりゅん、くりゅん……乳頭のてっぺんに指の腹を当て、繰り返し転がしてみる。ああ、んんっ、と彼女の吐息に、声とも息ともつかない音が混じり始める。
 唯那姉ちゃん、本当に気持ちいいんだ──。
 その確信が、ますます龍哉を大胆にさせる。
 切なげな声音に誘われるまま乳肉を揉みしだく。さらさらした肌を強く掴むと、薄皮一枚下に充たされた温かな蜂蜜が龍哉の手を呑み込んでゆく。その心地よいやわらかさに溺れかけている指先を激しく、もっと激しく。そのたびに白い肌が波打ち、きれいな丸みを描いていた乳房がむにむにと変形する。

「く、んんっ……」
「ご、ごめん! 強かったかな……」
「ううん。激しくされるのは嫌いじゃないけど」

 不意に唯那が龍哉の手を取った。そして手の甲の硬さをなぞるように、手のひらのやわらかさを舐めるように、母指球の厚みや指一本一本の形まで確かめるように指先で撫でまわしてくる。

「男の人の手になってるね。お別れしたときは、ふにふにの手だったのに」

 やわらかな視線を向けられて、呼吸が止まりそうになる。

「でも童貞の男の子の手かな。もしかして、おつきあいしている女の子はいないの? 日本の女の子って見る目ないのね」
「あ、あのっ……あの、えっと……ゆ、唯那姉ちゃんっ……!?」

 起きてたの──!?
 いや、そんなの当たり前だ。あんなに激しくおっぱいを揉みしだかれて、目が覚めないわけがない。だけど、いつから? なんで怒ってないの? なぜずっとされるがままになっていたの? 頭の中を百万語分の疑問と言い訳が駆け巡っている。だけど、実際に口から出てきたのはたった一言。

「……どうして?」
「だって恋人がいる男の子は、たいてい爪を短くしているものよ?」
「そういうことじゃなくて……」
「ああ、怒られると思った?」

 龍哉の手を握ったまま前屈みに身を乗り出してくる彼女。重力に引かれて双乳が垂れ下がり、ただでさえ豊かな乳房がなお量感を増して見える。

「姉弟なんだし、ちょっとさわったぐらいで怒るわけないじゃない。あんなに夢中になってる龍哉を見たら、私だって嬉しくなっちゃうわ」

 そして再び、龍哉の手を自身の胸もとに引き寄せる。

「それに龍哉が興味あるのなら、それ以上もオッケーなんだけどな」
「そ、それ以上っ!?」

 呼吸の仕方も忘れてしまったかのように立ち竦む龍哉。
 心臓が暴れている。口の中がカラカラに乾いている。頭がカッと熱くなり、目の奥あたりでピクピクと血管が脈打っているのを感じる。どうすればいいのかわからなくなり、誘われるまま姉の乳房に手を伸ばす──と、そのとき玄関のほうから来客を告げるチャイムが鳴った。

「──……っ!?」

 とっさに手を引き、龍哉は二、三歩ばかり後じさった。いやいやダメだろ、そんなことしたら! ようやく目を覚ました理性を総動員して、心の中に渦巻く欲望を追い払う。

「いや、あの、その……お、お客さん、来たみたいだからっ!」
「行っちゃうの? お姉ちゃん、一人にされるのさびしいよぉ」

 その声に後ろ髪を引かれながら、龍哉は転がるように部屋を飛び出した。



 はたして不意の来訪者は、救いの手か、それとも余計な邪魔者だったのか。
 初めて触れた乳房の感触がまだ頭から離れない。だけど今、龍哉の指先に触れているのは、あの心地よい柔肌ではなく、通販サイトの硬く冷たい段ボール箱。
 玄関先で荷物を受け取るなり、龍哉は自分の部屋に駆け込んだ。梱包を解き、内箱も開けると、出てきたのは、巨乳すぎるお姉さんの、やわらかすぎるふわトロおっぱいを再現したというパイズリオナホだった。
 ずっと待ち焦がれていた『あねパイ』が、ようやく到着したのだ。
 よくできてるけど、やっぱり作り物だなぁ……なんて一抹の味気なさも感じる。
 なにしろついさっきまで、本物の姉乳を揉みしだいていたのだ。あの感触を思い出すと、三ヶ月のオナ禁期間を経たペニスがずくずくと疼いてしまう。

