母娘みっくすいじり
~むっちり母と微乳な娘の淫肉開発~
2018年1月31日
オトナ文庫
著:田中珠
画:黒石りんご
原作:アトリエさくらDARKNESS
第二.五章 情欲の奔流
直人との関係に思い悩む美弥子の心とはまるで裏腹に、その日の空はどこまでも青く澄み切っていた。
玄関で靴を履いている制服姿の香澄に、美弥子は声をかけた。
「香澄、ちょっといいかしら」
「ん? なあに、ママ」
玄関ドアの取っ手に手をかけようとした香澄が、くるりと振り返る。
「今日って、帰って来るのは何時ぐらいになりそう?」
「いつもと同じだよ。三時半過ぎには帰って来れるとは思うけどそれがどうしたの?」
邪気のない顔で尋ねられて、美弥子はなぜかドキリとしてしまう。
心にやましいことがあるせいか、娘の顔をいつものように見ることができない。
「え? それはその、今日は来生君が教えに来る日だから、ええ、その確認よ」
「心配しなくても大丈夫だって。ちゃんと覚えているから」
「そ、そう? それならいいんだけど……」
少し不自然な母親の様子を見て、香澄は悪戯っぽく言う。
「……ママってば、来生先生のことずいぶん意識してるみたいね」
「えっ!? な、なに馬鹿なこと言ってるのよっ!」
邪<よこしま>な欲望を見透かされたような気がして、美弥子は思わず声を荒げた。
「いくらパパがいないからって、来生先生に乗り換えようとしちゃダメなんだからね」
「なに馬鹿なこと言ってるの。それほどお小遣いを減らされたいのかしら」
平静を装ってそう脅すと、香澄はあわてて取り繕った。
「えっ!? や、やだなぁっ! 冗談、ほんの冗談だってば。え、えーと、それじゃあ行ってきまーす!」
鞄を掴んで、香澄は逃げるようにドアを開けて出て行った。
その後ろ姿を見送り、美弥子は深いため息をついた。
「……まったく」
一瞬とはいえ、直人との関係に感づかれたと思って、取り乱してしまった。もっとも、あの様子ではその心配はないだろう。
しかし、美弥子の頭の中にはさっきの香澄の言葉が繰り返し響いていた。
──来生先生に乗り換えようとしちゃダメなんだからね。
いまの美弥子にとっては、耳の痛い言葉だった。
「……別に乗り換えようなんて思ってるわけじゃないんだから」
自分に言い聞かせるように、そうつぶやく。同時にその言葉が、どこか軽いことも自覚していた。
いまでも夫を大切に思っている。そのことは本当だ。しかし、直人とのセックスは格別だった。あんなものを知ってしまったら……。
──ああ、また。
思い出すだけで、アソコが潤んでしまっていた。
「んぅ……」
半勃ちの乳首がブラジャーと擦れて、声が漏れた。
「きっと今日もまた来生君は……」
直人のどこか仄暗い、しかし魅力的な笑顔を思い出す。
今日はどんな要求をされるのだろう。どんな格好で求められるのだろう。
「っ!?」
ゴクリと生唾を飲み込んでいる自分に気づいて、美弥子は我に返った。そして、大きくかぶりを振って自分の欲望を否定する。
期待なんかしていない。覚悟だ、自分は覚悟を決めているだけだ。そう、すべては香澄のためなのだから。
だが、そう思い込もうとしてもなお、美弥子の身体は思考を裏切っていく。
──ああ、なんで、なんでなの……。
直人とのセックスを思い出すと、子宮が疼いてしまう。
美弥子は、加速度をつけて淫らになっていく自分の肉体を呪った。
直人と関係する前は、自慰はせいぜい二週間に一度する程度だった。それなのに、いまは毎晩欠かさずしてしまっている。
そして、そのときに夢想するのは夫ではなかった。
直人の爽やかな笑顔であり、若く逞しい身体だった。
「ああっ……」
直人のことを思い出すと、下半身がまたじゅんと疼いた。
まだ午前中だが、してしまおうか。このまま悶々と過ごすよりはそのほうがいい。
そこまで考えて、美弥子はその考えを頭から追い払った。
今日は香澄の家庭教師の日──直人がやってくる日なのだ。おそらくはまた、直人は自分を求めてくるに違いない。
それなのに自慰をして発散してしまうなんてもったいない。欲望は溜め込んでおこう。
自然とそんなあさましい考えを抱いていた。
美弥子は自分でも知らないうちに、唇を何度も舐め回していた。
◇ ◇ ◇
時刻は三時になろうとしていた。
いつもならとっくに姿を現しているはずの直人が、今日に限ってやってこない。
さっきから美弥子は、リビングとキッチンをうろうろと何往復もしていた。
「なんでよ……」
早足で動く脚のあいだは、もう熱く潤んでいる。
「ん、んぅぅ……」
ショーツをぐっしょりと濡らしてしまっているのがわかる。もうすぐ香澄が帰ってきてしまうのに。
「それとも……」
直人がやってくる日を間違えている可能性を考えたが、それはない。今朝、香澄にも確認したのだから。
では、どうして……。
イライラしながら、美弥子は親指の爪を噛んだ。
今日一日、ずっとセックスのことばかり考えて過ごしたのだ。これ以上待たされるのは、耐えがたい苦痛だった。
壁の時計に視線を向けた。思わず悲痛な声が漏れる。
「あぁぁ……」
もう三時を十五分も過ぎてしまっていた。
いますぐ直人が来てくれたとしても、香澄の帰宅まで十五分しかない。
──たった十五分で、なにができるのよっ。
きつく爪を噛みながら、段取りを考える。
お互いが服を脱いで、挿入に至るまで多分五分ほど。後始末をして、服や部屋を整えるのにも五分はかかる。
そうなると、直人のペニスを膣内で感じていられるのは、五分にも満たない。
「そんなのいやっ……!」
もうすでにアソコは準備万端<じゅんびばんたん>なのだ。一刻も早い挿入を待ち望んでいるのに。
──っ!
