●「第五章 解放」より
挿し絵:三色網戸。


「あの……じゃあ、始めますね……」
 そろそろと下着を下ろし、スカートをたくし上げる。
 今まで誰にも見せたことのない、最も大切な部分。その場所を、自分から人目に晒すなんて。まじまじと見入っていた伊織は、「ほぅ……♥」と小さなため息をついた。
「うわぁ……すごくえっちなかたち……」
「あ、あの……お嬢様、あんまり見ないで下さい」
「ごめんなさい。自分のはおちん○んの陰になっててよく見えないから、珍しくて」

 多分これは、メイドの仕事を、かなり逸脱しているような気がする。
 オナニーの後始末は、ちょっと恥ずかしいけど、おそらく自分の仕事の範疇内だ。でもこれはどう考えても違う。「お嬢様の前でオナニーショーを披露する」なんてのは、どう考えても自分がするべき仕事ではない。
 でも目の前では、伊織が期待を込めた目でこちらを眺めている。
 人とは違う肉体を持った彼女を気の毒だと思ったとき、自分は最初の一歩を踏み込んでしまった。本当なら見なかったことにして、今までどおり、祐希堂家に使えるメイドの一人として務めていればよかったのに。
「ん、んっ……」
 柚子は、人差し指の先をペロリと舐めた。
 あの部分は敏感だから、乾いたままの指では刺激が強すぎる。すぼめた唇にちゅぽちゅぽと何度か指先を出し入れして、熱い唾液をまぶしてゆく。
「あの……私、あんまり上手じゃない、ですけど……」
 スカートの端を咥え、濡れた指先を股間に這わせる。
 慎ましい割れ目の上部に小さな突起がある。伊織とは比べものにならないくらい小さいけれど、それが柚子の一番感じる場所だった。
「くふっ……んっ……」
 その場所を指先で触ると、腰の奥がじぃんと痺れる。濡らした指でもまだ刺激が大きい。まるでむき出しの神経を直接触られているような感覚だった。
「んっ、ふっ、うぅっ……」
 繊細なタッチで柚子は小さな肉芽のてっぺんを撫で回した。
 クリトリス……というよりも、クリトリスと指先の間にできた、薄い唾液の膜を撫でているような感じ。触れるか触れないかの微妙なタッチで、ごく微細な快感を作り出す。
 ——お嬢様が、見てる……。
 自分の目の前では、伊織が床に座って、今にも噛み付きそうな目で指の動きに見入っている。二度続けて射精したばかりだというのに、彼女のペ○スはまたもや勃起しかけており、窮屈そうにスカートを持ち上げていた。
 ——興奮してるんだ。私がオナニーしてるとこを見て……。
 その視線を意識しながら、片手でギュッと乳房を掴む。