「作り物だけど……でも、やっぱりよくできてるよな……」

 ふにふにと触っていると、ついさっきまで触れていた本物の乳房のやわらかさ、温かさが指先によみがえってくる。
 姉をオカズにオナニーだなんて、さすがによくないような気がする。
 だけど、もうがまんが効きそうにない。ズボンの中でペニスが脈打ち、張り詰めた薄皮の下で睾丸まで疼いている。下腹のあたりがひどく熱を持ち、その体温が胸に、顔に、頭の中にまで伝わり激しく炙りたててくる……。

「でも唯那姉ちゃん怒ってなかったし……それに、姉ちゃんたちの前で勃起しちゃったら気まずいし。だから、ちゃんと抜いておいたほうがいいよな……」

 ことさらに声に出して言い訳しながら、ズボンのベルトを弛める。
 初めて触れた姉乳の感触は、三ヶ月かけて高まりに高まりきった若い性欲に消火不能な火をともしてしまった。大きな枕を女体に見立てて横たえ、その上にあねパイを設える。その枕を跨いで馬乗りになり、胸の谷間にローションを垂らしてみる。シリコンおっぱいを両手で鷲掴みにして、間に挟んだペニスを左右から圧迫し──。

「う、あぁ、これはっ……」

 最初に感じたのは、冷たいローションの感触。
 だが何度か腰を振ると、次第に体温で温まってくる。ローションにまみれた人肌シリコンは格別の感触だった。ぬりゅっ、ぬりゅっ、ぬりゅっ……緩やかなピストンを繰り返すたびに、心地よいぬめりがペニスの表面を擦ってゆく。それになによりすばらしいのはボリューム感だ。たっぷり二キロ分ものシリコンを使用した高級ホールだけに、薄っぺらな千円オナホとは快感の深みが違う。両手に余る巨乳に挟まれていると、この心地よいやわらかさの中にペニスが呑み込まれてしまいそうな気がしてくる。
 龍哉が興味あるのなら、それ以上もオッケーなんだけどな──。
 さっきの自分はどうかしていた。眠りこけている実の姉にイタズラしてしまうなんて、あまりにも逸脱している。でも……でも、唯那姉ちゃんはいやがっていなかった。あのとき彼女の誘惑に乗っていたら、それ以上があったのだろうか。彼女の乳房にペニスを挟んでもらったら、どんな感じなのだろう。どんなふうに気持ちいいのだろう。あのやわらかな乳肉をギュッと押しつけられて、心地よい体温に包まれながら、何度も、何度も……。

「唯那姉ちゃんっ……」

 そんな光景を思い浮かべながら、思い切り腰を突き出す。
 寝ぼけている彼女を起こさないように──もうそんな気遣いは要らない。想像するのは、ありえたかもしれない未来。弟相手にからかってきた彼女をベッドに組み伏せて、「それ以上」を思い切り堪能させてもらうのだ。シリコン乳がひしゃげるほど強く乳房を鷲掴みにして、左右からギュッと押しつける。その密着する両乳房の隙間をこじ開けるように、ぬちゅぬちゅとペニスを挿し込んでゆく。その強い乳圧がたまらない。ペニスがどこまでも沈んでゆくかのような深みのあるやわらかさがたまらない。激しく腰を振る。はっ、はっ、はっ、はっ、と荒い呼吸を繰り返す。
 こんなに乱暴にしていいのかな──?
 そんな考えがチラリと頭をよぎる。でも、きっと大丈夫。だって想像の中の唯那姉ちゃんは、おっぱいをめちゃくちゃにされて、嬉しそうな笑顔を浮かべているのだから。
 姉弟なんだし、ちょっと乱暴にされたぐらいで怒るわけないじゃない。こんなに夢中になってる龍哉を見たら、私だって感じてきちゃうわ──。
 そんな彼女の言葉に甘えて、ますます腰振りを速める。

「姉ちゃん……姉ちゃんのおっぱい、気持ちいいっ……」

 両手に力を込め、左右の乳房をめちゃくちゃに擦り合わせる。まるで彼女の乳房を、ペニスをしごくためのおもちゃにしてしまったかのように。どこまでも優しい唯那の言葉に甘えて、ボリュームたっぷりの姉乳をオナホ扱いして腰を振りたてる。

「俺、もうむり。唯那姉ちゃんのおっぱいに……おっぱいにぶっかけるからっ!」

 陰嚢の中で精子が暴れているのを感じる。
 射精の瞬間を待ちわびてひしめきあい、ペニスの根もとを激しくノックしている。出たい。出したい。射精したい。姉ちゃんの肌に。この気持ちいいおっぱいめがけて、思いっきり……!