美弥子の頭に考えが閃いた。
だったら時間短縮のため、最初から下着を脱いでおこう。直人が来たらすぐに挿れてもらえるように。
普段なら思いつきもしない馬鹿げた考えに取り憑かれて、美弥子はいそいそとスカートをまくって下着に手をかけた。
そのとき、玄関チャイムの音がした。
美弥子の顔が、ぱあっと明るくなる。
「来生君?」
あわてて立ち上がり、玄関に走って行く。
愛液はもうショーツに吸収しきれず、太腿を濡らしていた。足を動かすたびにヌチャヌチャといやらしい感触が生まれるが、そんなことを気にする余裕もなかった。
勢い込んでドアを開けると、そこにはいつものように笑顔を浮かべた直人がいた。
「すみませんね。美弥子先生。遅くなっちゃいました」
「う、ううん、気にしなくていいわ」
そう言いながら、美弥子は直人の手を取ろうとした。
──早く家に入って、始めないと。
しかしその瞬間、香澄が直人の後ろからぴょこんと顔を出した。
「それじゃ、先生どうぞ中に入ってください」
「か、香澄? いったいどうしたのよっ」
これでは直人とセックスすることができない。その思いが先走って、つい口調がきついものになってしまった。
「え? えっとそれは……」
びっくりしたような顔をしている香澄に代わって、直人が説明する。
「ちょっと野暮用で遅れそうになったので、駅からタクシーで来たんですよ。その途中で香澄ちゃんを見かけましてね。声をかけて一緒に乗ってきたというわけです」
「うん。そーゆーこと」
「そう……だったの」
直人から事情を聞かされて、美弥子はそう言う他なかった。
なにも文句をつけるようなことはない。むしろ香澄を送ってくれたのだから、お礼を言うべきだろう。
それでも、自分の中に生まれた落胆を誤魔化すことはできなかった。
「そ、そうだったの……ありがとう、来生君。それじゃタクシー代、半額出すわ」
声が沈んでいるのを気づかれないよう、笑顔を作りながら言う。
「いえいえ、けっこうですよ。あくまでも乗ったのは俺の都合なんですからね。それにこういうコストも含めてのギャラなんですし」
「んん? そんなに先生もらっているんですか?」
「ああ、たっぷりと払ってもらっているよ」
そう言って直人は、チラリと意味ありげな視線を美弥子に送った。
じゅるりと股間がはしたなく涎を垂らす。そう、今日だってこれからその『支払い』をするつもりだったのだ。
「えぇ、いいなぁ~ だったらあたしのお小遣い、もっとたっぷり欲しいんだけどな」
「なに言っているの。誰のために来生先生を頼んでいると思ってるのよ」
ついまた強い口調になってしまう。いまの美弥子にとって、香澄は直人とのセックスの邪魔者にすぎないのだ。
「あはは……そ、それじゃあ、あたし部屋で準備してくるねっ!」
なぜか不機嫌そうな母親の声に、香澄はあわてて家の中に入っていった。
残された美弥子と直人の背後で、トントンと階段をのぼっていく足音が聞こえる。
「と言うわけで遅くなってすいませんでした」
「え、ええ」
香澄の足音が消えるの待って、直人が頭を下げた。
美弥子は必死で脳内で時間を計算する。
香澄を二階で待たせるとして、ごまかせるのはせいぜい五分。そのあいだに、いったいなにができるだろう。あまりにも物足りない。
必死に考える美弥子に向かって、直人はにっこりといつものように笑いかけた。
「……大丈夫ですよ。そんな不安そうな顔をしていただかなくても」
「来生君? それじゃあ……」
期待しているのが丸見えの、弾んだ声だった。
しかし美弥子のそんな期待を、直人は続く言葉で打ち砕く。
「遅くなったのは俺のせいですから。今日は相手をしてもらわなくてもけっこうです」
「えっ!?」
美弥子は思わず絶句する。そのまま直人は視線を逸らして家に入っていった。
美弥子の脇を通り過ぎる瞬間、直人は低い声で囁いた。
「よかったですね。今日はご主人を裏切らずにすみますよ」
美弥子はしばらく、玄関に呆然と立ち尽くすのだった。
◇ ◇ ◇
香澄の部屋で授業が始まった。
リビングで美弥子は、一人悶々としたままソファに座っていた。
じっとうつむいて、ただ惨めさを噛みしめる。
「ああ……」
ため息が漏れた。自分がどれほど直人を求めていたか、思い知らされる。
今日一日ずっと、いや一週間ずっと期待していたのだ。
夫への罪悪感は消えてはいない。しかし一度してしまえば、あとはなし崩しだった。
こういうのは回数の問題ではないのだ。
──そう、もう何回したって一緒なんだから。
そんな理屈で自分を納得させる。
自分のあさましい欲望を正当化するうち、アソコがますます濡れてきてしまった。
「んぅっ……」
直人のペニスが欲しくてたまらない。美弥子は、はっきりと自分の性欲を自覚する。
最初は香澄を守るためだった。直人へのギャラを補填するため、仕方なく身体を開いた。でもいまはもう違う。
「っ……!」
ショーツから染み出た愛液が、スカートの生地まで濡らしていた。
これ以上はもう我慢できそうにない。美弥子はソファから立ち上がった。
──ちょっとだけ……ちょっとだけさわって、すっきりさせよう。
娘が二階で勉強しているあいだ、トイレで自慰をするつもりだった。
はしたない母親だとは思う。でも仕方ないのだ。
美弥子は、自分が母である以前に女であることを自覚した。
そのときだった。
「ちょっとお茶でも飲ませてもらっていいですか?」
廊下へと続くドアを開けて、直人が現れた。
まるで恋い焦がれたアイドルに会ったかのように、美弥子の顔が輝いた。
「……来生君、どうしたの」
「今は香澄ちゃんにテストをしてもらっているんですけどね、そばにいると気が散るだろうってことで外してきたんですよ」
「そ、そうだったの」
そわそわと落ち着かない様子で、美弥子が答える。
「カンニングの心配はしなくても大丈夫ですよ。自分で考えなければ回答できない問題を作ってきましたからね。だから、しばらくここで暇つぶしさせてもらってもいいですか」
「……暇つぶしってどれくらい?」
「まぁ、三十分ぐらいでしょうか」
「そ、そうなの……」
肝心の問題をはぐらかすような会話が続く。
はっきりと自分の欲望を言い出せずに、美弥子は少女のようにモジモジするばかりだ。
そんな美弥子に、直人は待望の言葉をかけた。
「……だから、セックスをするぐらいの時間はありますよ」
美弥子が喜びのあまり、泣き出しそうな顔になる。
「ああ、来生君、やっぱりわかってたのね……」
「そりゃあ、そうですよ。あんなあからさまな態度取られちゃね」
「ああ、だったら……いいわよね?」
欲望を隠しきれない様子の美弥子に、直人は苦笑しながら近づいていった。
「美弥子先生に頼まれちゃイヤとは言えませんよね」
そして美弥子の正面まで来たところで、おもむろにジーンズのジッパーを下ろした。
現れたペニスの凶悪なまでの魁偉<かいい>さに、美弥子は息を呑む。
「大きい……もう、こんなに……」
「それじゃ、やりましょうか」
直人は食卓の椅子を引いて、どっかと座った。
