「これからされることは、体脂肪がよく燃えて、体もほぐれて、スッキリしながら痩せる、特別なストレッチですよ……思い出してください。さっき、少しやっただけで、すごく気持ちよくなったでしょう？」
「っ……！」
　悠佳の体が一気に熱を帯びた。
　先ほどまでの異様な興奮状態、異様な部位での強い快感を思い出したのだ。ありえない所でのありえない絶頂。
「普段と違うやり方を試しているから、違うように感じるのは当たり前ですよ。そうでしょう？」
「ええ…………そうよね…………」
　本当に悠佳は、どのような内容でも、アズマの言うことにうなずき、受け入れてゆく。
（これが、催眠術なんだ……人形みたいになって、無言で何でもするってだけじゃないんだ……）
　アズマはドキドキしつつ学んでいった。
　それ以上のことも色々できると、老魔導師の知識が教えてくれる。知識が実体験と重なって学びが深まってゆく。
「じゃあ、続けますよ」
　言ってから、アズマは服を脱ぎ始めた。
　内側の童貞アズマは舞い上がる。いよいよか。おっぱいを直接揉んだのだから、次はいよいよこうして脱いで、抱きしめて、密着して…………本番…………！
　他人の家で服を脱ぐという緊張、背徳感、それ以上の期待と昂揚感。
　アズマは制服の上をすべて脱ぎ捨て、裸をさらした。
　小柄だが、だらしない体型ではない??胸板は厚めの方だ。
　その裸の胸板を、ブラをつけたとはいえ、逆に言えばそれだけの、悠佳の裸の背中に、押しつけた。
（ほおおぉぉぉぉぉぉ…………！）
　内心で、童貞が、胸板いっぱいに味わう女性の素肌、手の平どころではない人肌との密着状態に、叫び声をあげた。
　人肌。それがこんなにも柔らかく、気持ちいいものだとは！
「んっ!?」
　密着された悠佳が、声をあげた。
　また、異様な快感が押し寄せてきたのだ。
　ラエの狙いが伝わってくる。手、指、舌から快楽魔力を流しこむことはできた。では次に、それ以外の部位からやれるかどうか。
「あああぁぁぁ…………はぁぁぁぁっ……！」
　悠佳が悲鳴とも歓喜ともつかない声を張り上げる。
　すぐに確認できた。体に満たした大量の魔力が、胸板からも、悠佳の裸の背中に流れこんでゆき、戻ってくる。戻る場所は触れさせた手でも、自分の乳首でも、胸板の別な部位でも腹でも、自在に指定可能だ。つまりは、自分の素肌であるなら、どこであっても、触れさせるだけで相手を感じさせることができるということ……！
　それが確認できて、喜んだラエが、さらに快楽を悠佳に与え……！
「はひぃぃぃ!?　ひぃぃ、ふああぁぁ、お、お、ぐ、あ、あぁ……！」
　半裸とはいえ、ブラもショーツも身につけた状態で、男子に背中に密着されている。通常ならそれだけで、それ以上のことは起きないはずなのに、悠佳の性感は異常なほどに高まる。
「こっ、これっ、びよっ、すとれっ……ちがうっ……なんでっ……ひっ、はぁっ……！」
「柔らかいですね。しっかり運動もしているようですね……では、いっぱい、ほぐしましょう。それ、手を爪先に向けて伸ばして、いち、にぃ、さん、しぃ……」
　体重をかけて、悠佳の上半身を左の爪先に向けて前屈させる。
「んおぉぉぉ……！」
　強いうめき声と共に、アズマの体が押し戻された。反抗ではなく痙攣だ。絶頂の痙攣。重みをかけられ、上半身を倒し自分の足首に触れたところで、どこをどうされたのかもわからないままイッてしまったのだ。
　まばゆいスパークが悠佳の体内を駆け巡ったのをアズマは感じ取った。魔力を流し体内を把握するのと同時に、相手がどのような快感をおぼえているのかも感じ取ることができる。つまり今のは絶頂の電撃。アズマの方もゾクッとしたものをおぼえる。
「ごー、ろく、しち、はち……」
　びくびく悶える悠佳を、強引に、反対側の右脚に向けて押す。
「ひっ！　ぎっ！　゛あ！　おあ！」
　こちらでも、密着した肌からたっぷり流しこんだ快感により、悠佳は再び悶絶し、折りたたまれ圧縮された肺から濁った悲鳴を張り上げる。
「正面行きますよー、そのあと、後ろへ引っ張る時、最高の気分になりまぁす。いち、にぃ、さん、しー」
　開いた両脚の間へ、悠佳の体を押していった。
「ひぃっ、ひぃっ、ひっ、ひぃぃ！」
　悠佳の痙攣と悲鳴が止まらない。テーブルの脚に縛られている足首の先、足指は激しく折れ曲がっているし、膝も持ち上がり、内側に外側にぐりぐり動いて、ふとももはいっぱいに張ってブルブル波打っている。アズマがカウントし重みをかけるたびに猛烈な快感をおぼえている、イカされている。前屈イキというか、背中イキというか。
「はい、ごー…………ろぉく、しぃち、はぁち」
　体を離し、悠佳の肩を引き腕へ手を滑らせて、バンザイさせつつ引っ張った。
「ほあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！」











　前に押されて潰れていた体が、起こされ、腕を伸ばすことで、大きな解放感をおぼえる。前かがみで連続絶頂させられほとんど酸欠状態だった肺に新鮮な空気が流れこんでくる。
　そこに、巨大な快感が重なった。
　もちろん、引っ張る手から流しこんだものである。これまでに比べれば実にたやすい。
「あ……あ………………あひああぁぁぁぁぁ…………▽」
　悠佳は感極まった声を漏らし、伸ばした腕も、脚も、突っ張らせ、引きつらせ、ものすごい絶頂感に包みこまれた。
　窮屈な状態からの解放、息を吸った瞬間という、本能が全力で求めるからこそ絶対に抵抗できないポイントを狙って快楽魔法を使うことで、一方的にやるのよりもはるかに高い快感をもたらすことができるのだ……と、老魔導師が勝ち誇る。
　確かに、触れている腕から感じる悠佳は、先ほどまでの絶頂とは違う感覚をおぼえていた。
　大きく両腕を伸ばしたまま、さらに後ろへ倒れてくる。それを先ほどのように支えながら横たえる。悠佳の後頭部をそっと絨毯に触れさせると、あごが持ち上がって、口角のつり上がった、引きつった笑みを形作った。
「はへぇぇぇ……?　あひぃ、ひぃぃぃ……はぁぁぁ…………▽」
　見かけた瞬間の、夫と娘のお出かけを見送る穏やかな人妻の面影はどこにもない。目はほとんど裏返り、涙があふれている。顔面は紅潮しきって耳まで赤く、悦楽のうめき声をあげながら唾液を垂らし――。




この続きは、10月18日から配信のぷちぱら文庫Digital『快感電流 -人妻快楽実験・長谷部悠佳編-』でお楽しみください!!
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