「もう、がまんできないっ! 姉ちゃん……う、うぅ、姉ちゃんっ!」
「呼んだー?」

 と、ドアの向こうから聞こえる声。
 同時にガチャリとドアノブがまわる音。思わず心臓が止まりそうになり──だが背後の人影は気にしたふうもなく、ずかずかとベッドに近付いてくる。そして、あねパイ相手にがんばっている龍哉をヒョイと覗き込んできたのは、ツインテールのおすまし顔。

「あー、そういうことね」
「き、希実華姉ちゃんっ!?」
「気にしないで。続けちゃっていいから」

 そのまま、ベッドのはしに腰掛ける彼女。
 だけど止まらない。出口を求めて暴れる淫欲が、睾丸を這い出し、輸精管をこじ開け、尿道を駆けあがり──。

「く、あぁ、うぁっ!?」

 びゅるっ、びゅくく、びゅくんっ!
 ペニスが脈動し、大量の精液が噴出した。目の前のシリコンおっぱいばかりか、枕やベッドの上にまで。三ヶ月かけて煮詰められた特濃精子はあまりにも特濃すぎて、だまのようになった液塊がシーツの上でプルプルと震えている。

「へえ、いっぱい出たね」

 そんな濃精ゼリーを興味深げに眺めている希実華。
 オナニーを目撃されるだけでも最悪なのに、よりにもよって射精の瞬間だ。しかもオナホールまで使って、姉のことを呼びながら。失敗した。あねパイを見つけられるどころじゃない、思いつく限り最悪の大失敗だ。だけど射精直後の気怠さで言い訳も思いつかず、半萎えのペニスをさらけ出したまま深呼吸を繰り返す。

「なるほどね。見たり触ったりするだけじゃなくて、パイズリみたいにして使えるんだ。いわゆるオナニーグッズってやつ?」
「き、希実華姉ちゃん、これは、あのっ……」
「言い訳とかいいよ。年頃の男の子だったら、そういうの普通だし。でも、すっごいたくさん射精するんだね。形は子供のころと同じ、皮皮チンチンなのに」

 冷静な声で男子の面目を叩きつぶすと、希実華は目の前のシリコン巨乳に手を伸ばしてきた。彼女の指先が乳肌をツンツンするたびに、萎れたペニスにまで振動が伝わってくる。

「やわらかいんだ。このぬるぬるしてるのってローション?」
「そ、そうだけど……」
「ふうん。ひょっとして、朝からそわそわしてたのって、このせいだったのかな。この箱に書いてある『あねパイ』って、お姉ちゃんのおっぱいってこと?」

 彼女は昔から動じない性格だったけど、それにしたって動じなさすぎる。
 弟のオナニーを目撃するなんて、しかもそれが射精の瞬間だったなんて、おまけに巨乳姉のおっぱいを再現したオナホールでエキサイトしていたなんて彼女にとっても最悪の事件だろうに、穏やかな表情でこちらを覗き込んでいる。

「あ、あの……希実華姉ちゃん──」
「なに?」

 ひょっとして、姉ちゃんはこういうの慣れてるのかな……と不安が胸をよぎる。
 年上だし、美人だし、おっぱい大きいし、たぶん処女ではないような気がする。さっきの唯那も落ち着いた様子だったし、ひょっとしてこの家で、性体験がないのは自分一人だけなのだろうか──?

「このこと、ほかの人には言わないで! お願い、みんなには黙ってて!」
「龍哉が、子供サイズの皮皮チンチンだってこと?」
「そ、そうじゃなくって……」

 二重三重の追い打ちに面食らう龍哉。たしかに皮皮だけど。標準よりわりと小さめだけど。本場アメリカンサイズと比較したら、子供チンチンも同然かもしれないけどっ! 二の句も継げずに竦んでいると。希実華は口角を上げ、かすかなほほえみを浮かべた。

「ああ、そうか。お姉ちゃんのおっぱいが恋しいなんて、ちょっとばつが悪いよね」
「ち、ちがうよ。そんなこと思ってないってば!」
「だって、だからこんなおっぱいオナホール買ったんじゃないの?」
「い、いや、それは今回たまたまだって!」