まるでこの家の主のような振る舞いに、美弥子のマゾ性が刺激される。
美弥子はバッと服の前をはだけ、下着を脱ぎ捨ててから、直人の上に跨がった。余裕のないその所作に、直人が思わず苦笑する。
ペニスの上に、ビショビショの秘裂をあてがい、体重をかけて腰を落としていく。
「んんんんんっ?」
待ちかねた感触に、美弥子の唇から甘い悲鳴が上がった。
硬くエラの張った亀頭が、膣口をくぐり抜け、膣襞を掻き分けて突き進んでいった。
「んふぅっ、はぁはぁ、はぁはぁ……」
膣内にペニスが侵入していく、じゅるじゅるという水音が結合部から聞こえた。
「マンコ、ぬるぬるじゃないですか。本当にセックスをしたかったんですね」
「あぁっ、そうよっ……今さら嘘なんかつくわけないじゃないっ!」
美弥子はもう隠そうともしなかった。ずっとずっと直人を、ペニスを待ち望んでいたことを白状する。
「まあ、服を脱ぐ手間を惜しんでるって時点で嘘なわけないんですけどね」
そして、服をはだけた姿を直人に揶揄される。
「んぅぅっ!」
恥じらいで唇を噛んだ。
こんなはしたない格好で、直人を求めている自分。人妻でありながら貞淑さのかけらも感じられない姿だった。
そもそも直人より年上なのに、こんなにもがっついている自分のあさましさが信じられなかった。それでも、いまさら服を脱ぐために結合を解く気にはなれない。
「はぁっ、はぁっ……はふぅぅぅぅっ? ふんんんんっ?」
いまはただ、この快楽を貪っていたかった。
それに、本番はまだこれからだった。直人とのセックスはこんなものではない。もっともっと気持ちよくなれるはずだ。
そう思って腰の動きを激しくしていく。
「あぁっ、いいっ? もっと、もっと……ぁああっ、はぁぁんんっ」
つい大きな声を出しそうになって、あわてて喘ぎ声を呑み込む。
二階には香澄がいるのだ。香澄にだけは、絶対に気づかれるわけにはいかなかった。
それなのに、そう思ってはいるのに、あふれる声を抑えることはできない。
「届いてるっ……くぅっ、深いとこっ……いい、もっとぉっ? んはぁぁぁっ……!」
込み上げる感情を、快感を我慢することなど、できるわけがなかった。
乱れた髪の中に紅潮した顔を隠して、切なく情欲を訴える。
そんな美弥子の苦悶を見て、直人が安心させるように言う。
「大丈夫ですって。そんなに声を我慢しなくても」
「ああ、でも……」
そうは言っても、香澄に母親のはしたない声を聞かせるわけにはいかない。
「部屋にはBGMもかけてありますし、防音もそれなりにしっかりしてるみたいですからね。だから、そこまで我慢しなくても大丈夫ですよ」
直人は平然とした様子で言う。そんな用意周到さに感心すると同時に、美弥子はふと恐ろしくもなる。
この計算高さは、危ない──美弥子の理性がそう告げていた。
しかしそんな声も、牝の欲望の前には呆気なくかき消えてしまう。
「あはぁあっ、ゃああんっ! いっ……ひいっ?」
すべてを忘れて、大きく声を上げていた。
自分の声がリビングに響き渡るのを聞いて、いまなにをしているかを実感する。
一つ屋根の下で娘が勉強に打ち込んでいるというのに、母である自分は夫以外の男とセックスしているのだ。しかし、その異常な状況がいっそう美弥子を昂ぶらせる。
「んぅぅっ!」
ゾクゾクするような背徳感が背すじを駆けのぼり、震え声を漏らした。
「んんっ……いい声ですねっ! それに締めつけもなんだかきつくなったみたいですよ」
「ああっ、だって気持ちいいんだから……しょうがないじゃないっ……んはぁ?」
喘ぐたびにどんどん興奮していく。身体中が敏感になっていくのがわかった。
直人の視線を感じて身体が火照り、噴き出た汗でしっとりと肌が濡れていく。
ブルンブルンと揺れるオッパイを目で追いながら、直人が口の端を上げて言う。
「いやいや、責めてるわけじゃないですよ。俺も気持ちいいんですから。なによりもそのほうが可愛いですからね」
「えっ!? やっ、やだ……私、来生君より年上なのよ。それなのに……」
不意打ちのように言われた言葉に、美弥子は顔を真っ赤にして狼狽<うろた>える。
吐く息が熱くなり、鼓動が急に速くなった。
夫にも久しく言われたことのない言葉を、魅力あふれる若い男に言われた──美弥子は少女のように身悶えして恥じらう。
「いやいや、年齢なんか関係ないですって。美弥子先生は可愛いですよ」
「もう言わなくていいからっ」
何度も言われて、全身が熱くなる。
栗色の髪の毛を振り乱して直人の言葉を否定するが、膣内はビクビクと波打って女の反応を示してしまう。
年下の男に恋人のように囁かれて、反応してしまう自分がうらめしかった。
「そうですね。今はセックスに集中しましょうか」
直人はそう言って、ようやく腰をゆっくりと動かし始めた。
「いや、いや、いやぁっ! くひっ、あうっ……はひぃっ?」
直人の逞しいペニスが胎内を打ちつけてくる。
牡の器官を意識させられることで、自分が牝であることもまた意識してしまう。
──私のこと、可愛いだなんて。
「あっあっ、ああぁあああぁっ! くぅっ……来生君のばかっ!」
若い牡に、牝としての魅力を認められている。そのことが嬉しい。
直人の言葉が、美弥子の中の女を花開かせていく。
「わかりますか、俺のが先生の中にあるの」
「うんっ、わかるわっ……ああ、凄く硬くって……んんぅぅ、気持ちイイッ?」
ペニスの存在をもっと感じようと、美弥子は腰を大きくうねらせる。
その動きは美弥子自身をも昂ぶらせて、顔をだらしなく蕩けさせた。
膣道がぎゅっと締まり、襞が肉襞に吸いついて貪欲にペニスを頬張る。
「っ……なら俺も頑張らせてもらいましょうか」
美弥子に負けまいと、直人も懸命に腰を振った。
単純な上下動でなく、ひねりも加えて膣にペニスを突き込む。
締まった膣肉を掻き分けて、亀頭が膣奥の部屋の扉を乱暴にノックした。
「ああっ、子宮までっ? いいっ、いいっ……奥っ、ああもっと突いてぇっ!!」
「ここですかっ!?」
亀頭が膣内をまさぐり、子宮口の位置を確認したかと思うと、グッと力強く押し込まれた。
「そうっ、そこっ……ああ、先来てるっ! だめぇっ……あっ、あああっ?」
長く太いペニスで、子宮が腹の中で押し上げられていく。
体位のせいか、これまでより奥までペニスが届いている。こんなところまで届くのかと驚くほどだった。
ペニスが動くたび、カリ首の部分が膣内をゴリゴリこそぐのがたまらなかった。
初めて知る感触に、美弥子は悦びで直人の首に手を回した。
夫とのセックスでは、絶対に味わうことのなかった快感だった。そもそも夫のペニスでは、物理的に長さが足りないだろう。
「くあああっ? くふぅっ、んっ……うぅっ?」
膣奥を亀頭が的確に叩いてくる。凄まじい快感が美弥子を襲った。
直人のペニスでないと、この快感を感じることができないなんて。美弥子は思わず神様を呪いたくなってしまう。
もう直人のペニスを忘れることなんて、できるわけがなかった。
──っ!
そのことの意味に気づいて、美弥子は戦慄した。
──だとすると、私はこれからもずっと……。
美弥子は頭を振って、その考えを追い払った。
先のことはどうでもいい。いまはただ、胎内にあるペニスのことだけを考えていたい。
このまま気持ちよくなることだけを考えていたかった。
「ああっ、いいっ! そこっ、お願いッ……もっともっと……あふぅぅっ!!」
「じゃあ、そろそろ時間だし、ラストスパートいきますか」
「ああっ、そんなっ……」
ラストという単語に反応して、悲痛な声を漏らしてしまう。
「そろそろテストの時間も終わりですからね。それとも俺を探しにきた香澄ちゃんに、母親のこんな姿を見られてもいいんですか?」
「そ、それはっ……」
娘の存在を思い起こされて、少しだけ現実感を取り戻す。
このペニスは惜しい。もっと味わっていたい。でも、まさか娘にこんな姿を見せるわけにはいかない。
相反する思いに、美弥子は悩ましそうに眉根を寄せた。
「ま、お詫びに出来るだけのことはさせてもらいますからっ」
軽くそう言って、直人は腰の動きをいっそうダイナミックなものに変化させた。
あまりの勢いに、椅子がギシギシと悲鳴のような音を上げる。
「はぁんっ、強いぃっ! あぁああぁああっ! そんっ、なっ、ううぅ……うっ?」
美弥子の弱い箇所ばかりを一気に責めてきた。その激しくも的確なピストンに、美弥子はあっという間に絶頂間際まで追い詰められてしまう。
年上の人妻を手玉に取る直人の技巧に、美弥子はあらためて畏怖の念を抱いた。
「はぁっ、あはぁっ? んっ……あふぅぅぅっ!」
絶頂寸前で、一息つく。そんなタイミングさえも、見計らって与えている。直人は自分を好きなときにイかせることができるのだ。
美弥子は、自分が直人の手のひらの上にいることを思い知らされた。
「はぁっ、はぁっ、ひぁぁっ! あぁんっ、あっ、はあぁああっ!」
そして今度は一気に、八合目から頂上までのぼらせてくる。
腰の律動がどんどん速くなっていく。鼓動よりも速い速度で、亀頭が膣奥を穿つ。
全身の毛が逆立つような感覚に、美弥子は忘我の涙を流した。
「イクイクイクッ、イクッ! わたしっ……イッちゃう! ああっ、ああんっ、イイッ、もう我慢できないっ!」
自然と両手両足で、ガッチリと直人をホールドしていた。
オッパイが直人に押しつけられ、ぐにゅりと脇にはみ出た。その表面には汗の玉がいくつも浮かんでいる。
身体を密着させたせいで、互いの汗の匂いが混ざり合い、二人の鼻腔を刺激した。
「じゃあ、こっちもっ! く、くうっ!!」
「あっ、あああんっ……イクイクっ、イクッ……ああ、イクのぉおおおっ! イクっ!」
美弥子の絶頂に合わせて、直人が欲望を放った。
膣内でビクビクと肉幹が痙攣して、熱い精液が膣を満たしていくのを感じる。
待ち望んだ精液を得たことで、美弥子が大きく頭を振ってその感激を表現した。
乱れた髪から汗が飛び散って、発情した牝の匂いを周囲に発散する。
「ンはぁっ、ペニスっ、あぁっ、出てるぅっ! ひぅっ……また、ああっ、中にっ!」
膣内<なか>出しの恐怖はなかった。いまはただ、一匹の牝になって快感を貪っていたかった。
「じゃあ、今度は直接っ!」
ぐいとペニスを膣内深くまで押し込まれて、第二波を放たれた。
信じられなかった。いくら若いとはいえ、ここまで大量の精液を放つことができるなんて──美弥子はその熱さに、濃さに、量に圧倒される。
「ああっ、押しつけられてっ! また来たっ、んぅぅっ……奥までっ、あはぁっ、イクゥウウウゥゥ!」
亀頭先端を子宮口に押しつけられ、大切な場所に精液を注がれた。
お腹の奥に、直人の熱い精液がたっぷり流れ込んでくるのを感じる。
女にとって一番大事な場所を灼かれて、たちまち美弥子は二度目の絶頂の波にさらわれてしまう。
「あんっ、イク……ああっ、また……あん、はぁぁぁぁぁーーーーー!」
美弥子の全身に荒々しい快感の波が何度も押し寄せ、やがてゆっくりと消えていった。
「はぁっ、ああっ……あはぁぁ……」
絶頂の余韻に浸りながら、美弥子は熱い呼吸をした。
少しだけ身体を離すと、二人のあいだから熱い空気が立ちのぼる。その匂いは、まるで獣のようだった。
美弥子の汗だくのオッパイが、ブルンブルンと大きく上下に震えていた。
直人がまるでオモチャでもいじるように、そのオッパイを手でもてあそぶ。
「ふう、それにしても大きいですね、これ」
「ああ……だめぇ……」
情婦のように扱われているのに、美弥子の声は甘い。
結合部からは、愛液と混ざった精液が逆流して、椅子から床へと流れ落ちている。
──ダメだ。私……来生君のペニスから離れられなくなってる……。
そんな自覚さえもが、美弥子の心を甘く溶かす。
「ん……んちゅ、ちゅっ……」
両手両足で直人を押さえたまま、美弥子は自分から唇を求めていくのだった。
続きは1月31日発売のオトナ文庫『母娘みっくすいじり』でお楽しみください!