 それを聞いた希実華が、にんまりと目を細める。

「その口ぶりだと、ほかにもいろんなの持ってそう?」
「それはっ……」

 昔から、彼女はへんに勘が鋭いところがある。失言に気付いた龍哉が、半ば無意識にクローゼットのほうをチラリ──。

「ふぅん。そこね?」

 その視線を追い、希実華は立ち上がった。そして止める暇もなくクローゼットを開け放ち、中から龍哉のトップシークレットを引っ張り出す。

「本当だ。こっちはおっぱい型じゃないんだね」

 隠しておいたプラスチックコンテナの中には、しばらく前に買ったオナホールが数本ばかり。希実華はその中のひとつを手に取り、興味深げに覗き込んだ。肉厚の肌色シリコンにスパイラル形状のうねうねホールを通し、高膣圧締め付けゾーン、極刺激つぶつぶゾーン、超吸引バキュームゾーンの三段構えでペニスを迎え撃つ逸品だ。そしてその入り口に、ツプリと人差し指を挿し込む。

「へえ。入り口はきつきつだし、中のほうはつぶつぶになってる。よくできてるね。指を入れた感じも、本物とだいぶ似てるかも?」

 その横顔に、思わず目を奪われてしまう。
 落ち着いた表情でオナホールの触感を確かめているその姿が、若いペニスにはどうにもよろしくない。ついさっき射精したばかりのペニスが、なんだかたまらない感じになって、下腹のあたりがむずむずしてしまう。

「じゃあ、はい。これも」

 そんな龍哉に、彼女はオナホールを突き出してきた。

「使ってるところ見てみたい。見せてくれるでしょ?」
「ええぇっ、なに言ってるの!?」
「だって、興味あるんだもん」

 さも当然のように告げると、希実華はオナホールを押しつけ、ベッドに昇ってきた。そして背後から龍哉の両肩に手を置き、ペニスを覗き込んでくる。

「そ、そんなこと言われたって、できるわけないじゃない!」
「大人しく、言う通りにしたほうがいいと思うよ。ほかのお姉ちゃんたちに、オナホのこととか知られたくないよね?」
「う、うぅ……それは、困るけど……」
「チンチンはボッキしてるよ? ちゃんとその気になってるじゃない」

 催促するように身体を揺さぶられるたび、唯那に勝るとも劣らない希実華っぱいが背中をむにむにと刺激する。三ヶ月ぶりに射精の快感を思い出したペニスは、萎えるどころかますます激しく勃起していた。

「ほら、早く」

 龍哉が焦れていると、希実華は背後から覆い被さるように手を伸ばし、龍哉の手首を取った。その手に促されるままホールの入り口を亀頭に当て、肉厚シリコンに開いた小孔を押し拡げる。

「き、希実華姉ちゃん……まずいって、これっ……」

 背中に感じる乳房のやわらかさ。背後からおぶさるようにして覗き込まれているせいで、頬と頬は触れあわんばかりで、ほんの一センチほどを隔てて希実華の体温が伝わってくる。

『よくできてるね。指を入れた感じも、本物とだいぶ似てるかも──』

 ついさっき聞いた一言が、ますますペニスをいきり立たせる。
 射精を終えて間もないペニスは、まだたっぷりのローションを絡めて生々しく濡れ光っていた。そのぬめりを使って、じゅぷじゅぷとペニスを埋めてゆく。最初に感じたのは高膣圧ゾーンのキツキツ感。そこからさらに、カリ首を舐めまわしてくるつぶつぶ感、吸盤形状の奥襞が鈴口にペチャリと貼り付いてくる吸引感。希実華姉ちゃんは、この穴が「似てる」と言っていた。彼女の膣内もこのオナホールのように、締め付け、舐めまわし、吸いついてくるのだろうか。姉の乳房を感じ、姉の体温に触れ、姉の手に促され、姉そっくりの膣内形状をペニスで感じ──。

「うわっ、こんなに激しく擦るんだ。ローションもじゅぷじゅぷ泡立ってるね。すっごいぬるぬるで気持ちよさそう」

 そして姉の声で、ますます快感を促される。
 目を閉じると、まぶたの裏に丸裸の希実華の姿が浮かんだ。
 大きく脚を拡げた彼女に覆い被さり、思い切り腰を振る。背後にはもう一人、やはり丸裸の希実華が抱きついて、「次は私の番」とばかりに背中を揺すってピストンを促している。身体中で希実華を感じながら、激しくペニスをしごきたてる。