(c)TAMA TANAKA/Atelier SAKURA DARKNESS
直人との関係に思い悩む美弥子の心とはまるで裏腹に、その日の空はどこまでも青く澄み切っていた。
玄関で靴を履いている制服姿の香澄に、美弥子は声をかけた。
「香澄、ちょっといいかしら」
「ん? なあに、ママ」
玄関ドアの取っ手に手をかけようとした香澄が、くるりと振り返る。
「今日って、帰って来るのは何時ぐらいになりそう?」
「いつもと同じだよ。三時半過ぎには帰って来れるとは思うけどそれがどうしたの?」
邪気のない顔で尋ねられて、美弥子はなぜかドキリとしてしまう。
心にやましいことがあるせいか、娘の顔をいつものように見ることができない。
「え? それはその、今日は来生君が教えに来る日だから、ええ、その確認よ」
「心配しなくても大丈夫だって。ちゃんと覚えているから」
「そ、そう? それならいいんだけど……」
少し不自然な母親の様子を見て、香澄は悪戯っぽく言う。
「……ママってば、来生先生のことずいぶん意識してるみたいね」
「えっ!? な、なに馬鹿なこと言ってるのよっ!」
邪<よこしま>な欲望を見透かされたような気がして、美弥子は思わず声を荒げた。
「いくらパパがいないからって、来生先生に乗り換えようとしちゃダメなんだからね」
「なに馬鹿なこと言ってるの。それほどお小遣いを減らされたいのかしら」
平静を装ってそう脅すと、香澄はあわてて取り繕った。
「えっ!? や、やだなぁっ! 冗談、ほんの冗談だってば。え、えーと、それじゃあ行ってきまーす!」
鞄を掴んで、香澄は逃げるようにドアを開けて出て行った。
その後ろ姿を見送り、美弥子は深いため息をついた。
「……まったく」
一瞬とはいえ、直人との関係に感づかれたと思って、取り乱してしまった。もっとも、あの様子ではその心配はないだろう。
しかし、美弥子の頭の中にはさっきの香澄の言葉が繰り返し響いていた。
──来生先生に乗り換えようとしちゃダメなんだからね。
いまの美弥子にとっては、耳の痛い言葉だった。
「……別に乗り換えようなんて思ってるわけじゃないんだから」
自分に言い聞かせるように、そうつぶやく。同時にその言葉が、どこか軽いことも自覚していた。
いまでも夫を大切に思っている。そのことは本当だ。しかし、直人とのセックスは格別だった。あんなものを知ってしまったら……。
──ああ、また。
思い出すだけで、アソコが潤んでしまっていた。
「んぅ……」
半勃ちの乳首がブラジャーと擦れて、声が漏れた。
「きっと今日もまた来生君は……」
直人のどこか仄暗い、しかし魅力的な笑顔を思い出す。
今日はどんな要求をされるのだろう。どんな格好で求められるのだろう。
「っ!?」
ゴクリと生唾を飲み込んでいる自分に気づいて、美弥子は我に返った。そして、大きくかぶりを振って自分の欲望を否定する。
期待なんかしていない。覚悟だ、自分は覚悟を決めているだけだ。そう、すべては香澄のためなのだから。
だが、そう思い込もうとしてもなお、美弥子の身体は思考を裏切っていく。
──ああ、なんで、なんでなの……。
直人とのセックスを思い出すと、子宮が疼いてしまう。
美弥子は、加速度をつけて淫らになっていく自分の肉体を呪った。
直人と関係する前は、自慰はせいぜい二週間に一度する程度だった。それなのに、いまは毎晩欠かさずしてしまっている。
そして、そのときに夢想するのは夫ではなかった。
直人の爽やかな笑顔であり、若く逞しい身体だった。
「ああっ……」
直人のことを思い出すと、下半身がまたじゅんと疼いた。
まだ午前中だが、してしまおうか。このまま悶々と過ごすよりはそのほうがいい。
そこまで考えて、美弥子はその考えを頭から追い払った。
今日は香澄の家庭教師の日──直人がやってくる日なのだ。おそらくはまた、直人は自分を求めてくるに違いない。
それなのに自慰をして発散してしまうなんてもったいない。欲望は溜め込んでおこう。
自然とそんなあさましい考えを抱いていた。
美弥子は自分でも知らないうちに、唇を何度も舐め回していた。
◇ ◇ ◇
時刻は三時になろうとしていた。
いつもならとっくに姿を現しているはずの直人が、今日に限ってやってこない。
さっきから美弥子は、リビングとキッチンをうろうろと何往復もしていた。
「なんでよ……」
早足で動く脚のあいだは、もう熱く潤んでいる。
「ん、んぅぅ……」
ショーツをぐっしょりと濡らしてしまっているのがわかる。もうすぐ香澄が帰ってきてしまうのに。
「それとも……」
直人がやってくる日を間違えている可能性を考えたが、それはない。今朝、香澄にも確認したのだから。
では、どうして……。
イライラしながら、美弥子は親指の爪を噛んだ。
今日一日、ずっとセックスのことばかり考えて過ごしたのだ。これ以上待たされるのは、耐えがたい苦痛だった。
壁の時計に視線を向けた。思わず悲痛な声が漏れる。
「あぁぁ……」
もう三時を十五分も過ぎてしまっていた。
いますぐ直人が来てくれたとしても、香澄の帰宅まで十五分しかない。
──たった十五分で、なにができるのよっ。
きつく爪を噛みながら、段取りを考える。
お互いが服を脱いで、挿入に至るまで多分五分ほど。後始末をして、服や部屋を整えるのにも五分はかかる。
そうなると、直人のペニスを膣内で感じていられるのは、五分にも満たない。
「そんなのいやっ……!」
もうすでにアソコは準備万端<じゅんびばんたん>なのだ。一刻も早い挿入を待ち望んでいるのに。
──っ!
美弥子の頭に考えが閃いた。
だったら時間短縮のため、最初から下着を脱いでおこう。直人が来たらすぐに挿れてもらえるように。
普段なら思いつきもしない馬鹿げた考えに取り憑かれて、美弥子はいそいそとスカートをまくって下着に手をかけた。
そのとき、玄関チャイムの音がした。
美弥子の顔が、ぱあっと明るくなる。
「来生君?」
あわてて立ち上がり、玄関に走って行く。
愛液はもうショーツに吸収しきれず、太腿を濡らしていた。足を動かすたびにヌチャヌチャといやらしい感触が生まれるが、そんなことを気にする余裕もなかった。
勢い込んでドアを開けると、そこにはいつものように笑顔を浮かべた直人がいた。
「すみませんね。美弥子先生。遅くなっちゃいました」
「う、ううん、気にしなくていいわ」
そう言いながら、美弥子は直人の手を取ろうとした。
──早く家に入って、始めないと。
しかしその瞬間、香澄が直人の後ろからぴょこんと顔を出した。
「それじゃ、先生どうぞ中に入ってください」
「か、香澄? いったいどうしたのよっ」
これでは直人とセックスすることができない。その思いが先走って、つい口調がきついものになってしまった。
「え? えっとそれは……」
びっくりしたような顔をしている香澄に代わって、直人が説明する。
「ちょっと野暮用で遅れそうになったので、駅からタクシーで来たんですよ。その途中で香澄ちゃんを見かけましてね。声をかけて一緒に乗ってきたというわけです」
「うん。そーゆーこと」
「そう……だったの」
直人から事情を聞かされて、美弥子はそう言う他なかった。
なにも文句をつけるようなことはない。むしろ香澄を送ってくれたのだから、お礼を言うべきだろう。
それでも、自分の中に生まれた落胆を誤魔化すことはできなかった。
「そ、そうだったの……ありがとう、来生君。それじゃタクシー代、半額出すわ」
声が沈んでいるのを気づかれないよう、笑顔を作りながら言う。
「いえいえ、けっこうですよ。あくまでも乗ったのは俺の都合なんですからね。それにこういうコストも含めてのギャラなんですし」
「んん? そんなに先生もらっているんですか?」
「ああ、たっぷりと払ってもらっているよ」
そう言って直人は、チラリと意味ありげな視線を美弥子に送った。
じゅるりと股間がはしたなく涎を垂らす。そう、今日だってこれからその『支払い』をするつもりだったのだ。
「えぇ、いいなぁ~ だったらあたしのお小遣い、もっとたっぷり欲しいんだけどな」
「なに言っているの。誰のために来生先生を頼んでいると思ってるのよ」
ついまた強い口調になってしまう。いまの美弥子にとって、香澄は直人とのセックスの邪魔者にすぎないのだ。
「あはは……そ、それじゃあ、あたし部屋で準備してくるねっ!」
なぜか不機嫌そうな母親の声に、香澄はあわてて家の中に入っていった。
残された美弥子と直人の背後で、トントンと階段をのぼっていく足音が聞こえる。
「と言うわけで遅くなってすいませんでした」
「え、ええ」
香澄の足音が消えるの待って、直人が頭を下げた。
美弥子は必死で脳内で時間を計算する。
香澄を二階で待たせるとして、ごまかせるのはせいぜい五分。そのあいだに、いったいなにができるだろう。あまりにも物足りない。
必死に考える美弥子に向かって、直人はにっこりといつものように笑いかけた。
「……大丈夫ですよ。そんな不安そうな顔をしていただかなくても」
「来生君? それじゃあ……」
期待しているのが丸見えの、弾んだ声だった。
しかし美弥子のそんな期待を、直人は続く言葉で打ち砕く。
「遅くなったのは俺のせいですから。今日は相手をしてもらわなくてもけっこうです」
「えっ!?」
美弥子は思わず絶句する。そのまま直人は視線を逸らして家に入っていった。
美弥子の脇を通り過ぎる瞬間、直人は低い声で囁いた。
「よかったですね。今日はご主人を裏切らずにすみますよ」
美弥子はしばらく、玄関に呆然と立ち尽くすのだった。
◇ ◇ ◇
香澄の部屋で授業が始まった。
リビングで美弥子は、一人悶々としたままソファに座っていた。
じっとうつむいて、ただ惨めさを噛みしめる。
「ああ……」
ため息が漏れた。自分がどれほど直人を求めていたか、思い知らされる。
今日一日ずっと、いや一週間ずっと期待していたのだ。
夫への罪悪感は消えてはいない。しかし一度してしまえば、あとはなし崩しだった。
こういうのは回数の問題ではないのだ。
──そう、もう何回したって一緒なんだから。
そんな理屈で自分を納得させる。
自分のあさましい欲望を正当化するうち、アソコがますます濡れてきてしまった。
「んぅっ……」
直人のペニスが欲しくてたまらない。美弥子は、はっきりと自分の性欲を自覚する。
最初は香澄を守るためだった。直人へのギャラを補填するため、仕方なく身体を開いた。でもいまはもう違う。
「っ……!」
ショーツから染み出た愛液が、スカートの生地まで濡らしていた。
これ以上はもう我慢できそうにない。美弥子はソファから立ち上がった。
──ちょっとだけ……ちょっとだけさわって、すっきりさせよう。
娘が二階で勉強しているあいだ、トイレで自慰をするつもりだった。
はしたない母親だとは思う。でも仕方ないのだ。
美弥子は、自分が母である以前に女であることを自覚した。
そのときだった。
「ちょっとお茶でも飲ませてもらっていいですか?」
廊下へと続くドアを開けて、直人が現れた。
まるで恋い焦がれたアイドルに会ったかのように、美弥子の顔が輝いた。
「……来生君、どうしたの」
「今は香澄ちゃんにテストをしてもらっているんですけどね、そばにいると気が散るだろうってことで外してきたんですよ」
「そ、そうだったの」
そわそわと落ち着かない様子で、美弥子が答える。
「カンニングの心配はしなくても大丈夫ですよ。自分で考えなければ回答できない問題を作ってきましたからね。だから、しばらくここで暇つぶしさせてもらってもいいですか」
「……暇つぶしってどれくらい?」
「まぁ、三十分ぐらいでしょうか」
「そ、そうなの……」
肝心の問題をはぐらかすような会話が続く。
はっきりと自分の欲望を言い出せずに、美弥子は少女のようにモジモジするばかりだ。
そんな美弥子に、直人は待望の言葉をかけた。
「……だから、セックスをするぐらいの時間はありますよ」
美弥子が喜びのあまり、泣き出しそうな顔になる。
「ああ、来生君、やっぱりわかってたのね……」
「そりゃあ、そうですよ。あんなあからさまな態度取られちゃね」
「ああ、だったら……いいわよね?」
欲望を隠しきれない様子の美弥子に、直人は苦笑しながら近づいていった。
「美弥子先生に頼まれちゃイヤとは言えませんよね」
そして美弥子の正面まで来たところで、おもむろにジーンズのジッパーを下ろした。
現れたペニスの凶悪なまでの魁偉<かいい>さに、美弥子は息を呑む。
「大きい……もう、こんなに……」
「それじゃ、やりましょうか」
直人は食卓の椅子を引いて、どっかと座った。