「ん、うぅ、姉ぇ……ちゃんっ……!」

 こみ上げる射精感に、思わず背中を丸める。
 直後、腰がビクビクと震えた。勢いよく迸った汁がホール内を充たし、泡立ったローションと溶けあいながら、挿入口から逆流してくる。

「もう出ちゃったんだ。もしかして早漏?」
「い、いや、それはっ……」

 だってオナ禁明けだし。よくペニスになじんだ一番の愛用ホールだったし。それに背中にはおっぱいが当たっていたし、ほっぺたにはほっぺたがくっついてたし。あれでは、あっというまに射精してしまっても仕方ない──。

「じゃあ、今度はこれね?」

 内心で言い訳を続ける龍哉にかまわず、差し出してきたのは二番目の愛用ホール。三段バキューム構造に加え、ゆるふわホール&弾力ヒダのW刺激で速やかな射精を促す……要するに、すっごく気持ちいいやつだ。

「待って、待ってよ! 今、射精したばっかりで……」

 そんな抗議を無視して、ベッドに転がしていたプラスチックボトルを手に取る希実華。その蓋を開け、オナホール内にローションを垂らしてゆく。

「たくさんぬるぬるしてるほうが気持ちいいよね? 本物だって、セックスのときはすっごく濡れるし……うん、これぐらいかな?」
「希実華姉ちゃんって──」

 こんなに濡れるんだ……と口に出かけた言葉を慌てて呑み込む。照れた様子も、ことさらに誘惑しているふうもないおすまし顔にも、どうにも興奮をかきたてられてしまう。

「ああ、またボッキしてきた。これなら早漏でも大丈夫だね」
「待ってよ。何回やらせるつもりなのっ!?」
「んー……とりあえず、そこにあるやつぜんぶ試すまで? 一通り終わって、まだいけるようなら二周目いってみようか」
「むり!」
「そっかー。じゃあ、あねパイのことを岬お姉ちゃんに相談……」
「わ、わかったよ! やるよ。やりますからっ!」

 差し出されたオナホールをひったくり、三度目の勃起ペニスに入り口を押し当てる。たっぷりローションを充たされたその穴が、ぢゅぷぢゅぷと亀頭を呑み込んでゆく……。

「ほら、入れるだけじゃなくて。ちゃんとしごかないと気持ちよくなれないよ?」
「…………っ」

 そんな龍哉を促すように、オナホールを握る手の上から、希実華が両手を被せてくる。

「龍哉のチンチン、かわいいね。ちっちゃいのに、がんばってピクピクしてる」
「やめてよ。そういうこと言われると、なにげに傷つくから……」
「なんで? ちっちゃいのが好きな女の子もいるよ。私もむだに大きくてあごが外れちゃいそうなのより、これぐらいのほうが好きだけどな」

 その言葉に、なんとも言えないもどかしさを感じる。一体、だれとくらべているのだろう。希実華姉ちゃんの男性遍歴を想像すると、妬ましいやら、興奮するやら……。

「ほら、がんばって。いちにっ、いちにっ、いっちにっ!」
「う、うわっ、そんなに擦られたらっ!?」

 だが素直すぎるペニスは、たちまち興奮の側に傾いた。たっぷりのローションにぬめるシリコン膣の感触が、たちまち龍哉を次の射精へと追い込んでゆく。姉の痴的好奇心を満足させるための、とりあえず三回目の射精へと──。



 膝が重い。まるでねっとりしたローションが、筋繊維の隙間にまで絡みついているかのようだった。
 そんなふうなのに、下腹のあたりには妙な空虚感がある。まるで内臓がすっぽり抜け落ちてしまったかのようで、腰がふわふわしてどうにも頼りない。重たいまぶたをこじ開けると、薄暗い室内に人影が見えた。