まるでこの家の主のような振る舞いに、美弥子のマゾ性が刺激される。
美弥子はバッと服の前をはだけ、下着を脱ぎ捨ててから、直人の上に跨がった。余裕のないその所作に、直人が思わず苦笑する。
ペニスの上に、ビショビショの秘裂をあてがい、体重をかけて腰を落としていく。
「んんんんんっ?」
待ちかねた感触に、美弥子の唇から甘い悲鳴が上がった。
硬くエラの張った亀頭が、膣口をくぐり抜け、膣襞を掻き分けて突き進んでいった。
「んふぅっ、はぁはぁ、はぁはぁ……」
膣内にペニスが侵入していく、じゅるじゅるという水音が結合部から聞こえた。
「マンコ、ぬるぬるじゃないですか。本当にセックスをしたかったんですね」
「あぁっ、そうよっ……今さら嘘なんかつくわけないじゃないっ!」
美弥子はもう隠そうともしなかった。ずっとずっと直人を、ペニスを待ち望んでいたことを白状する。
「まあ、服を脱ぐ手間を惜しんでるって時点で嘘なわけないんですけどね」
そして、服をはだけた姿を直人に揶揄される。
「んぅぅっ!」
恥じらいで唇を噛んだ。
こんなはしたない格好で、直人を求めている自分。人妻でありながら貞淑さのかけらも感じられない姿だった。
そもそも直人より年上なのに、こんなにもがっついている自分のあさましさが信じられなかった。それでも、いまさら服を脱ぐために結合を解く気にはなれない。
「はぁっ、はぁっ……はふぅぅぅぅっ? ふんんんんっ?」
いまはただ、この快楽を貪っていたかった。
それに、本番はまだこれからだった。直人とのセックスはこんなものではない。もっともっと気持ちよくなれるはずだ。
そう思って腰の動きを激しくしていく。
「あぁっ、いいっ? もっと、もっと……ぁああっ、はぁぁんんっ」
つい大きな声を出しそうになって、あわてて喘ぎ声を呑み込む。
二階には香澄がいるのだ。香澄にだけは、絶対に気づかれるわけにはいかなかった。
それなのに、そう思ってはいるのに、あふれる声を抑えることはできない。
「届いてるっ……くぅっ、深いとこっ……いい、もっとぉっ? んはぁぁぁっ……!」
込み上げる感情を、快感を我慢することなど、できるわけがなかった。
乱れた髪の中に紅潮した顔を隠して、切なく情欲を訴える。
そんな美弥子の苦悶を見て、直人が安心させるように言う。
「大丈夫ですって。そんなに声を我慢しなくても」
「ああ、でも……」
そうは言っても、香澄に母親のはしたない声を聞かせるわけにはいかない。
「部屋にはBGMもかけてありますし、防音もそれなりにしっかりしてるみたいですからね。だから、そこまで我慢しなくても大丈夫ですよ」
直人は平然とした様子で言う。そんな用意周到さに感心すると同時に、美弥子はふと恐ろしくもなる。
この計算高さは、危ない──美弥子の理性がそう告げていた。
しかしそんな声も、牝の欲望の前には呆気なくかき消えてしまう。
「あはぁあっ、ゃああんっ! いっ……ひいっ?」
すべてを忘れて、大きく声を上げていた。
自分の声がリビングに響き渡るのを聞いて、いまなにをしているかを実感する。
一つ屋根の下で娘が勉強に打ち込んでいるというのに、母である自分は夫以外の男とセックスしているのだ。しかし、その異常な状況がいっそう美弥子を昂ぶらせる。
「んぅぅっ!」
ゾクゾクするような背徳感が背すじを駆けのぼり、震え声を漏らした。
「んんっ……いい声ですねっ! それに締めつけもなんだかきつくなったみたいですよ」
「ああっ、だって気持ちいいんだから……しょうがないじゃないっ……んはぁ?」
喘ぐたびにどんどん興奮していく。身体中が敏感になっていくのがわかった。
直人の視線を感じて身体が火照り、噴き出た汗でしっとりと肌が濡れていく。
ブルンブルンと揺れるオッパイを目で追いながら、直人が口の端を上げて言う。
「いやいや、責めてるわけじゃないですよ。俺も気持ちいいんですから。なによりもそのほうが可愛いですからね」
「えっ!? やっ、やだ……私、来生君より年上なのよ。それなのに……」
不意打ちのように言われた言葉に、美弥子は顔を真っ赤にして狼狽<うろた>える。
吐く息が熱くなり、鼓動が急に速くなった。
夫にも久しく言われたことのない言葉を、魅力あふれる若い男に言われた──美弥子は少女のように身悶えして恥じらう。
「いやいや、年齢なんか関係ないですって。美弥子先生は可愛いですよ」
「もう言わなくていいからっ」
何度も言われて、全身が熱くなる。
栗色の髪の毛を振り乱して直人の言葉を否定するが、膣内はビクビクと波打って女の反応を示してしまう。
年下の男に恋人のように囁かれて、反応してしまう自分がうらめしかった。
「そうですね。今はセックスに集中しましょうか」
直人はそう言って、ようやく腰をゆっくりと動かし始めた。
「いや、いや、いやぁっ! くひっ、あうっ……はひぃっ?」
直人の逞しいペニスが胎内を打ちつけてくる。
牡の器官を意識させられることで、自分が牝であることもまた意識してしまう。
──私のこと、可愛いだなんて。
「あっあっ、ああぁあああぁっ! くぅっ……来生君のばかっ!」
若い牡に、牝としての魅力を認められている。そのことが嬉しい。
直人の言葉が、美弥子の中の女を花開かせていく。
「わかりますか、俺のが先生の中にあるの」
「うんっ、わかるわっ……ああ、凄く硬くって……んんぅぅ、気持ちイイッ?」
ペニスの存在をもっと感じようと、美弥子は腰を大きくうねらせる。
その動きは美弥子自身をも昂ぶらせて、顔をだらしなく蕩けさせた。
膣道がぎゅっと締まり、襞が肉襞に吸いついて貪欲にペニスを頬張る。
「っ……なら俺も頑張らせてもらいましょうか」
美弥子に負けまいと、直人も懸命に腰を振った。
単純な上下動でなく、ひねりも加えて膣にペニスを突き込む。
締まった膣肉を掻き分けて、亀頭が膣奥の部屋の扉を乱暴にノックした。
「ああっ、子宮までっ? いいっ、いいっ……奥っ、ああもっと突いてぇっ!!」
「ここですかっ!?」
亀頭が膣内をまさぐり、子宮口の位置を確認したかと思うと、グッと力強く押し込まれた。
「そうっ、そこっ……ああ、先来てるっ! だめぇっ……あっ、あああっ?」
長く太いペニスで、子宮が腹の中で押し上げられていく。
体位のせいか、これまでより奥までペニスが届いている。こんなところまで届くのかと驚くほどだった。
ペニスが動くたび、カリ首の部分が膣内をゴリゴリこそぐのがたまらなかった。
初めて知る感触に、美弥子は悦びで直人の首に手を回した。
夫とのセックスでは、絶対に味わうことのなかった快感だった。そもそも夫のペニスでは、物理的に長さが足りないだろう。
「くあああっ? くふぅっ、んっ……うぅっ?」
膣奥を亀頭が的確に叩いてくる。凄まじい快感が美弥子を襲った。
直人のペニスでないと、この快感を感じることができないなんて。美弥子は思わず神様を呪いたくなってしまう。
もう直人のペニスを忘れることなんて、できるわけがなかった。
──っ!
そのことの意味に気づいて、美弥子は戦慄した。
──だとすると、私はこれからもずっと……。
美弥子は頭を振って、その考えを追い払った。
先のことはどうでもいい。いまはただ、胎内にあるペニスのことだけを考えていたい。
このまま気持ちよくなることだけを考えていたかった。
「ああっ、いいっ! そこっ、お願いッ……もっともっと……あふぅぅっ!!」
「じゃあ、そろそろ時間だし、ラストスパートいきますか」
「ああっ、そんなっ……」
ラストという単語に反応して、悲痛な声を漏らしてしまう。
「そろそろテストの時間も終わりですからね。それとも俺を探しにきた香澄ちゃんに、母親のこんな姿を見られてもいいんですか?」
「そ、それはっ……」
娘の存在を思い起こされて、少しだけ現実感を取り戻す。
このペニスは惜しい。もっと味わっていたい。でも、まさか娘にこんな姿を見せるわけにはいかない。
相反する思いに、美弥子は悩ましそうに眉根を寄せた。
「ま、お詫びに出来るだけのことはさせてもらいますからっ」
軽くそう言って、直人は腰の動きをいっそうダイナミックなものに変化させた。
あまりの勢いに、椅子がギシギシと悲鳴のような音を上げる。
「はぁんっ、強いぃっ! あぁああぁああっ! そんっ、なっ、ううぅ……うっ?」
美弥子の弱い箇所ばかりを一気に責めてきた。その激しくも的確なピストンに、美弥子はあっという間に絶頂間際まで追い詰められてしまう。
年上の人妻を手玉に取る直人の技巧に、美弥子はあらためて畏怖の念を抱いた。
「はぁっ、あはぁっ? んっ……あふぅぅぅっ!」
絶頂寸前で、一息つく。そんなタイミングさえも、見計らって与えている。直人は自分を好きなときにイかせることができるのだ。
美弥子は、自分が直人の手のひらの上にいることを思い知らされた。
「はぁっ、はぁっ、ひぁぁっ! あぁんっ、あっ、はあぁああっ!」
そして今度は一気に、八合目から頂上までのぼらせてくる。
腰の律動がどんどん速くなっていく。鼓動よりも速い速度で、亀頭が膣奥を穿つ。
全身の毛が逆立つような感覚に、美弥子は忘我の涙を流した。
「イクイクイクッ、イクッ! わたしっ……イッちゃう! ああっ、ああんっ、イイッ、もう我慢できないっ!」
自然と両手両足で、ガッチリと直人をホールドしていた。
オッパイが直人に押しつけられ、ぐにゅりと脇にはみ出た。その表面には汗の玉がいくつも浮かんでいる。
身体を密着させたせいで、互いの汗の匂いが混ざり合い、二人の鼻腔を刺激した。
「じゃあ、こっちもっ! く、くうっ!!」
「あっ、あああんっ……イクイクっ、イクッ……ああ、イクのぉおおおっ! イクっ!」
美弥子の絶頂に合わせて、直人が欲望を放った。
膣内でビクビクと肉幹が痙攣して、熱い精液が膣を満たしていくのを感じる。
待ち望んだ精液を得たことで、美弥子が大きく頭を振ってその感激を表現した。
乱れた髪から汗が飛び散って、発情した牝の匂いを周囲に発散する。
「ンはぁっ、ペニスっ、あぁっ、出てるぅっ! ひぅっ……また、ああっ、中にっ!」
膣内<なか>出しの恐怖はなかった。いまはただ、一匹の牝になって快感を貪っていたかった。
「じゃあ、今度は直接っ!」
ぐいとペニスを膣内深くまで押し込まれて、第二波を放たれた。
信じられなかった。いくら若いとはいえ、ここまで大量の精液を放つことができるなんて──美弥子はその熱さに、濃さに、量に圧倒される。
「ああっ、押しつけられてっ! また来たっ、んぅぅっ……奥までっ、あはぁっ、イクゥウウウゥゥ!」
亀頭先端を子宮口に押しつけられ、大切な場所に精液を注がれた。
お腹の奥に、直人の熱い精液がたっぷり流れ込んでくるのを感じる。
女にとって一番大事な場所を灼かれて、たちまち美弥子は二度目の絶頂の波にさらわれてしまう。
「あんっ、イク……ああっ、また……あん、はぁぁぁぁぁーーーーー!」
美弥子の全身に荒々しい快感の波が何度も押し寄せ、やがてゆっくりと消えていった。
「はぁっ、ああっ……あはぁぁ……」
絶頂の余韻に浸りながら、美弥子は熱い呼吸をした。
少しだけ身体を離すと、二人のあいだから熱い空気が立ちのぼる。その匂いは、まるで獣のようだった。
美弥子の汗だくのオッパイが、ブルンブルンと大きく上下に震えていた。
直人がまるでオモチャでもいじるように、そのオッパイを手でもてあそぶ。
「ふう、それにしても大きいですね、これ」
「ああ……だめぇ……」
情婦のように扱われているのに、美弥子の声は甘い。
結合部からは、愛液と混ざった精液が逆流して、椅子から床へと流れ落ちている。
──ダメだ。私……来生君のペニスから離れられなくなってる……。
そんな自覚さえもが、美弥子の心を甘く溶かす。
「ん……んちゅ、ちゅっ……」
両手両足で直人を押さえたまま、美弥子は自分から唇を求めていくのだった。
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(c)TAMA TANAKA/Atelier SAKURA DARKNESS