「ああ、やっと起きた」

 はきはきと切れのよい声。見れば岬が、暗がりの中に立ってこちらを眺めている。

「ご飯の時間になっても出てこないから、心配してたのよ? でも、疲れてるみたいだから寝かせといてやれ……って希実華が言うから」

 彼女が手にしているお盆には、おにぎりとおかずが数品。それを机に置くと、岬はてきぱきと室内の掃除を始めた。

「一人暮らしだからって不規則な生活してたんでしょう? 部屋の中も散らかしっぱなしだし、だらしないんだから」

 怒っていると言うより、久しぶりに弟の世話を焼けることを楽しんでいるかのような声。
 十年ぶりに聞くその声が懐かしくて、ベッドの中で照れくさそうにはにかむ。
 すっかり日が落ちて、窓の外には早春の星空が広がっている。どうやら、長いこと眠りこけていたようだった。姉たちとの新生活初日を、数時間もむだにすごしてしまった。まだ寝ぼけ半分の頭を回転させて、寝入ってしまう直前の記憶を呼び起こす──。

『あはっ。出た出た、これで三周目終了。まだいける? むり? じゃあ、今回はこれで終わりにしようか。唯那お姉ちゃんがご飯の支度してくれてるから、一休みしたらダイニングに降りてきなよ──』

 希実華の楽しげな声が、まだ耳孔の奥に絡みついている。ガバッと身体を起こすと、下半身丸出しの自分に気がついた。その上、部屋中に使用済みオナホがいくつも転がっているし、下半身は丸出しのままだし──!?

「まだ寒いんだから、チンチン出しっぱなしで寝ちゃダメよ。風邪ひいちゃうわよ?」
「い、いや、違うよ。これはっ……」
「言い訳なんていいのよ? 男の子なんだから、エッチなのは普通だよね?」

 やけに理解のある様子で言うと、彼女は膝立ちでベッドに上がってきた。そして龍哉の膝を両手で割り開く。

「楽にして。きれいにお掃除してあげるから」
「み、岬姉ちゃんっ!?」
「なに恥ずかしがってるのよ。今までだって、さんざん見てるのに」
「でも……でも今は、子供のころとは違うからっ!」
「そうなの? あんまり変わってないように見えるけど」

 その一言に、言葉を継げなくなってしまう。
 たしかに子供のころ、姉三人にずいぶんおもちゃにされていた。ほんの二、三歳でも、子供にとっては大きすぎる年齢差だ。遊ぶときの主導権を握っているのは常に姉たちのほうで、「お医者さんごっこ」と称して、裸に剥かれてイタズラされたことだって一度や二度じゃない。でも本人的には、さすがに当時よりはだいぶ成長しているつもりなんだけど──。

「気にすることないのよ? 皮被ってるかどうかなんて、気にするのは本人だけで、女のほうはあんまり気にしないものよ。少なくとも私はね?」

 からかっているのか、それとも慰めているつもりなのだろうか。彼女はこともなげに言うと、剥き出しのペニスに手を伸ばした。まだローションと精液が乾ききらないそれをつまむと、ティッシュで竿の周りを拭ってゆく。

「ん、うぅ、んん……」

 ペニス丸出しで眠りこけている姿を見られたあとだけに、どうにも抵抗できない。
 絡みついてくるそれは細くやわらかく、そしてしなやかだった。窓から差し込む明かりが、薄暗がりの中に岬の美貌を浮かび上がらせている。すべらかな肌。艶やかな髪。やわらかな視線。離ればなれだった十年は、岬をとびきりきれいな大人の女性に成長させていた。そんな彼女にペニスをまさぐられていると、どうにもたまらない気持ちになる。

「ほら、皮のなかもきれいきれいしようね?」
「うあっ!?」

 そんな困惑にもかまわず、ますます大胆に指を使い始める彼女。
 余り気味の包皮が剥がされ、少し、少しずつ亀頭が姿を現してゆく──そんな様子を楽しげに眺めている。龍哉にとってはコンプレックスの源でもある包茎ペニスを、ばかにするどころか、まるで慈しむかのような表情で。

「岬姉ちゃんっ! そんなふうに、されたらっ……」
「んん~? どうしたのかなぁ?」

 岬はそらとぼけながら、ますます指を激しく使い始める。ほっそりした五本の指を牡竿に絡め、上下に何度も、何度も。その刺激が、すっかり萎え果てていたはずのペニスに熱い血を巡らせる。

「龍哉ってさ、女の子にこういうこと、してもらったことあるの?」
「そ、それはっ……」

 出し抜けに問われて、思わず口ごもる。
 さっき唯那姉ちゃんにああいうことをしてしまったし、希実華姉ちゃんにはそういうことをさせられた。だけど──。

「てゆっか手コキだけじゃなくて、もしかして、今までエッチなコト全般したことなかったり?」
「…………っ」

 取り繕う余裕もなく口ごもってしまう。ずっとオナホールを恋人に生きてきた龍哉に、まっとうな女性経験なんてあるわけもない。

「もったいないよ。精液はね、女の人に出してもらったほうがスッキリするんだよ? 経験したら、もう夢中になっちゃうくらい気持ちいいんだけどな」
「うあ、あっ!?」

 岬の手が、繰り返しペニスをしごきたてる。
 こんなのはもう「お掃除」じゃない。筒のように丸めた手のひらで肉竿を包み、上下動は激しく、なおも激しく。自分の手とも、オナホールともまったく違った感触だった。その体温。そのやわらかさ。肌と肌が吸いつきあう感触。
 ほら、もっと気持ちよくなっていいんだよ──?
 こちらを見つめる彼女の瞳がそう言っている。
 ずっと右手を動かし続けて疲れたのだろうか、岬の息遣いがかすかに乱れていた。
 視線は熱く、吐息は甘く、時おり漏らす息継ぎの声はたまらなく色めいて耳孔をくすぐる。目から、耳から、鼻から──五感のすべてを通して流し込まれる快感がペニスに集まってゆく。

「う、あぁ、姉ちゃんっ!?」

 強烈な刺激に耐えかねて、かくん、かくん、と膝が暴れた。

「ふふ……ちょっと敏感すぎるんじゃないの?」
「だ、だって、こんなの初めてだからっ……」
「ねっ、気持ちいいでしょう? 明日から、毎日おねだりするようになっちゃうかもね」

 その暴れる両脚を押さえるように身体を被せると、岬はますます指の動きを速めた。
 ひと擦りごとに、熱く重い快感が下腹のあたりに溜まってゆく。
 ペニスが脈打ち、睾丸が蠢き、腰がもじつき、膝が暴れる。身じろぎするたび両脚に感じる、姉の身体の温かさとやわらかさすら心地よい。

「ねえ、どぉ? オナホなんかよりずっと気持ちいいでしょ?」

 そんな龍哉に、岬はますます激しい指技で追い打ちをかけてくる。

「今はさ、私の手をオナホ代わりにしてるようなもんだよね? どう? お姉ちゃんオナホ気持ちいい?」
「だ、だめだよ、そんな言い方っ」
「どうして? 大好きなお姉ちゃんを、大好きなオナホにしちゃってるんだよ? それって、とっても嬉しいことじゃない?」

 彼女はにんまりと目を細めた。その表情があまりにも淫靡すぎて、まるで直接、心臓をくすぐられているような心地になる。このまま見つめあっていたら、視線の熱さで全身を溶かされてしまいそうだ。胸のざわつきに耐えかねた龍哉は天井を仰ぎ、はっ、はっ、はっ、はっ……と息をあえがせた。











「ほら、遠慮しないで、私の身体で性欲処理しちゃっていいんだよ? あったかくてやわらかい、お姉ちゃんオナホで気持ちよくなっちゃえ!」
「うっ、くぅ、あぁっ……!」

 彼女の指遣いはなお大きく、激しくなってゆく。
 長いストロークの上端で、親指と人差し指で作った輪がカリ首をクリュンと撫でる。
 その刺激に、思わず腰が跳ね上がる。その反応を見て取った彼女は、亀頭周辺に的を絞って集中的に責め始めた。くりゅん、くりゅん、くりゅん、くりゅん……指の輪が往復するたび、何度も亀頭笠が捲り返される。強い刺激に慣れていない包茎亀頭が、そのたまらない快感に身悶えする。思わずカクカクと腰が揺れ──その暴れる身体を押さえ込みながら、岬はなお指戯を速める。

「ほら、出して? 私の手で、びゅーってして気持ちよくなっちゃいなさい。最後までしてあげるから、ちゃんとイくとこ私に見せてっ!」

 見つめ返してくる瞳が熱っぽく潤んでいる。
 肌を上気させ、表情を緩ませ、半開きの唇から熱い吐息を漏らし──弟のペニスをしごきながら、まるで自分自身も発情してしまったかのような岬の姿。その淫態が、ぎりぎり保っていた堤をついに決壊させた。

「う、あぁ、姉ちゃん、俺っ……!?」






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(C)MINAMI EBINUMA/Atelier KAGUYA Honky Tonk Pumpkin